現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

恐怖の報酬

2023-09-07 09:54:02 | 映画

 1977年公開のアメリカ映画です。

 1953年公開のフランス映画の名作を、巨匠ウィリアム・フリードキンがリメイクしました。

 おんぼろトラックでニトログリセリンを運ぶというオリジナルのアイデアに、いろいろな味付けをしてスケールアップしています。

 南米のどこかにある、世界中で行き場をなくした男たちが集まっているたまり場で、油田の火事を爆風で消すためのニトログリセリン運びの仕事が大金をかけて募集されます。

 応募に合格した四人の男たちは、二台のおんぼろトラックに分乗します。

 彼らの行く手には、大嵐、ぼろぼろの吊橋、細い崖の道、大嵐で倒れて道をふさぐ大木、山賊などの障害が次々と現れます。

 けっきょく、たどり着いて大金を手に入れたのは一人だけで、残りの三人は命をおとします。

 そして、ロイ・シャイダー演じる最後の男にも、アメリカから彼を追ってきた殺し屋たちが到着するところで映画は終わります。

 それが、恐怖の報酬だったのです。

 

 

 

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テルマエ・ロマエ

2023-09-05 12:08:33 | 映画

 ヤマザキマリの人気コミックスを、2012年に実写映画化しました。
 主役の阿部寛を初めとした彫りの深い、いわゆる濃い顔の俳優たち(市村正親、北村一輝、宍戸開など)を主要なローマ人役に採用し、平たい顔族(日本人)と対比させるという画期的なアイデアで大ヒットしました。
 特に、阿部寛と愛し合う女性として、平たい顔族の代表的な美人である上戸彩を選んだのは秀逸でしょう。
 ストーリー自体は他愛のない物なのですが、ここで紹介されるいろいろなお風呂用品や温泉を改めて見ると、やはり日本のお風呂文化は異常なまでに発達しているのだなあと感心させられます。


テルマエ・ロマエ
武藤将吾,稲葉直人,菊地美世志,松崎薫,亀山千広,市川南,寺田篤,浜村弘一
メーカー情報なし
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ゴジラ

2023-09-03 17:21:52 | 映画

 1954年公開の日本映画です。

 元祖怪獣映画であるこの作品は、記念碑的な映画として、その後ハリウッドでも、そして日本でも繰り返しリメイクされることになります。

 原水爆実験(そのころは、平気で大気圏や海洋で、核実験が行われていました)によって生み出された、怪獣ゴジラが日本を襲います。

 東京も壊滅状態になりますが、最後は片眼の科学者芹沢博士が発明したオキシジェン・デストロイヤーによって、ゴジラは東京湾で滅ぼされます。

 核兵器や核実験への批判、ラストでの芹沢博士の自己犠牲など、たんなる娯楽映画の範疇を超えて訴えかけるものがあったので、その後の怪獣映画の隆盛に繋がったのでしょう。

 スーツアクターとミニチュアという懐かしい特撮ですが、今のCG全盛の映画とは違った手作り感満載のそれゆえ迫力ある映画に仕上がっています。

 宝田明、河内桃子、平田昭彦らの俳優陣も、若々しい演技で魅力的です。

 

 

 

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ひまわり

2023-09-01 11:18:23 | 映画

 1970年公開のイタリア・フランス・ソ連の合作映画です。
 戦争によって引き裂かれた若い夫婦の数奇な運命を、名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督が哀感を込めて描いています。
 全編に流れるヘンリー・マンシーニの哀切な主題曲と、ラストに一面に広がるひまわり畑のシーンがあまりにも有名です。
 結婚による十二日の特別休暇(あるいは男はこれが目当てだったかもしれません)だけを過ごして、離れ離れ(兵役を逃れるために狂人の真似をした狂言のせいで、皮肉にもアフリカ戦線でなく極寒のロシア戦線におくられてしまいます)になった夫婦を、イタリアの名優、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが演じています。
 戦争が終わっても、夫はなかなか帰らず、生死さえも不明です。
 こういう状況は、敗戦国の日本やドイツでも同様で、日本映画では思い出せませんが、ドイツ映画では「マリア・ブラウンの結婚」が有名です。
 あきらめきれない妻は、わずかな情報を頼りにソ連まで探しに行きます。
 しかし、皮肉なことに、夫はその地で命を救ってくれたロシア娘と結婚して、今では子どもまでいます。
 妻は、夫と再会を果たした駅で、言葉も交わさずに彼が乗ってきた列車に飛び乗り、あたりもはばからずに号泣します。
 取り残された夫は、やはり今でも妻を愛していたことに気づき、しだいに元気をなくしていきます。
 そんな男を、優しい新しい妻は、かつての妻と再会するために、イタリアへ送り出してくれます。
 二人はイタリアで再会を果たしますが、その時には女性の方も再婚していて、子どももいました。
 二人でどこかへ行ってやり直そうと言う男に、彼女は子どもをおいては行かれないと拒みます。
 しかし、列車で去っていく男を見送って、彼女はまた泣き崩れます。
 この映画では、もちろん主演のソフィア・ローレンの魅力(若いときの奔放なセックスアピールに溢れた女性、行方不明の夫をさがす鉄の意志を持ったたくましい女性、再婚後の優しい母の魅力を持った女性を、鮮やかに演じ分けて見せます)に溢れているのですが、ソ連での新しい妻を演じたリュドミア・サベーリエワの可憐でけなげな女性も、対照的な魅力を持っています。
 また、彼女たち、イタリアとソ連の代表的な美人女優に挟まれて、ハンサムだけど優柔不断なイタリア男を演じるのには、やはりマルチェロ・マストロヤンニしかいないでしょう。
 ロケ地のソ連をやや美化しすぎていることは気になりましたが、彼方まで続くイタリア兵の墓標やあたり一面のひまわり畑(その下には、無数のロシア兵、ドイツ兵、イタリア兵、そして幼い子どもたちや年寄りまで含めたロシアの民間人の亡骸が埋められています)のシーンは、戦争のむごさ、残酷さを雄弁に語っています。
 この映画は、舞台がウクライナだということもあって、2022年になって再評価がなされています。

 ロシアのウクライナ侵攻が、この映画で描かれた場所でも行われているであろうことを考えると、同じような悲劇がウクライナだけでなくロシアでも繰り返されているわけで、人類はなんと進歩をしない生き物だということを思い知らされます。

 

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