花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

トンネルの向こう

2022年04月30日 | 学校
とうとう名農が赤や黄色のもみじに包まれ始めました。
毎年のことではありますが、季節を間違ってしまいそうです。
おそらく4月に入学したばかりの1年生やその保護者の皆さんは
この絶景に驚いているのではないでしょうか。
馬淵川の氾濫から校舎を守るため、現在の高台に移転したのは昭和40年代。
今日は開校記念日。いつもなら生徒は平日の場合、お休みですが、
あいにくの土曜日と重なり残念です。それにしても緑のない土ぼこりが舞うキャンパスに
こんな素敵な植栽デザインを施してくださった先輩方にあらためて感謝したいと思います。
さてこのもみじのトンネルの向こうは第3農場。
名久井農業の野菜圃場が広がっています。
ゴールデンウィーク明けはそこで地域の皆さんが心待ちにしていた
野菜苗販売が開催されます。地元の農家はもちろん、
遠くはお隣の岩手県からもくるとのこと。それだけプロが認める
健全で良い苗を提供し続けているということで、
これは名農が胸を張れるところです。
野菜苗販売の時の駐車場はグラウンド。
大きな2面のグラウンドが自動車でいっぱいになります。
販売は5月12日と13日の2日間。
この日ばかりは主担当の生物生産科だけでなく環境システム科も応援。
全校生徒あげて取り組む予定で、まるで春の文化祭です。
苗をお求めの方は、ぜひこの春なのに色づくもみじも
堪能してもらいたいものです。
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新装備

2022年04月30日 | 研究
先日、第30回地球環境大賞の授賞式に招かれ
FLORA HUNTERS 全員で上京することになりました。
日帰りとはいえ半年ぶりの遠征。
日本中を駆け回るのが売りの研究班ですが、この2年間で遠征はたった2回。
もう3年生になった6名ですが、今回が初遠征というメンバーも2名います。
おそらく中学校の修学旅行以来だと思います。
そんなことから、すっかり遠征のノウハウを忘れてしまいました。
そこで必要物品を確認していたら今の時代らしい新たなものが加わっていました。
それが消毒用アルコール。生物工学実験室にある70%エタノールと
同じものですが、携帯用スプレーに入っています。
もちろんコロナ対策。毎回メンバー分を用意して配っています。
電車の車両はある意味密室。それも新幹線が徐行しているので
今までよりも長い旅になります。
施せる対策はなんでも行い、とにかく無事で帰っこようと必死です。
集合は八戸駅に朝7時。遠い町から来るメンバーは
5時過ぎに家を出ると話していました。授賞式は撮影禁止。
したがって行き帰りの道中の様子などをご紹介したいと思います。
なお一昨日のTVや昨日の各新聞に授賞式したことが紹介されました。ご覧ください。
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ベースキャンプに春が来た

2022年04月30日 | 学校
ここは環境班フローラハンターズの本拠地である馴化温室脇。
初代TEAM FLORA PHOTONICSが結成された翌年の
2010年から研究場所として使わせてもらっています。
かなり年代物の温室ですが、現在つかっているのは環境班だけ。
したがって自分達好みに準備室をレイアウト。
まるで家にいるような安心感を感じます。
そんな温室脇にあるのがブルーベリーとフキの大鉢。
いずれも環境班が管理しています。
とはいっても左側のフキは以前、ご紹介したサラダフキを研究した際の残骸。
とっくに担当者は卒業してしまいましたが、
今も春になると芽を出してくれます。
種類は大きな秋田ふきよりもさらに大きくなるラワンブキ。
日本一大きなフキですが、栄養分が足りないのでこんなにも小さくなりました。
右はブルーベリー。これはチームの大切な換金作物。
毎年収穫してはパック詰にして校内販売しています。
ブルーベリーは放ったらかしでも育つ果樹ですが、難点がひとつ。
それが収穫に手間がかかること。実が小さいので30分摘んだとしても
たいした量になりません。ブルーベリーの価格が高いのは
これも理由だと思います。改善策はひとつ。
自分で摘まず、面倒な作業をお客様にさせる観光農園方式。
お客様は自分で摘めると喜んでいます。
さらに摘み取りできるというのが付加価値になって
少々高い価格設定でも集客できるといいます。
でも優しいメンバーばかりなので、なんだか罪の意識を感じてしまいます。
商人には向いていないのかもしれないフローラです。
ところで昨日の夜はぐっと冷えました。山では雪やみぞれの予報でした。
明日はゴールデンウィークですが実験の予定。寒くなければ良いのですが。
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ふきを生で食べよう

2022年04月29日 | 研究
この料理をご覧ください。名前を「サラダふき」といいます。
これは2016年のTEAM FLORA PHOTONICSが研究開発したもの。
とはいっても開発したのは料理ではなく、生で食べるための栽培法です。
一般的にふきはめえぐみがあるため生では食べません。
このえぐみの正体はシュウ酸。あまり摂取しすぎると
結石ができるなど体に悪影響を与えます。
したがってふきは一度煮ることになります。ご存じふきの水煮です。
しかし煮てしまうと当たり前ですが食感が悪くなります。
さらにビタミンやポリフェノールが溶出してしまいます。
そこで考えたのが生で食べるふきを育てる特殊栽培法です。
栽培は思ったより簡単。ホワイトアスパラと同じように
茎を遮光して軟白にすれば良いのです。
しかし注意しなければならないことがあります。
ふきは想像以上に光に敏感で葉のすぐ下まで遮光しないと
すぐに緑化するのです。チームが考えたのはオガクズや籾殻で茎を埋めること。
茎が伸びたらどんどん足していくのです。
そして収穫時期になったら掘り上げますが、成功すると茎は真っ白。
透明感すら感じる白色です。これを切ってさっと水洗いしたらもう完成。
ドレッシングでもかけるとまるでウドのような風味です。
専門機関の分析の結果、心配されるシュウ酸はなんと 従来の半分。
これは生で食べるトマトよりも少ない量です。
試食された先生方はえぐみがなくシャキシャキした食感に驚いていました。
この年、フローラが開発した「サラダふき」は科学技術大会でグランプリを受賞。
新聞にも大きく取り上げられました。
チームの本拠地である順化温室の脇には開発のために当時のメンバーが植えた
日本一巨大な「らわんぶき」が顔を出しているはずです。
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夢半ば

2022年04月29日 | 研究
春になりいろいろな植物が葉を開き始めています。
さてここに見えるのはよくある春先の風景ですが、
TEAM FLORA PHOTONICS時代の夢のなごりを見ることができます。
まず一番奥で咲いている花は、ご存知クリスマスローズ。
キンポウゲ科の宿根草で、2009年の結成当時から交配栽培をしてきました。
そしてもうひとつが一番手前の明るい緑の葉。
これは同じキンポウゲ科のシラネアオイ。
シラネアオイ属シラネアオイ種に分類され、
他に仲間のない一属一種の日本固有の植物です。
花を知っている人はわかると思いますが、
咲き姿がクリスマルローズ、つまりヘレボルスとよく似ているのです。
かつて園芸科学科草花班だった頃のメンバーは
クリスマスローズとシラネアオイの交配を企てたことがあります。
同じ科、似たような花。もしかしたら種子ができるかもしれない。
また受精はしても、胚乳が発達不全になることも考えられます。
その場合は胚を取り出し胚培養するという対策も考えていました。
ハクサイとキャベツ(甘藍)の雑種である「ハクラン」を誕生させたように
胚培養は異種間の雑種を作る際によく用いる技術だからです。
目的はシラネアオイのきれいな薄紫の花の色をクリスマスローズに導入すること。
今までなかった青色系の花を咲かせるクリスマスローズを見たかったからです。
残念ながら環境システム科に移籍したこともあり、草花研究は夢半ばで断念。
春先、シラネアオイが顔を出して来ると、当時を思い出します。
今日から名農は5日まで大型連休。そこで春になりたまった写真を活用するため
1日3枚掲載する計画をしています。あくまでも計画ですが・・・。
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