紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

丸腰テロリスト、ビリー牧師の巻

2009-04-20 23:15:00 | 読書
 現在外は雨まじりで、ものすごい風の吹き荒れる嵐。こんな日に塾のお迎えじゃなくてよかった! 車ごと吹き飛ばされていたかもしれないもんな。

 さて、今日は家族の薬をもらいに(いや、もちろんお金は払うんだけど)、行きつけのお医者さんに行った。もう風邪やインフルエンザの流行からはずれた季節なので、受付をした後も、そのまま待合室で薬ができるのを待つ。

 待ち時間には、あともう少しの『コラムの花道 2007傑作選』を読む。大好きな町山智浩さんの回(2007.11.27)。当時は「カリフォルニア州バークレー在住の映画評論家」として紹介されていた方である。タイトルは『ビリー牧師の過激パフォーマンス/買物狂社会アメリカの不買運動』。

 ビリー・グラハム牧師? あのテレビ伝道師の? 彼がなんで過激パフォーマンスで、不買運動なんだろう?

 いや、ビリー・グラハム牧師は2005年6月にニューヨークで「最後の伝導」を行っているそうなので(しかも90歳を超えられた)、過激パフォーマンスは無理である。町山さんが紹介したビリー牧師は、ビリー・グラハム牧師をパクった「なんちゃって牧師」で、不買運動を牧師パフォーマンスによって展開する一種の「不買運動テロリスト」なのである。

 お客でごった返すショッピングモールにビリー牧師とその信徒たち20名ほどが、店の真ん中で「無駄な買物は罪だ! 悪魔の誘惑だ!ショッピングを今すぐやめないと、神の裁きが下るぞ! ハレルヤ!」と説教を始めるそうなのだ。

 信徒たちはドリフターズの少年少女合唱隊みたいなスモックを着ているそうである。「買物止めろ♪」とゴスペル!!を歌ったりする「買い物やめろ教会」の信徒たち、ということになっている。

 もちろん彼らは店の許可なんか取っていないので、営業妨害の罪で、警察が来て逮捕される。でも軽微な罪なので、翌日出所らしい。

 町山さんがこの日紹介されたのが、そんな「買い物やめろ教会」の面々が、年末商戦と戦うドキュメンタリー映画『What would Jesus buy?(もし、イエス・キリストがこの世にいたら、買い物なんかするでしょうか?)』

 ウォールマートの本社の看板に「この会社は悪魔の会社だ! 悪魔払いをしよう!』と叫び、聖水!?をかける。ビリー軍曹ではないけれど、ディズニーランドにだって「突撃」する。

 スターバックスに行って他人の注文したコーヒーを飲み、「なんてうまいコーヒーなんだ!」とぶちだすのだ。もう、やりたい放題である(笑)

 「昔、ここにはアンおばさんが経営していたまずい喫茶店があった。ぶあいそで、サービスは悪くて、コーヒーはめちゃめちゃまずかったけど、一杯100円だった。でもいまおまえは400円も出して、カフェラテを飲んでいる。あのアンおばさんの店は、どこにいったんだ!」

 という風にローカルの個性的なお店が、画一的なチェーン店になぎ唐ウれてしまったのを批判するわけである。そしてやはり警察に捕まるのだ(笑)

 グローバリゼーションやチェーン店などによるローカルビジネスの破壊を批判する人は山ほどいたし、いまもいる。サブプライム・ローンやクレジット社会への反省を促すのもね。だけどそれを、身を挺して批判する人って、仄聞にして私は初めて知った。しかもなんちゃって牧師と信徒によるコール&レスャ塔Xのお笑いパフォーマンスがテロの武器だなんて!

 たとえばこんなかんじ。

ビリー 「クリスマスって、そもそも何の日なんだ?」
信徒  「これは貧しい人々を救うために主イエス・キリストが生まれた日です」
ビリー 「じゃあなぜその日に、iphoneだのニンテンドーだのを買うんだ?関係ねーだろ?」
信徒  「そうです!!」
ビリー 「主イエスが一度だけ激怒されて、暴力をふるわれたときがある。それはいつだ?」
信徒  「欲に目を血走らせた商人を蹴散らしたとき、その一度だけです!」
ビリー 「ならば主が一番憎んでいることはなんだ?」
信徒  「買い物です!! ハレルヤ!!」 

 こちらでも定額給付金の申し込み受付が始まり、5月になれば振込がある。でも今後は、学費の引き落としをはじめとして、固定資産税、自動車税、おまけに車検までが手ぐすねひいて待っているのだ! 家族全員の定額給付金を使って、税金だけでも払えるかどうか、心もとない。地元でお買い物どころではないのだ。

 「買い物やめろ」信徒となるには、ちょうどいい頃合いなのかも。悪魔の誘惑を断ち切り、罪を悔い改めて、今後無駄な買い物は我慢するよう勤めます、アーメン! なんちゃって。

だいすき!! Hさん。

2009-04-19 22:46:00 | おしごと
 職場で大好きな人(元同僚も含めて)が、何人もいるというのは、幸せなことだ。

 夫のお姉さんが、いつか「女の人ばっかり(いや1、2名の男性もいるが)の職場だと、大変でしょう?」と言ったことがあったが、それはケースバイケースかもしれない。

 昨年度まで職場での最年少だったHさんは、私の娘といっても不思議じゃない年齢で、たいへんかわいい人である。天性の癒し系であり、もうそこにいるだけで和んでしまう存在。ときには厳しく忙しい、ハードな職場にこそ、なくてはならない人材である。

 以前、内田樹先生が『「平八」的なものについて』というタイトルのブログ記事で、

「個人的にはそれほど高い能力があるようには思えないが、その人がそこにいるだけでなんだかその場が明るくなり、集団のパフォーマンスが上がる人」がいる。

と書かれたことがあるが、Hさんはまさにそんな感じ。これはやはり独自の才能だ。たぶん本人的には、しごく真面目なんだとは思うんだけど、意図せずして天然な笑いが取れるというのも貴重なこと。

 まさに「砂漠にオアシス」なのである。彼女のいるといないとでは、職場の和み方がずいぶん違うんだから。

月日は流れる。

2009-04-18 00:06:00 | おしごと
 4月からの新メンバー体制も、少しずつ最初の緊張がほぐれ、笑顔がほころぶことも増えて来たような気がする。

 やはり初めての場所で人間相手の仕事をするのは緊張度が高いし、慣れない仕事は勝手が分からず落ち込むことも多々ある。おまけに慣れないうちは肉体的にも精神的にもハードな仕事ではあるし。

 職場の中でも、相手の状況やそれぞれの人間関係が飲み込めない内は、あまり無邪気に自分を出してはマズいんじゃないかと警戒してしまったり。

 そんな中で、フレンドリーに笑顔で話しかけてくださるスタッフの方は、実にありがたく、まさに「砂漠でオアシス」だった。

 あんなふうに新しい方と接していかなければ、と思いつつも、まだまだだなあと。なんといっても私自身が、仕事の上でもまだまだなのだ。

 そこを乗り越えて、いやしくも「おばさん」としての財産、つまり年を経ただけ数は増えて来ている「引き出し」を使って、去年もらった恩を次の人に返して行かなければね。

小説のテーマ

2009-04-17 14:32:00 | 読書
「人の一生は私たちが思っているよりずっと短く、限られた短い時間の中で愛や友情について学ばなければならない。いつ終わるかも知れない時間の中でいかに経験するか。このテーマは、私の小説の根幹に一貫して流れています」

これは昨日の(実は今日だけど・・・汗)ブログでリンクをはった、カズオ・イシグロさんのインタビューの言葉。ほとんど、これだけで十分感動する。これって、まさに基本。人生のツボじゃん! でもこんなあたりまえのことを、最近ほとんど聞かないんだよね。

 村上春樹氏が英語圏にも読者を広げていることについては「伝統的なリアリズム小説の枠を離れたところに作品世界を設定できるムラカミさんの力によると思います」と語った。親交があり何年か前、ロンドンマラソンを走りに来た村上氏から日本のジャズのCDをお土産にもらったと笑顔を見せた。

 ああ、小説を書くこと、そして読者に対するストイックなまでに誠実な姿勢が、この二人はもしかすると非常に似ているのかも。イシグロさんの小説については、まだ読んでないも同然なのに、異様に好感触(笑)

 2005年7月、ロンドンの地下鉄でテロ事件が起きた。「現在の不安定な世界情勢は、何かが変化したのではなく、何かがずっと続いている状況でしょう」

 それでも生きていく人間への信頼。誠実に日常と向き合う勇気。氏の新作(2006年現在)はそのことを、改めて思い起こさせてくれる。


 短いけどとてもいい記事だったので、リンクだけでは飽き足らず、紹介してみました。

いまさらながら発掘。

2009-04-16 23:29:00 | 読書
 カズオ・イシグロの『私を離さないで』(リンクにはネタバレがありますので、ご了承の上開いてください)を最初の4ページで驚愕。

 恐ろしくうまい!!  

 あっと言う間に、あっちの世界(本の中の世界)にスライドできて、どんどん次を読まされる。それも内容というより、文章に乗せられて。きっと土屋政雄さんの末烽、まいんだろうなあ。

 きっと構成も効果的に組み立てられていそうだし、テーマも重そう。でもテンションは下がらないような気もする。というか、あまりに重すぎて、反動でテンションあがるかもしれない

 そういうことは、私の場合ままある。村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』を読んで、1ヶ月の間、ある意味ハイテンションだった。しかも、アタマで理解できてなかったにも関わらず。理解できなかったからこそ、というべきなのかもしれないけど。

 なんにしろ、読んだことのないタイプの小説なので、どきどき。今後、読書時間の開拓を進めなければ。