2015年のアメリカ映画です。
70歳のやもめ暮らしの男性が、シニア・インターン制度を使って、ネット衣料販売で急成長している若者ばかりの会社(よくある話ですね)に勤めます。
初めは、他の人たちとの世代間ギャップをコメディタッチで描いて面白かったのですが、彼がしだいにその人生経験(電話帳会社(このへんもやりすぎな設定ですね)の印刷部門の責任者を長い間やっていました)を生かして、みんなのメンターのようになってからは、正直うまくいき過ぎ(若い女性社長も含めてみんなに頼られ、会社のマッサージルーム(みんなパソコンを使いっぱなしなので、肩や腰が凝るのでしょう。こういった施設のある会社は、今では日本でも珍しくありません)に勤める、下世話な言葉で言うとセクシーな美熟女といい関係になります)で、まるでリアリティが感じられませんでした。
特に、会社が急成長(一人で台所から初めて、一年半たった今は従業員が220人います)したためにコントロールできなくなった社長(主人公は彼女の個人付きインターンという設定です)に、まるで父(彼女は母親しかいないようです)のように慕われて、大きくなった会社を経営するために外部から経験のあるCEOを招こうとしたのを断ったり、彼女のために(すすんで)専業主夫になった夫がママ友と浮気したのを後悔して彼女とよりが戻ったりするのを、影からサポートする姿は、彼女はエディプス・コンプレックスかと思いたくなるような感じです。
ご存じのように、起業することと、大きくなった会社を経営するためには、異なるスキルセットが必要です。
この会社の場合まだそれほど大きくないので、この結末で一応ハッピーエンドですが、この先さらに成長した時には、彼女のメンタリティでは大きな破綻を迎えそうです。
また、「女の敵は女」って感じでママ友たちを悪く描いたり、いまどきこんな感覚の経営者がいるの?と思えるような女性たちや新しいビジネスに対する古い感覚を持ったCEO候補たち(最後に選ばれた人は好さそうでしたが)を登場させたりするのは、エンターテインメント映画とはいってもあまりにパターン化している印象を受けました。
ただ、全盛期はこわもての役が多かったロバート・デ・ニーロが、穏やかな紳士役をさすがの演技でこなしているのには、「タクシー・ドライバー」や「レイジング・ブル」などでの鬼気迫る演技を知るものとしては、なぜだか嬉しくなりました。
日本でも、こうしたかつての人気スターを、年齢相応の役で活躍させる映画をもっともっと作って欲しいものです。
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