今さらあえて言う必要もないが、いま金(銭でなくてGoldのほう)価格が高い。
金は現物に裏打ちされた資産であって、国の信用で発行している通貨よりも安心な資産だとかいうヤツもいる。
ところで。
本当に金には現物に裏打ちされた価値があるのだろうか?
http://www.hs-sec.co.jp/cfd/study/column/20100407.pdf
↑これを見るとわかる。
金の工業需要など全体の11%くらいしかない。
とあるインチキ臭いセールスマンで
「金は携帯電話などの電気製品でたくさん使われています
いまインドでその需要がすごいから、金価格はまだまだ上がります
金は代替がきかない希少な資源なんです」
と言うヤツがいた。
もちろん間違いだ。
金の工業需要は先のように全体の11%くらいしかない上に、金の使用量もどんどん下がっている。
なぜ下がるのか?
工業需要としては、おそらくLSIのワイヤボンディングとコネクタなどのメッキ用で多分ほとんどだろう。
ワイヤボンディングのほうは金が高すぎるというので銅にあっという間に置き換わろうとしている。
コネクタのメッキはそれほどカンタンではないかもしれないが、パラジウムメッキでも多少代替がきく。
雄雌のどっちか一方はニッケルメッキのまま使うという事も十分考えられる。
あんまり金価格が高止まりしつづけるなら、PCB側の金メッキも低コストな部分金メッキ技術が開発されるかもしれない。
我々技術屋は金が急騰したらしたで何とかケチって安くあげる方法を考える。
実際に今までそうしてきたし、これからもそうするだろう。
ただし需要がゼロ付近にまで落ちることはないが。
金というのは実需があるから高いのではない。
紙幣とおなじで金に価値があると世界中の皆が思い込んでいる価値があるだけでしかない。
工業用金属として現物に裏打ちされた正味価値はどれくらいあるかってぇと、恐らく今の1/10くらいしかないのではなかろうか。
そもそもコモディティーの適正価格はいくらなのかの判断は極めて難しい。
まだ原油のほうが長期的には採掘コスト以下で低位安定にはならんだろうとか予測が立つが、金属のほうはさらにさっぱりわからん。
だから金などに投資などしたくはない。
そもそも金は持っていても増えないから、そんなものを投資と呼ぶこと自体に違和感がある。
ちなみに原油のETFは先物の差し入れ分を引いたのこりを高格付け社債とか米国債とかで運用するようになっているので、特定のものに関しては持っていても金利分から運用手数料を引いた分だけ僅かづつだが増えるようにできている。
これは同じコモディティー投資とはいえ、持っていても増えない金とは全く違う。
いまの金の急騰っぷりはこれからどうなるのか。
傍観の立場から狂乱っぷりを観察してみたい。