(↑この絵は↓この公式サイトより拝借)
http://www.moonrock.info/front/vol1.html
うるし原智志氏というキャラデザ屋がいる。
ラングリッサーで有名な人だ。
ラングリッサー知らなくてもその絵を見れば
「ああ、この絵の人ね」
とティンとくるかもしれない。
これまでこの人のアニメ作品を見たことはなかった。
もしくは関与度が低くて見ても気付かなかった。
(Wikipediaをみてみると著名なアニメの原画を多数担当していることがわかり、「見たことはなかった」というのは大きな誤りだった)
で、最近それをふとした拍子に見ることができた。
人物画を見た瞬間、1秒で
「あっ、うるし原智志氏の作品だ」
とわかった。
それがフロントイノセントである。
はじめに断っておくが、この作品はただの18禁エロアニメである。
ただ性的描写を追及しただけの作品にすぎない。
しかし!
ただの18禁エロアニメにもかかわらず、そこにただならぬものを感じる。
それは恐らく見ればわかる。
では、なにが他と違うのか?
とにかくもう、うるし原智志氏の作品臭いことこの上ない。
それもそのはず、作品の関与度が尋常ではない。
原作 = うるし原智志
脚本 = うるし原智志
監督 = うるし原智志
絵コンテ = うるし原智志
作画監督 = うるし原智志
キャラデザ = うるし原智志
ひとり何役やってんだか数えないとわからんくらいの仕事量だ。
一般的には原作よりもアニメのほうが作風の独自性が薄れる。
18禁にかぎらずほぼ全てのアニメでそういう傾向になる。
マンガをアニメ化した作品をみるとそれを意味するところがよくわかると思う。
アニメ化作品はいつもと同等の安定したクオリティーに仕上がっている反面、絵が作者っぽくなくなりただのフツーのアニメ絵っぽくなってしまう。
原作のマンガのファンだった場合には特にこういうところは残念に感じてしまう。
あえて作品名は書かないが、そういう作品はメジャータイトルでも腐るほどある。
これは、マンガよりもアニメのほうが係る人の数が桁違いに多く、必然的に1人あたりの関与度が薄れるからに他ならない。
ようするにマンガなら全部1人で描くことも可能だが、アニメを全部1人で描くことは不可能だからという意味だ。
しかし!
さすがにアニメを全部1人で描くのはムリにしろ、ほとんど1人でやったといってもいいような作品もある。
その類稀なる作品の1つがフロントイノセントなのだ。
仮に原作のマンガがあったとしたら、これは1ミリの狂いもなくカンペキに忠実な移植となっているであろうと思わせる。
それくらい原作者の個性が反映されているし、それくらい丁寧に作られている。
一般のTVアニメに比べると著しくクオリティーが低い雑な作品も少なくない18禁エロアニメ業界。
その中にあって、これほど原作者の個性を生かし、これほど過剰に丁寧に作られた作品が他にどれだけあるだろうか。
18禁エロアニメという枠組みにとらわれず、そこにはアニメ全般における1つの到達点があると思うのだ。
追伸:
無修正版のほうがよりうるし原智志氏の作品臭いので、そっちのほうがオススメだ。
いや、どっちがエロいとかそういう話だけじゃなくて。