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ハクウンラン・4~下柚木

 ラン科ハクウンラン属「ハクウンラン(白雲蘭)」。本州以南の広葉樹林の林床に分布している多年草で、海外では台湾や朝鮮半島に分布している、植物学者の中井猛之進博士(1882-1952)が朝鮮半島の白雲山で初めて採集したことから名付けられている。ちなみに学名は“Kuhlhasseltia nakaiana”で中井博士の名前を冠している。
 これまでハクウンランは“高尾山6号路”、“奥高尾”、“高尾山いろはの森コース”で見ていたが、最近はそこでは見られなくなっている。おそらく大雨による土砂で流出したかと思うが盗掘の可能性も考えられる。ここ下柚木の雑木林では昨年地元の専門家から発見連絡があったが私が見に来た時は既に花が終わり葉しか残っていなかった。そこで今回は1年越しの探索。明るい雑木林の中の道は雑草や笹が生い茂り以前は見えていた地面は全く見えない。まさに“けもの道”の様相でマムシも潜んでいそう。そこを藪漕ぎしながら去年葉を見たポイントにやっと辿り着き辺りの草を掻き分けて探した。草丈はわずか8~9センチで唇弁の幅は3~4ミリの小さな株だがこの日は幸運にもすぐに見つけることができた。花を見るのは2年振りだ。
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ヒメチドメ

 奥高尾“大平林道”の水が染み出ている道端に生えている「ヒメチドメ(姫血止)」。ウコギ科(←チドメグサ科・セリ科)チドメグサ属の常緑多年草で日本固有種。本州~四国・九州の山地の林内や丘陵地に分布している。花期は6~10月で葉腋から短い花柄を出し直径2ミリほどの淡黄緑色の花を2~4個咲かせる。花弁は5枚で雄蕊は5本ある。ヒメチドメの葉は0.5~2センチの円形で掌状に5~7裂し基部は深く広く切れ込む。
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ウラジロ・3~奥高尾2

 奥高尾の南斜面には“大平林道”や“高尾林道”がある。自動車が通れる道幅だが轍には草が伸び自動車が通るのは緊急時など年に数回だけだろう。この林道を歩く人は少なく日によっては誰とも出会わないことがある。高尾山のメイン登山道は休日ともなると登山者が押し掛け、平日でも小中学生や高校生の課外授業なのか、奥高尾“小仏城山”あたりまで若い声が響き渡ることがある。そんな混雑を避けてのんびりこの林道を歩くのは落ち着く。ところが林道の途中で『クマ目撃情報』の看板があると気分は突然緊張モードになる。それまでやや控えめに鳴らしていたクマ除け鈴を手に持って間断無く鳴らし前方や後方を十分に注意しながら進む。トレイルランナーや登山者と出会うと一瞬安心するが彼らが視界から消えるとまた不安になる。
 高尾山系では景信山や一丁平でツキノワグマの目撃情報があリ去年は八王子市役所付近の浅川にも現れていた。日本各地でクマ被害がニュースになっており高尾山系でもいつ起きても不思議ではない。ツキノワグマは人を食べるために襲ってくるのではなく、人を怖がっており自分が逃げるために攻撃するので抵抗せずに数分耐えれば逃げていくと言われているがこれはあくまでも一般論。クマがパニックになれば何をするのかわからない。やはり山歩きの際は最悪の事態を想定して細心の注意を払って臨みたい。
 写真は“大平林道”の斜面に生えている「ウラジロ(裏白)」。ウラジロ科ウラジロ属の常緑性シダ植物で暖地の山地の山肌などに生育している。ウラジロは1年目は渦巻き状の芽が1対立ち上がる。2年目は前年の2枚の葉の間から葉柄を伸ばしその先端から新たに2枚の葉が出る。3年目も同じように葉が出て積み上がっていく。そのために段の数を数えればその株が何歳なのかわかる。確かここでは2年前に同じ株を見ていたがそれよりもずいぶん大きくなった。
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