優雅なイメージを持つタイトルとは全く違って、ノルマンジー上陸作戦でフランスに連れてこられたアメリカ兵の青年が、ドイツ兵との激しい戦闘の後のつかの間の休息において虚無的な気分に陥っているのを、アメリカから送られてきた妹の手紙によって救済される話です。
「最後の賜暇の最後の日」(その記事を参照してください)の後日談なので、青年は24歳、妹は10歳です。
戦争の残酷さ(敵も味方も、彼のまわりでたくさん死んでいきます)で心をズタズタにされた若者が、無邪気な妹の手紙に救済されるのは、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(その記事を参照してください)で、今度の学校も退校になり心がズタズタになっていたホールデンが、妹のフィービーとの会話の中で、自分が本当になりたいのが、ライ麦畑で遊んでいる子どもたちがつい飛び出して崖から落ちないように捕まえる人(つまり、キャッチャー・イン・ザ・ライ)であることに気付く場面とつながっています。
「無垢な魂による傷ついた魂の救済」
これは文学だけでなく多くの映画(例えば、「シベールの日曜日」、「道」、「カビリアの夜」など(それらの記事を参照してください))でも繰り返し表現されてきました。
そして、それこそが児童文学にとっても神髄であると、固く信じています。
サリンジャー選集(2) 若者たち〈短編集1〉 | |
クリエーター情報なし | |
荒地出版社 |