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一昨日から、中国の荊州に来ている。
かつて、あの劉備が治めていた街だ。
案内されるままに、荊州城に赴いた。
四方を掘りに囲まれたこの城壁都市は、いくつかの門によって外界とつながっている。
その一つ寶陽楼に登る。
建物に飛び込むと同時に、図っていたような夕立がやってきた。
ひとしきり降り続く雨の中で、浮かび上がるような町並みを見ると、曹操軍の足音が聞こえてきそうだ。
荊州は水の都でもある。
陸水の研究者である我々は、揚子江を見に行く。
思ったより水がきれいだ。
上流に三峡ダムが出来て濁りがのぞかれ、見た目には良くなったのかもしれない。
不思議なことに、河原の石に付着藻類が見えない。
水温も10℃くらいだろうか。
この地域では、揚子江の水も貧栄養なのかもしれない。
河畔にたたずむ万寿園を訪れる。
ここには七重の塔がある。
正面から見ると六重の塔だが、近づくと七重に変わる。
つまり、一番下の台座が最近発掘されて、七重となったのだ。
七番目の階は、近づかないと見えない。
昔はその分だけ、土地が低かったことになる。
揚子江の氾濫で、1階分の土砂で埋まったのだろう。
塔には歩いて登ることもできる。
ふと屋根瓦にならぶ七匹の動物に目がいく。
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先頭は鶏に乗った人物だ。
その後に、馬や牛、魚などが続く。
最後には竜の大きな瓦が備える。
こんな話は聞いたことがない。
一体、何の言い伝えなのだろうか。
中国の古い街に行くと、知らなかった発見に驚く。
この世の中には、知られていないことや説明ができないことがきっとたくさんあるのだろう。
不思議発見。
今回の中国、荊州の小旅行は、そんなテレビ番組を地で行くような道中だ。