まわりの風景や遠い少年の日々を、素直な言葉で書き綴った少年詩集です。
2011年の日本児童文学者協会の協会賞の二次選考に残った作品の中に、作者の名前を見つけて興味を持ちました。
それは、後で述べる事情により、作者がかなりご高齢であることを知っていたからです。
あとがきによると、作者は1923年生まれということなので、本が出た2010年には87歳ということになります。
まどみちおといい、やなせたかしといい、少年詩を書く方々はみなさんご長寿なのでしょうか。
この詩集は前作から19年後の出版で、それぞれの作品がいつごろ書かれたかはわかりませんが、どの作品もまるで少年のようなみずみずしい感性で描かれていて驚かされます。
実は、作者は大学の児童文学研究会時代の友人の父上なのですが、当時彼女にやなせたかしが出したばかりの「詩とメルヘン」という雑誌(1973年から2003年まで30年間発行された詩やメルヘンやイラストの月刊誌で、ブレイクする前のアンパンマンも連載されていました)に載った作者の詩を見せてもらったことがありました。
その時、「わたしはおとうさんが大好きなんだあ」と、彼女が言ったことを今でも覚えています。
大学生の娘に大好きだと言わせる父親とはどんな人だと思いましたが、この作品の「あとがきに代えて」にその理由の一端を発見しました。
「 ああ きれえ!
おまえは
そとに出たいとせがむ
勤めから帰ったばかりの
わたしの手を
ぐいぐいひっぱりながら
覚えているかい
いつか わたしの胸の中で
夕やけ色にそまって
ねむってしまったことを
二歳になったばかりの
おまえが 今日も
わたしの先にたって
あかねにそまった
うら庭にでてきた
ー ああ きれえ!
きれえだ きれえだ ―
おまえは さけぶ
はるかな空のふかみにむかって
手をふりながら
― ねえ おとうちゃん
きれえねえ ―
思いあまって呼びかけてくる
覚えたばかりの言葉が
虹になって舞いあがっていく
わたしは
思わず おまえを
たかだかと抱きあげていた」
少年詩集の商業出版は難しく、ほとんどが自費出版か共同出版(作者も出版に必要な費用の一部を負担する)によるものだということは、作者の前の作品を紹介する記事でも書きました。
もしかすると、この詩集の出版は、「あとがきに代えて」に出てくる幼女である私の友人も含めた子どもたちからのプレゼントだったのかもしれません。
2012年の彼女の年賀状には、彼女の初めての孫が生まれたことが書かれていました。
新しい詩集の出版と、おそらく初めての(彼女は長女なので)ひ孫の誕生。
この詩人はなんと幸せな晩年をおくっているのだろうと、羨ましくなりました。
2013年に作者のかわてせいぞう氏、そして、やなせたかし氏もお亡くなりになりました。
謹んでお二人のご冥福をお祈りいたします。
2015年に友人と会った時に、このご本をいただきました。
想像通りに、出版に際して彼女も協力したことでした。
また、実家には、共同出版のためこの本の在庫がたくさんあったそうです。
2011年の日本児童文学者協会の協会賞の二次選考に残った作品の中に、作者の名前を見つけて興味を持ちました。
それは、後で述べる事情により、作者がかなりご高齢であることを知っていたからです。
あとがきによると、作者は1923年生まれということなので、本が出た2010年には87歳ということになります。
まどみちおといい、やなせたかしといい、少年詩を書く方々はみなさんご長寿なのでしょうか。
この詩集は前作から19年後の出版で、それぞれの作品がいつごろ書かれたかはわかりませんが、どの作品もまるで少年のようなみずみずしい感性で描かれていて驚かされます。
実は、作者は大学の児童文学研究会時代の友人の父上なのですが、当時彼女にやなせたかしが出したばかりの「詩とメルヘン」という雑誌(1973年から2003年まで30年間発行された詩やメルヘンやイラストの月刊誌で、ブレイクする前のアンパンマンも連載されていました)に載った作者の詩を見せてもらったことがありました。
その時、「わたしはおとうさんが大好きなんだあ」と、彼女が言ったことを今でも覚えています。
大学生の娘に大好きだと言わせる父親とはどんな人だと思いましたが、この作品の「あとがきに代えて」にその理由の一端を発見しました。
「 ああ きれえ!
おまえは
そとに出たいとせがむ
勤めから帰ったばかりの
わたしの手を
ぐいぐいひっぱりながら
覚えているかい
いつか わたしの胸の中で
夕やけ色にそまって
ねむってしまったことを
二歳になったばかりの
おまえが 今日も
わたしの先にたって
あかねにそまった
うら庭にでてきた
ー ああ きれえ!
きれえだ きれえだ ―
おまえは さけぶ
はるかな空のふかみにむかって
手をふりながら
― ねえ おとうちゃん
きれえねえ ―
思いあまって呼びかけてくる
覚えたばかりの言葉が
虹になって舞いあがっていく
わたしは
思わず おまえを
たかだかと抱きあげていた」
少年詩集の商業出版は難しく、ほとんどが自費出版か共同出版(作者も出版に必要な費用の一部を負担する)によるものだということは、作者の前の作品を紹介する記事でも書きました。
もしかすると、この詩集の出版は、「あとがきに代えて」に出てくる幼女である私の友人も含めた子どもたちからのプレゼントだったのかもしれません。
2012年の彼女の年賀状には、彼女の初めての孫が生まれたことが書かれていました。
新しい詩集の出版と、おそらく初めての(彼女は長女なので)ひ孫の誕生。
この詩人はなんと幸せな晩年をおくっているのだろうと、羨ましくなりました。
2013年に作者のかわてせいぞう氏、そして、やなせたかし氏もお亡くなりになりました。
謹んでお二人のご冥福をお祈りいたします。
2015年に友人と会った時に、このご本をいただきました。
想像通りに、出版に際して彼女も協力したことでした。
また、実家には、共同出版のためこの本の在庫がたくさんあったそうです。
流れのある風景―かわてせいぞう詩集 (ジュニアポエム双書) | |
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