イギリスの伝説的なロックバンド(ヴォーカルのフレディ・マーキュリーが、1991年にAIDSで死んだ(そのころは治療法が確立されていなかったので不治の病でした)ことも含めて)のクイーンの、結成された1970年前後から20世紀最大のチャリティ・コンサートであるライヴ・エイド(1985年7月13日)までを、フレディ・マーキュリーを中心に描いた音楽伝記映画です。
個性の塊のような(途中からは自らゲイの典型を演じている感じもありました)フレディ・マーキュリーだけでなく、ギターのブライアン・メイ(かっこいいロック・ギタリストの典型(今は亡き多田かおるの少女マンガ「愛してナイト」に出てくるギタリストは彼にそっくりでした))、ドラマーのロジャー・テイラー(アイドル的なルックスで女の子にめちゃくちゃもてるロックスターの典型(「ブレイク・フリー」という曲のミュージックビデオは、四人が女装して出演したことで当時賛否両論を巻き起こしましたが、もちろん発案者のロジャーが圧倒的に美しく、特にクローズアップされた彼のミニスカートのヒップは女性も顔負けで、我が家では今でも「ロジャーのお尻」と語り草になっています)、ベースのジョン・ディーコン(渋いベーシストの典型)も、それらしい俳優が演じていて、それぞれやや誇張されているものの、オールド・ファンのイメージを大きく崩さなかったのは、なかなかの配役だと思いました。
ストーリーは、15年以上の期間をすごく駆け足で振り返っていますし、メンバーだけでなく、スタッフや、フレディの家族や、恋人(男性だけでなく女性も)や、LGBTの人たちに配慮したため、無難な内容になっていますが、全編にクイーンの有名なヒットソング(「キラー・クイーン」、「ボヘミアン・ラプソディ」、「レディオ・ガ・ガ」、「伝説のチャンピオン」、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」など)がまんべんなく散りばめられていて、音楽映画としてはまったく申し分ありません。
しかし、この映画の一番収穫は、クイーンが、フレディだけでなく、ブライアン、ロジャー、ジョンも含めた四人がそろって、初めてロックバンドとして完成していることが、再認識できたことでしょう。
強烈な個性と劇的な最期のために、クイーンといえばフレディ・マーキュリーがクローズアップされがちですが(この映画も基本的にはそうです)、彼らが日本で知られるようになった1970年代の初めごろは、どちらかというと、クラシック音楽の素養もあるインテリ(ブライアンは天文学、ロジャーは歯科医、ジョンは電気工学を専攻)・ロックバンドで、ピンク・フロイドやエマーソン・レイク・アンド・パーマーのようなプログレッシブ・ロックに、美しいメロディ・ラインやハーモニーを加えた最先端のバンドとして紹介されていたことを、改めて思い出しました。
ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック) | |
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Universal Music =music= |
裏話などを読んで、なるほどと思ったりします。
当時は、「クイーン」の曲を聴いて流行ってる歌だなと思うていどでしたが、1970年代はキラ星のようにグループや歌手があらわれました。