ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅤ「2つ目の窓」を見る聴く、 『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ 2020/3/9
南の島、海、波、空、風、風景、青、白、白い羊が吊されて捌かれる、赤い血が流れて、老人の生活、昔ながらの生活、南の島生活、漁師であり、猟師でもある、嵐、荒れた波間の揺れる死体、何故にこの嵐のなか海辺にやって来たのか、見いだしてしまう少年、周章てて逃れ走る、翌朝、海は収まっている、警察、集まってくる人々、噂話、そこに少年と少女、なんで昨日来なかったと少女、少年は走り去った、何故かは何も判らないままに、学校、教室、授業が終わって、始まりの捌き老人が釣り糸を垂れる、そこに少年が自転車で、少女は制服のままに泳いでいる、海の中の映像、素晴らしいです、海面に現れる少女、老人と少年、また服のままに泳いだのかと少年、何が悪いとばかりの表情で、自転車に乗せてと少女、こうして二人の自転車の疾走、風、空気、移動、動き、愉しさ、映画の愉しさ、美しさ、背景の海、濡れたスカートが靡く、後ろに立って少年の肩に手を置いて、娘の家ではカフェレストランを経営している、父親が料理、母は病に伏して、もはや永くない様子、少年も心配顔、母は村の巫女さんなのだ、神がかっているのだから、大丈夫と何処か夢見心地、だが、既に母こそは現実を判っている、そして語る、内地の人は、必至に手当てして生き延びるのだと、だが、此処では、時期が来れば、そのままに召されるのだと、死する覚悟で退院を決意している、家の庭の前の大木、素晴らしい、退院して戻って、娘の膝に母の頭、娘は父の膝に、父は俺は如何すればと、心地よく頭を横にして寝そべる母と娘、大木を見詰めて、悟りの境地、ベッドの母の回りには、村人が集まって、母の願いで、男が歌ってくれる、村の歌、始まりのシーンでも、祭りの歌と踊りのシーンが在った、三味の音、歌う娘、旨くなったと、母と父、少女もまた、母の後を継ぐのだろうか、少年と少女、積極的な少女、何処か求める顔、唇、拒む少年、浜から自転車で送って来た少年に、、好きだよと娘、ありがとうと少年、娘はキスして欲しい、抱いて欲しい、君はと少女、好きだよと、笑みの娘、娘は父親には、何処まで行ったと問われて、気恥ずかしい、だが、未だ、少年は、何もしてくれない、勇気が無いのか、海にも入らない、都会の子なのだ、少年は母と二人暮らし、母は仕事に、父は別れて都会暮らし、母は他の男と電話して居る、面白くない少年、父に会いたいと少年、こうして母の許しを得て東京に、街中で、彫り物の仕事をしている父親、ならば、あの死体の背の彫り物とは、誰、少年の幻想、父では無かったか、まさか、此処に居るでは無いか、風呂の二人、背中の彫り物の父親、父の姿に安心したか、戻ってきた少年、心配そうに向かえる母、母は少年を手放したくないのだろう、此処に、この島で育てたい、少女の母の死、悲しみ、少年を求める娘、だが、出来ない、飛び出す少年、後を追う娘、母を呪う、己を呪う少年、淫売と、飛び込んで来た娘が、己の母親をそんな風に云うなと、見たのだと、あの死体は、嵐の死体は母と抱き合っていた男の死体だったと、そして、男が死したら、また次なる男とでれでれと電話で話している、淫売だと、罵る少年、飛び出して行く少年、何も語れない娘と少年の母、だが、母にも、父にも欲望が、恋が、必要なのだ、生きるとは、理屈では無い、求めてしまう事なのだから、この母の叫びをもっと欲しかったとも、少女の母と対比して、共に二人の島の女として、そんな女を支える娘の父、東京の少年の父もまた、理解している、だが、未だ、少年には判らない、島に台風が、大嵐、仕事先から戻らない母親、あれほど詰った母だが、心配で、外を巡るが、どこにもいない、仕事場に連絡が繋がらない、娘もまた心配して、翌朝、娘の父親の車で仕事場に、走る走る、やってきた丘のレストラン、店の主人だろうか、シェフが立っている、少年は叫ぶ、母を呼ぶ、消えた母、求めて止まない母、俺が守るのだと、俺しか無いのだと、佇む男の後ろのドアからから現れた母、娘は居たと、この主人があの電話の相手なのだろうか、少年の元に、ゆっくり近寄って頭を抱きかかえる母、涙の少年と母、かくて、少女も、少年も、両親の元で、島で、成長して、裸で海の中を遊泳する、何処までも、美しい若い二人の肉体、今、島の、木々の中、豊かな木々の中、裸の二人は抱き合うのだ、島の祈り、音曲、欲望を、生きるのだ、少年が詰ったときに、母は違うと云った、死した死体は誰だったろうか、誰でも良い、女にも、男にもまた、欲望がある、含めて、祈りなのだ、島の、私たちの、この祈りを生きるしか無い、二人は、両親らと共に、新しい世界に、始まる、だが、これは解決では無い、新しい欲望の、時には地獄の欲望の世界でも在るのだ、血まみれの、二人は、老人と娘の父と共に白い羊の捌きを目にする、目を剥いて見詰める少女、これもまた、島の欲望なのだ、悲しみなのだ、喜びなのだ、祈りなのだ、これが島なのだ、