紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

あの素晴らしいメシをもう一度

2009-06-01 23:44:00 | 新聞
 仕事の日の夜には、なかなか新聞をチェックするのが難しいので、翌日のオフにまとめて読む事にしている。

 しかし、なかなか面白記事を発見する事が無く、「優等生の朝日くんには期待する方が無理なのかも」と、ほぼあきらめていた。それでも筆致は抑え気味ながら、なかなかなネタが本日浮上したので、ご紹介したい。

タイトルは『あの留置所のメシをもう一度 出所後わざと無銭飲食』 (2009年5月31日付)

うーん。わかりやすいけど、なんか弱いな。いっそザ・フォーク・クルセダーズ風に『あの素晴らしいメシをもう一度』としたらどうだろう? いや、若い人にはなんのことだか、かも知れないが。

 それは、兵庫県明石市のインターネットカフェで無銭飲食をした男の話である。ありがちな住所不定の無職、25歳の男性で、なんと前日に「長野県」の刑務所をでたばかりなのだ。

 阿曽山大噴火さんの地方裁判所傍聴記を読んだとき、裁判官が「あなた、あれなの? 刑務所志願で万引きしたの?」という箇所があった。

 刑務所志願者ってオー・ヘンリーの短編小説の中での話じゃないんだ・・・しかも少なくとも裁判官という職種の方にとっては、珍しい事ではないんだ・・・とちょっと驚く。でも確かに食べ物と少なくとも屋根の下で寝られるんなら、刑務所暮らしの方がなんぼましか・・・という人が続出しても不思議じゃないのかも。

ところで、今回の犯人は万引きでなく、無銭飲食の罪。記事ではこんな風。

兵庫県明石市のインターネットカフェで無銭飲食をしたとして、明石署は住所不定の無職の男(25)を詐欺容疑で逮捕した。同署によると、男は前日に長野県内の刑務所を出たばかりで、「以前捕まった明石署の留置場のメシがうまく、わざと逮捕された」と話したという。だが、同署の留置場は満杯で、男は淡路島の別の警察署で勾留(こうりゅう)されることになった。

 明石署の留置所のメシがうまいからって! しかも罪状が無銭飲食だなんて! 犯人が「食」に対し、妄執ともいうべき情熱を傾けている事が、これでなにげなくわかる。

 しかも出所した19日のうちに明石に来ているのだ。所持金を新幹線代などで使い果たしてしまうくらい、本日中に明石に来たかったのだ。わざわざ留置所のメシを食べるために、である!

 しかし悪い事はできないもので、明石の留置所が満員御礼だったため、淡路島の留置所に移送されたらしい。
移送のため明石署を去る際は肩を落としていたという
から、ずいぶんな妄執である。食い物の恨みはおそろしいというが、思い込みというのも、あんまりなものである。
 
 だって彼は、19日夜から翌20日朝にかけて7450円分の飲食などをした疑いがあるというのだ。「疑い」の時点でこんなことをいうのも何だが、すでに7450円もの飲食をしているのに、1食あたり393円の留置所の給食が食べられなかったからと肩を落とすなんて。それはずいぶんに、くだんのインターネットカフェと淡路島の留置所の給食業者に対して失礼ではないか、とも思う。いやまあ、値段で「うまさ」は計れないんだけど。それでもねえ。

 一方、この男に見込まれた明石留置所の給食担当業者は、

明石署に給食を提供している業者は朝日新聞の取材に「味には自信はありますが、素直に喜んでいいのかどうか」と困惑していた
ということなのだ。たしかに素直に喜べない状況ではあるよね。いくらうまいからって、これで留置所志願者が増えて、明石が軽犯罪の多発地帯になったらねえ。

 やっぱり、いろんなこと見直した方がいいのでは。軽犯罪、増やすのはマズいもんねえ。これって福祉がしっかり機能してたら、よほど矜持をもっている人(死んでも福祉のお世話にだけはなりたくない、という人)以外は、わざわざ罪を犯さないと思うんだけどね。と、ウケたわりには、真面目な落ちになってしまった。 

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