コロナ・パンデミックについての八つの断章 比較文学者・四方田犬彦
2020.05.27
https://www.asahi.com/and_M/20200527/12076421/?iref=comtop_fbox_u02
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今では誰もがヒキコモリになってしまった。もう元祖ヒキコモリを笑うことはできない。さまざまな理由から家の外に出ることを拒絶してきた者は、世界の全体がはからずも自分たちと同じ趨勢(すうせい)に陥ってしまったことをどう思っているだろうか。
ヒキコモリ(incubation)には宗教的な修行から現在の社会化した家庭内の現象までさまざまなタイプがあり、一律に論じることはできない。しかし、少なくともこれまでその行為に対し無理解と軽蔑をしてきた者たちは、自分たちがサルトルのいう「出口なし」の状況に置かれていることから出発して、ヒキコモリについて新しい共感的認識を抱く機会が与えられたのではないだろうか。
DVとレイシズムについてもしかり。それはもはやひとごとではなくなった。いたるところでDVが噴出し、理性のもとに統制されていたはずのレイシズムが明確な形をとって出現している。ネオナチやヘイトスピーチの徒(と)が、ほら、きみたちも同じじゃないかと笑っている姿が目に浮かぶ。
権力の側からの「自粛」を良しとしない者は、共同体の名のもとに非難され、排除される。感染する・しないが個人の倫理的責任であるかのように報道される。風評という風評がインターネット空間を駆け廻り、大新聞は一面に書く記事に事欠いて、なんとか感傷的な美談を捜し出そうとして挫折する。
札幌国際芸術祭
札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。
http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf