ポピュリズムとは「今さえ良ければ、自分さえ良ければ、それでいいという考え方が主人公になった歴史過程のことである」
「サル化する世界」 内田樹著(文藝春秋1500円+税)
著者は、ポピュリズムとは「今さえ良ければ、自分さえ良ければ、それでいいという考え方が主人公になった歴史過程のことである」と定義します。
「今さえよければいい」とは「朝三暮四」のサルのこと。未来の自分が抱え込むことになる損失やリスクは「他人ごと」で、「当期利益至上主義者」と酷似する。その意味で「データをごまかしたり、仕様を変えたり、決算を粉飾したり、統計をごまかしたりする人たち」が多数派を占める歴史的趨勢を「サル化」と評します。
日本社会に広がる「生きづらさ」は、現在社会の仕組みそのものが「生物の進化」に逆行しているからだと指摘します。
「自分らしさ」など、別に慌てて確定することはない。「みなさんが罠から這い出して、深く呼吸ができて、身動きが自由になったような気がすること、それが一番大切なこと」ではないかと提起します。
全國商工新聞 2020/5/18