言わずと知れた、古代中国の戦乱時代を描いた歴史ロマンです。
三国志自体は、中国の三国時代の歴史書なのですが、古来さまざまに脚色された本が流通しています。
日本でも様々な「三国志」が存在しますが、吉川英治の本が日本での決定版といっていいでしょう。
また、三国志はマンガや様々なゲームになっていますが、それらも吉川英治版をベースにしています。
三国志は、劉備、関羽、張飛の義兄弟が序盤の主役ですが、中盤は魏、呉、蜀の三国の成立が描かれ、終盤は劉備の軍師で蜀の丞相になった諸葛亮孔明が主役になります。
夥しい登場人物の中には、劉備、関羽、張飛、呂布、曹操、司馬懿、周瑜、陸遜などの魅力的なキャラクターが描かれていますが、なんといっても最大のスターは孔明でしょう。
歴史上天才と呼ばれる人はたくさんいますが、「千年に一人の大才」と言われているのは孔明だけです。
この本を読んで、かつての私のように、自分は孔明の生まれ代わりだと信じている少年は今でもたくさんいるのではないでしょうか。
この本は、私にとっては中学高校時代の最大の愛読書でした。
不思議に、中間テストや期末テストの前になると読みたくなるので、この文庫本で八冊以上にもなる大著を何度読んだかわかりません。
きっと、試験勉強という現実を逃避して、古代の歴史ロマンの世界に身を置きたかったのでしょう。
「泣いて馬謖を斬る」とか「死せる孔明、生ける仲達を走らす」といった名文句はいつも心の中にあります。
今回、久々に電子書籍で読みましたが、少しも古びることがなく著者の格調高い文章で語られる真のエンターテインメントを楽しむことができました。
三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33) | |
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