現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ピーター・パン ライブ

2024-10-25 09:16:13 | 演劇

 バリーの「ピーター・パンとウェンディ」のミュージカル化です。

 原作に忠実に作られているので、ジェンダー観はかなり古い(女性はおかあさんになり、子供たちの面倒を見る。ラストでは、ウェンディの娘が新たなピーター・パンの相手になり、そう繰り返されることによってピーター・パン(男の子)の永遠の命が保証される)ものです。

 別の記事にも書きましたが、この作品は繰り返し劇化(もともと劇用なので当然ですが)されていますが、そのたびにウェンディは、その時その時のジェンダー感(ある時には自立した女性として、また別の時は家庭的な女性として)が反映されているようです。

 そういった意味では、この作品が作られた時(2014年)は、アメリカのジェンダー観はかなり保守的だったのでしょう。

 それはさておいて、歌と踊りとワイヤー・アクションと美術セットは本当に素晴らしく、十分に楽しめました。

 

 

 

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春子ブックセンター

2021-11-21 12:46:40 | 演劇

 2002年に、下北沢の本多劇場で行われた大人計画の公演です。

 作、演出は、いつもの松尾スズキではなく宮藤官九郎で、彼独特のギャグ満載のお芝居になっています。

 温泉地のストリップ劇場の楽屋を舞台に、伝説の漫才トリオ「春子ブックセンター」が再結成される様子を描いたドタバタコメディです。

 松尾スズキ、宮藤官九郎も出演していますが、テレビなどで売れる前の阿部サダヲも大活躍しています。

 

 

 

 

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獣道一直線!!!

2021-11-01 18:40:21 | 演劇

 生瀬勝久、池田成志、古田新太の演劇ユニット「ねずみの三銃士」の第四作で、作 宮藤官九郎、演出 河原雅彦、客演は山本美月、池谷のぶえで、宮藤官九郎も出演します。

 魔性の女による保険金連続殺人というどこかで聞いたことがあるような素材を、歌あり笑いありで、面白おかしく演じています。

 劇中劇(ビデオ撮影ですが)の設定なので、一人が何役もこなす複雑な構成なのですが、芸達者ぞろいなので、見ていて飽きさせません。

 特に、池谷のぶえの怪演は、読売演劇大賞の優秀女優賞を受賞しただけのことはあり、一見に値します。

 

 

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チューリッヒ・バレエ「くるみ割り人形とねずみの王様」

2020-12-12 15:57:20 | 演劇

 有名なバレエ「くるみ割り人形」は、ホフマンの童話「くるみ割り人形とねずみの王様」を、プティバがバレエ用の作品として書き直したものです。
 この作品は、クリスティアン・シュプックがホフマンの原作に忠実に振り付けをしたものなので、より児童文学の要素が強くなっていて、児童文学者にとっては興味深いものになっています。
 全体に、ストーリーを重視した演劇的な演出になっていて、童話的な舞台美術や衣装も伴って、私のようなバレエの門外漢にも楽しめる物になっています。
 さらに、音楽はそれ自体がチャイコフスキーのバレエ音楽の古典として有名ですし、エマーソン、レイク&パーマーなどによるロック・ミュージックとしても、私たちの世代にはなじみ深いものです。 
 もともとファンタジーや童話は、バレエダンサーたちの超人的な動きと親和性が高いようで、普通の芝居として演劇化するよりもバレエにした方が、作品世界を伝えるのに適しているのかもしれません。
 出演しているダンサーたちのパフォーマンスはどれも魅力的なのですが、特に主人公のドロッセルマイヤー役のドミニク・スラウコフスキーの悪魔的な演技や動きは一見の価値があります。

クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
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岩波書店
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「プルートゥ」鉄腕アトム「地上最大のロボット」より

2019-08-06 15:07:34 | 演劇
 もともとのお話は、鉄腕アトムのシリーズの中でも、最も有名な作品の一つです。
 世界の最強ロボットベスト7のうち5人が殺され、残るのはドイツの刑事ロボット、ゲジヒトと日本のアトムだけになり、5人を殺した無敵のロボット、プルートゥとの闘いにいどみます。
 五十年以上前に原作を読んだときには、戦闘シーンや個性豊かなロボットたちにも魅了されましたが、ロボットを殺すためだけに作られ、最後にさらに強力なロボット、ボラーに殺されてしまうプルートゥの悲しみは、今でも心に残っています。
 この舞台は、それをもとに書かれた浦沢直樹の漫画を原作にしています。
 演劇、ダンス、映像、音楽、舞台美術を駆使して、鉄腕アトムの世界を舞台空間の中に再現するとともに、現代史(イラク戦争?)を取り込むことによって、人間とは何か? ロボットとは何か? 家族とは? 愛とは? 憎しみとは? 悲しみとは? 怒りとは? 記憶とは? 嘘とは?、といった根源的な問いかけを観るものに投げかけてきます。
 浦沢直樹の原作やシディ・ラルビ・シェルカウイの演出や振り付けも素晴らしいのですが、森山未来や永作博美たち、出演俳優も魅力的でした。

鉄腕アトム 地上最大のロボット (講談社プラチナコミックス)
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講談社
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ジャン・ジュネ「女中たち」

2019-04-12 09:56:49 | 演劇
 2018年12月にシアター風姿花伝で上演された作品です。
 「泥棒日記」で有名なフランスの奇人ジャン・ジュネの1947年の戯曲を、翻訳劇で数々の賞を得ている鵜山仁が演出しました。
 裕福だがうさんくさそうな屋敷(旦那様は獄中にいます)で仕える姉妹の女中を中心に、女主人もからめた三人の錯綜した会話で構成されています。
 姉と妹、女主人に扮した妹と妹に扮した姉、女主人と姉妹、女主人と姉、女主人と妹、女主人に扮した妹と姉、次々に役どころだけでなく、優劣の立場を替えた会話が、速射砲のように観衆に炸裂して、演者も観衆もやがて混乱に陥った末に悲劇的な結末を迎えます。
 中島朋子(妹)、コトウロレナ(女主人)、那須佐代子(姉、この作品のプロデューサーでシアター風姿花伝の支配人)の、年齢も個性も異なる三人の個性がぶつかり合って、強烈なイメージを形作る三人芝居になっています。
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劇団座敷童子「泳ぐ機関車」

2019-02-14 08:34:45 | 演劇
 1950年代の九州の炭鉱を舞台に、山主の息子である8歳の少年の目を通して、炭鉱と山主一家の興亡を描いています。
 そういった点では、児童文学の世界に近い作品だと言えます。
 手作り感満載の舞台美術、出演者と観客とが一体になった小さな閉ざされた演劇空間、大げさなせりふ回し、長い独白など、70年代の小劇場ブームの雰囲気を濃厚に残した作品でした。
 こういった本当に芝居が好きな演者と観客が作り上げる舞台は、商業演劇全盛の現代では貴重な存在でしょう。
 こうした小劇場の舞台が、今の若い世代に受け入れられているとしたら、かつての小劇場ファンとしては非常にうれしいことです。
 商業化されていない小劇場の一番いい点は、一人の美人もイケメンも出演していないことです。
 いわゆるスターシステムの裏返しで、主役も脇役も普通のルックスの役者が演じているので、それだけで一定のリアリティが保障されます。
 あとは、純粋に脚本、演出、舞台美術、演技力だけの勝負になります。

シアターガイド 2016年 04 月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
モーニング・デスク
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BOAT

2018-09-13 16:31:17 | 演劇
 藤田貴大作・演出のマームとジプシーの公演です。
 ボートでたどり着いた人々の子孫が暮らす土地には、今でも時々ボートがたどり着きますが、住民たちはそれに無関心で、余所者たちを迫害しています。
 ある日、ボートが上空に殺到して土地は破壊され、人々は他の土地を目指します。
 非常に分かりやすい比喩としては、トランプ政権の移民政策ですが、もっと一般的なEUなどの移民問題、さらには外部の人たちに閉鎖的な地方が衰退していく日本の現状も連想させます。
 作品としての特長は、作者が重要であると考えるセリフを間隔を置いて少しシチュエーションを変えて繰り返す(リフレインと呼んでいるそうです)手法で、メッセージを強めています。
 音楽、セリフ、舞台美術ともにあまり新味は感じませんでした。
 ところで、出演者のセリフが棒読みなのは、わざとそうしているのか、それとも下手なだけなのかは、とうとうわかりませんでした。

Kと真夜中のほとりで
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青土社

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火のようにさびしい姉がいて

2018-06-22 08:40:01 | 演劇
 蜷川幸雄が、1978年発表の清水邦夫の戯曲を演出した公演です。
 この戯曲は私が一番演劇を見ていたころの作品ですが、残念ながらリアルタイムには見ていませんでした。
 しかし、今回の公演も、当時の小劇場時代の雰囲気を再現していました。
 大竹しのぶ、宮沢りえ、段田安則といった達者な役者陣が、清水独特の長ゼリフを易々とこなして、見事な劇的空間を作り上げていました。
 特に、段田安則は、当時つかこうへい事務所とならんでお気に入りだった野田秀樹の「夢の遊眠社」の中心的な役者だったので、その懐かしさもあったかもしれません。

清水邦夫全仕事〈1992‐2000〉
クリエーター情報なし
河出書房新社
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喝采

2017-12-02 08:56:27 | 演劇
 加藤健一事務所の第99回公演です。
 売れなくなって酒で身を持ち崩したかつての名俳優の主人公と、それを支え続ける妻の話です。
 主人公は、かつての彼の大ファンだった演出家のおかげで、主役に抜擢されます。
 しかし、自信を失っている彼は、また酒に逃げようとします。
 興業の失敗を恐れたプロデューサーはそんな彼を首にしようとしますが、妻と演出家はそれぞれの方法で彼を懸命に支えます。
 初めは激しく対立した二人でしたが、その過程で恋に落ちてしまいます。
 舞台は成功し、奇妙な三角関係も無事に解決して、ハッピーエンドを迎えます。
 主役の加藤健一をはじめとして、妻役の竹下景子、演出家役の山路和弘、プロデューサー役の大和田伸也などの芸達者たちが、丁々発止の芝居を展開します。
 もちろん加藤健一演ずるダメ男の主役も魅力的なのですが、なんといってもこの芝居では、しっかり者でけなげな妻が魅力的に描かれていて、演出家だけでなく脚本家なども含めてキャストのみんな、そして観客たちもが彼女に恋してしまいます。
 そんな魅力的な役を、竹下恵子が彼女に負けない魅力で、あるときは気丈に、またある時は可憐に演じています。
 そう、観客は竹下景子にも恋してしまったのかもしれません。
 竹下景子は私より一つ年上なのですが、若いときももちろん魅力的でしたが、六十歳はとうに超えてもこんなに魅力的なのは、同様にいつまでも可憐な魅力を保ち続けている八千草薫や吉永小百合のような魔法をみにつけているのかもしれません。
 そういう意味では、加藤健一も七十歳近いというのに、相変わらず軽妙で颯爽としていて、きっと彼も魔法使いなのでしょう。
 四十年ぐらい前に、雑誌ぴあの情報を頼りに、毎週のように都内のあちこちで小劇場の芝居を見ていたころ、加藤健一はつかこうへい事務所の芝居などで達者な演技を見せていました。
 その後、自分の劇団(加藤健一事務所)を立ち上げて以来、なかなか経済的には恵まれないであろうこういった芝居を今でも変わらずに続けていることは、本当に尊敬に値します。

 
舞台写真集 君たちがいて僕がいた 1980年 劇団つかこうへい事務所 三浦洋一 平田満 加藤健一 風間杜夫 かとうかずこ
クリエーター情報なし
つかこうへい事務所

 
 
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