紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

お姫様の条件

2007-12-20 00:58:31 | 読書
 今年の夏頃から、なんだか気になってしようがないお姫様の話がある。アンデルセン童話に出て来るお姫様だ。タイトルは・・・『エンドウ豆とおひめさま』、だったかな?

 ある国に、どーーしても姫の中の姫、ホンモノのお姫様と結婚したい!という、高望みを持った王子さまがいた。

 ホンモノかニセモノか、どうやって見分けるかと言うと、お姫様を何枚も重ねた敷き布団の上で一晩眠らせるのである。その敷き布団の一番下には、エンドウ豆を一粒入れてあるのだ。
 朝になって、お姫様が起きたとき、「昨夜はよく眠れましたか?」と聞いて、「ええ、とっても」とにこやかにお答えになったお姫様は、ニセモノなのだそうだ。

 ある嵐の夜、みすぼらしいなりのお姫様がやってきたので、一晩とめてあげた。あのエンドウ豆の上の布団で一夜を過ごすことに鳴ったお姫様は、翌朝いままでのたくさんのお姫様と同じ質問をされる。「昨夜はよく眠れましたか?」

「なんだかよくわかりませんが、なにか背中にごろごろするものがあったので、余り眠れませんでした」というのが、彼女の答である。これほどセンシティブな女性はホンモノの姫に違いない! ということで、王子と結婚を果たすという結末なのだが、何だか釈然としない。

 だって、異様に神経質なだけじゃないですか~?

 これといって特技はないみたいだし、美人とか優しいとか、外見も内面もまるで無視だよ? この不思議な話は、一体なんなんだろう? アイロニーなのか警句なのか? 考えれば考える程、謎は深まるばかりである。

 結局、金や権力にものを言わせて、「一番」「トップ」「ベスト」と評価されるものを欲しがると怪我をする、と言いたげな気がする。だって、「異様に神経質」な人と結婚して、幸せになれるとはとても思えないもの。

 一体アンデルセンは、何を考えてこのシュールな姫の出て来るお話を作ったんだろうな。一生気になる童話かもしれない。(何しょーもないこと、気にしてんねん!)



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7 コメント

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Unknown (☆紗)
2007-12-21 08:02:32
えんどう豆とお姫さま、でしたっけ?この話を読んで私が感じたのは、噂を聞き付けて姫のフリをした成金をシャットアウトし、生まれながらに大事にされた人を探したのだと思います。アンデルセンの考えは、愛情たっぷりに育てられた人は卑しいところがなく、人にも優しい、という考えなのでしょう。だから、この姫がみすぼらしい格好で現れたのは、逆に試そう、なんて魂胆ではなく、全くの没落貴族、没落王朝であって、見かけだけを飾るというげすな考えを一切しない人だったのでしょう。それこそが、真の、姫の中の姫、だと、見かけだけを取り繕うことへの警鐘だと私は思います。姫は神経質な訳ではないと思います。神経質なら、見鰍ッももう少し取り繕って現れたのでは?
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Unknown (れんくみ)
2007-12-21 08:36:37
この、童話!!私も昔、読んだあと数時間、起きていても背中になんかころころするものがある感じで、気になったものです。おそろしく久々に紙魚子さんのブログで、断片的に思い出しましたが、やはり、なんかころころ背中が気になります。そんなわたくしは、残念ながら全くのお姫さまでもなく、高望みをもった王様(御存知ですわよね)にも恵まれておりませんが・・・・。そして、肝心なことは、全くもって神経質ではございません。(夜は5秒で寝ます)
近江商人のおかみさんやったら、きっとその『ひとつぶ』を見つけだし、夜中に庭に撒いていたかもしれませんね。暖まって湿気もあったので、発芽も早いとか。で、新たにエンドウ御殿を建てるとか。
とても含みの多い文章ですね。シュールなアンデルセンは折にふれて、思い出すのがとても懐かしく、しかも新たな発見がありますね。
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Unknown (紙魚子)
2007-12-21 08:43:23
なるほど~。そういえば、彼女はなんかナチュラルな印象ではありました。

 あ、そういえば、いままでの姫の中でも、もしかしたら寝苦しかった人もいたのかもしれないけど、遠慮して言わない、という可能性も考えられますよね? そうではなく、正直にストレートなものいいをする、というのがチェックャCントその2だったのかも。

 なるほど~~。明治の日本のお嬢様たちの大胆で思い切った行動や、歯に衣着せぬご発言のエッセイなどを読むと、育ちがいいとはこういうことか、と思ったりしますもんね。

 貴重なご意見ありがとうございます。おかげで永年の疑問に王手がかけられた気がします。 
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Unknown (紙魚子)
2007-12-21 09:07:11
>れんくみさん

「近江商人のおかみさん」にまで考えが及ぶとは、さすがです!(笑)

アンデルセンの童話は何度も読んだのに、小学生のキャパには収まりきれずに、大人になってからも持ち越しているところがありますよね。
ほかにも「パンを踏んだ娘」という話も気になって検索してみたら・・・なんとNHK教育で人形劇になっておりました! 

 しかも子どもにとっては余りに恐ろしい歌までついていたため、この話&歌がトラウマになっていた(!。!)方もいらっしゃるほどだそうです。さもありなん。

 30年まえの話なので、もうその頃は私は人形劇は卒業していましたから、テレビは見ていませんが、二色刷りの本の挿絵で、(この話に出て来る)水中地獄の風景を見ました。いまだにそれが瞼に焼き付いていますもんね。
 おそるべし、アンデルセン!
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Unknown (☆紗)
2007-12-22 01:56:12
パンを踏んだ娘はインゲですね。こどもの頃読んだ時は、実はあまり印象に残りませんでした。他のアンデルセン童話が浮キぎて。高校生の時、萩尾望都の漫画でインゲの話を読み、この話の悲しさを再確認したのでした。
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Unknown (れんくみ)
2007-12-22 10:07:14
『「パンを踏んだ娘』ネットの検索サイトで拝読しました。ん・・・ん。深いですね~。子供向けの道徳童話だけでは、終らない広がりを感じますね。
ここのパン屋のおかみさんが、もしも近江商人のおかみさんやったら・・(まだいうか)。
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Unknown (紙魚子)
2007-12-22 22:13:01
子どもの頃見るビジュアルの影響力の大きさを、今さらながら痛感です。
子どもの頃に消化しきれない(深い)ものに出会うことの重要さもね。
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