花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

所変われば品変わる

2024年03月28日 | 
先日に引き続き煎餅の話題。こちらは同じ煎餅でもお米が原料。
「わんど(私たち)のせんべい」というユニークな商品名がついています。
この煎餅は青森県の津軽地方にある五所川原農林高校と新潟県のメーカーのコラボ商品。
新潟は誰もが認めるお米の産地で、有名な煎餅メーカーがたくさんあるので
米煎餅を作るのは分かります。ではなぜ青森県の南部地方が小麦の煎餅なのに対し
同じ青森県でありながらこの津軽の高校ではお米の煎餅を作ったのでしょうか。
理由はやはり「ヤマセ」。低温多湿のヤマセは偏東風というように
太平洋側から霧となって流れ込みます。しかし青森県の中央には
八甲田連峰があり堰き止めるので、日本海側の津軽地方には届かないのです。 
そのため津軽地方の夏は晴れの連続。日中の気温が高く
夜間は放射冷却で冷えるため、作物は光合成で作った澱粉を
どんどん増やすことができます。その結果、同じ青森県といえども
津軽はリンゴやお米の大産地になっているのです。
日頃からお米を食べていた津軽と神事でしか食べられなかった南部。
まさに「所変われば品変わる」です。
このお煎餅は津軽らしくリンゴ味。期間限定ですが
東京でも手に入るようなので、見つけたらぜひ食べてみてください。
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半生煎餅

2024年03月22日 | 
青森県の太平洋側、かつての南部藩一帯は夏に低温多湿の風「ヤマセ」が吹くところ。
したがって昔は冷害が多発して、お米がとれず苦しんできました。
そんな先人が考えたのが雑穀。アワ、ヒエ、キビ、ソバ、小麦など
冷害に強い作物の栽培です。しかしお米に比べるとあまり美味しくありません。
そこで先人たちは、さまざまな食べ方を考案しました。
そのひとつが「南部せんべい」。せんべいといったら米粉で作るもの。
日本の常識ですが、この地域では小麦で作るのです。
あっさりとした塩味、パリパリした食感が特徴ですが、こんな煎餅もあります。
それが「てんぽ煎餅」。もち煎餅ともいいます。
調べてみると「てんぽ」とは中途半ぱという方言。
つまり見た目では分かりませんが、かた焼きではなく半生煎餅という意味です。
半生といっても熱が入っているので食べても大丈夫。
原料が小麦ということもあり、食感はうどんやお餅に似ています。
熱々を食べると、これが煎餅かとびっくりするぐらい美味しいのですが
冷めるとだめ。冷えたうどんが硬くなって美味しくないように
極端に味が落ちます。したがってお土産にはならないので
新幹線の駅でも売っていません。美味しく食べるためには
その町に昔からある自ら焼いている煎餅屋さんに行く必要があります。
現在は知名度が下がり、需要は減少。
でも名農周辺ではまだ作っているお店があるので、
機会があったらぜひ先人の知恵をご賞味ください。
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ラーメン大好き?

2023年12月30日 | 
年末の徳島にやってきたFLORAの男子メンバー。
大好きなのはラーメンということで、
ご当地の徳島ラーメンを食べると最初から宣言していました。
大会が終わったのは夕方。そこで徳島ラーメンを食べに行ってきました。
今年5月、学会で発表するため徳島を訪れた節水チームも
やはり食べましたが、普通のラーメンとはまったく違うスープ、
生卵を浮かべる食べ方に驚いていました。
今回はラーメン通。どんな評価が下されるかと聞き耳を立てていると
「これは美味しい!」と感激しています。
出来立ての美味しい徳島ラーメンを食べられるのも徳島に来れたから。
食べ終える頃には、手ぶらで帰ることになりガッカリしていた二人も
いつのまにか元気になっていました。
さて悲劇はこの後。実は主催者である徳島県が用意してくださったホテルは夕食付き。
それもナイフとフォークで食べる洋食です。ホテルも会場も立派。
こんなに素敵なおもてなしをしてくださる高校生の大会はそうあるものではありません。
全国各地から集まった高校生をいかに大切にしてくださっているかが分かります。
しかし問題は今運ばれてきた目の前のスープ。飲まないと次が出てきません。
お腹はラーメンでいっぱいなので、食べないなんて失礼なことができないFLORAは
最後の力を振り絞ってなんとか乗り越えました。
いろいろな意味で思い出に残る大会になりました。
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今日は冬至、鍋にしない

2023年12月22日 | 
名久井農業高校のある青森県南部町には
笑顔あふれる明るいコミュニケーション推進条例というものがあります。
通称「鍋条例」。毎月22日を鍋の日として、PRを図っています。
キャラクターもあるので、興味のある方は探してみてください。
22日なのは御察しのとおり。鍋だけに「ふーふー」だからです。
毎月なので真夏にも鍋の日はありますが、やっぱりしっくりくるのは冬。
こたつに入って暖かな鍋を囲むイメージです。
こちらの鍋は県南名物の「せんべい汁」。
南部せんべいを鍋に入れて食べる郷土料理です。
アルデンテ状態のせんべいはつゆが染み込んでおり、なかなか美味しいものです。
ただこの地域のせんべいはお米ではなく小麦粉。
皆さんびっくりされますが、悲しい理由があります。
それはかつて低温多湿のヤマセが吹くため米が採れなかったのです。
栽培していたわずかなお米はお盆やお彼岸、そして神事用。
晴れの日にご先祖や神様をもてなすためのもので、
普段の主食はあわやひえ。それに小麦とそばなどを加えた雑穀食でした。
したがって雑穀を美味しく食べる食文化が発展したといわれています。
今日は名農の終業式。そして今年最後の鍋の日、さらに偶然にも冬至です。
冬が来ました。今夜は暖かい鍋にしない?
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あたし母親似です

2023年10月02日 | 
リンゴ王国の青森県では10月になると
いろいろな品種が採れ始めます。
このリンゴは9月の品種で、右が「あかね」、左が「とき」です。
あかねは、見た目も味も母親(種子親)の紅玉にそっくり。
真っ赤ですが、酸味が強いので加工に最適です。
でも少し黄色の部分が見えます。
赤いリンゴは満遍に光が当たるように果実周辺の葉を摘み取ります。
もしかしたらこれは葉を摘まない「葉取らずリンゴ」かもしれません。
葉を摘む労力が削減できるので、最近増えている栽培法です。
もうひとつのときは、黄色の品種。甘さもあり生食に向いています。
また、ときはなんといってもルーツがすごいんです。
母親(種子親)は王林、父親(花粉親)はふじ。
両親は日本を代表する大御所です。
でも見た目は王林の方に近いと思いませんか。
あかねもそうですが、花粉親より種子親、
つまり育種は母親の方に似やすいといいます。人間もそうなのでしょうか。
猛暑で青森の赤いリンゴの発色が悪くなっています。
それを救うのが黄色の品種。ぜひ食べてみてください。
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