ⅭⅩⅩⅩⅢ「変態家族 兄貴の嫁さん」1984を見る聴く、 『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ 2024/3/22
新東宝のロゴの前に、富士山の姿、まさに松竹の富士、そして、その後に新東宝のロゴが、始まりから、遊び心で、しかし、しっかり小津映画の批評となり得ていて、東京タワーのショットの繋ぎから、東京での、一家族の物語、赤いタワーと青い空、通り、路地、歩く人々、部屋の中、父と娘と弟が、見上げている、上に何が、二階の部屋、新婚の妻が、正座して、頭を下げて、ご挨拶、そして兄の待つ布団の中に、かくて、二人の交わりの始まり、結婚した、兄と妻、これが、新婚後の毎日のことなのだろうか、様子を見つめる父と弟と妹、見えないながらも、皆は二人を見守っている、だが、この視線は、果たして同じ思いの中に在るのだろうか、小津の映画の並んで同方向を見つめるー視線の同居の安定から遠く離れて、嫉妬、不安、疑問、安心が入り乱れて、弟は、どこか義理の姉に惹かれて、また、実の姉にも、欲望の視線、娘はまた兄に惹かれていなかったか、かく見上げたままに、父は出かけると、弟と妹は理解している、この家族には、既に母は無く、父はいつも母を求めて盛り場に、彼もまた、欲望の中に、兄の妻に、惹かれるものが有るのではなかったか、盛り場、ネオンが、文字が横倒しで取り付けてある、店の中、美しい女将、父は母にそっくりと、子供たちに語っているのだ、何時もの語らい、そして、飲み、カウンターに俯せて、寝てしまう父、この後は、全てが寝てしまった父の、夢世界とも、屋敷では、妹が、股を開いて二階をあい変わらず伺っている、その姉の白い下着の股間を見つめる弟、知った姉は股を閉じて、弟の視線を交わして、しかし、わざと見せつけていなかったか、二階の高まる二人の世界、父は酔って戻り、弟が介抱、水を持ち、体を大切にしろよと、労りの言葉、ああ、ああと、返事する父、早く寝ろよと弟、またしてもああと父、日差しの中、庭を見つめて座る父、通りすがりのいつものカップル、新婚なのだろうか、横を振り向き、父を見つめゆっくり挨拶、お辞儀、父もまた、返して挨拶のお辞儀、嫁が洗濯物を片付けている、いつも父は、嫁が母に似ているとばかり、その晩に、兄が戻り、母に似ていると聞かされて、兄は、父は誰もが似ていると言うのだと、困惑顔の嫁、その晩、またセックスの二人、妹は座ってまっすぐ前を見ている、己の部屋で、二人をまたうかがっているか、弟も、父も、同じように、正面を向いて、伺っている、そうした三人の座る姿のショットが、兄と嫁の二人のセックスの最中に挿入されて、朝、何時ものカップル、おなかの大きな妻、時が過ぎ、カップルには子供が出来た、同じように、横を向き、ご挨拶、答える父、川縁の父と嫁、嫁が来て、安堵の父なのだろうか、父と弟、釣り姿、釣り竿ばかりが残されて、嫁と作られた握り飯を、同じ手の動き腕の動きで、食べる、父と弟、全ては、和解の世界の様で、兄と妻のセックス、いつになく、兄は妻を縛り付けてのセックス、何か変化が起こったか、妹は仕事に出ていく、路地から、路地、果たして、仕事場はどこなのだろうか、今日も戻った兄、二人のセックス、着替える前に、シャツの中に血が、慌てて裸にして、夫の傷を見つめ舐める嫁、一体何が、何も語らない兄、こうした二人の、不気味なセックス、そして、妹の仕事場、兄が店に現れて、笑み、向かいには、初めての客が兄とは、と、妹が、風俗店の娘の姿で、挨拶、そして、するしない、どっちでもと妹の軽いのり、娘は父に語る、私が悪かったのだと、実は兄を連れて行ったのだと、あの母似の女将の店、兄の同僚たちとともに、結婚式帰りの黒づくめの男たち、カウンターでおかみに紹介、そうかと父、以来、兄は、女将に母を見たか、単に美貌に、体に惹かれたか、店に通い詰め、次第に、二階の二人の間に、ずれが、兄に変容、あの血の流れもまた、その一環、女将との交わりの血、3人で見守る、ショットは消えて、嫁を心配する父、弟は、二人に刺激されたか、風俗店の雑誌を万引きして捕まって、義理の姉に引き取りに来てもらった、踏切の白いマスク姿の義理の姉、閉じた踏切、赤信号機の点滅、点燈、危ない、危ない、弟に語り掛ける義理の姉、2度とこんなことはしないでと、なんでやったのと、スカッとしたかったと弟、見つめる義理の姉は、ならばスカッとしましょうと、シャツを脱ぎ、胸を露わに、今度だけよと、義理の姉もまた、スカッとしたかったのでは、兄は、女将の店に、そして、二人残っての、秘密の部屋、縛られて、兄は、サディスティックな下着姿の女将に、鞭打たれるのだ、悶え喜ぶ兄、縛られ吊るされた喜びの兄の背、足、悶える姿、これまた喜びの女将の鞭うち、こうして、兄は戻らず、店のカウンターの中の兄とおかみ、並んで佇み正面を見つめる二人、妹は風俗勤め、妹と上司の結婚式に招かれて、3人は知る、黒づくめの姿での川縁の結婚式後の3人、妹と上司、つまりは、働く風俗の支配人、3人の驚き、理解、若くなかったと、父よりも年取って見えたと、禿げていたと、弟は、一人で勉強すると屋敷を去っていく、残された二人、嫁は、父に、実家に帰りますと語っていたが、こうして皆が去っては、父を一人残せない、何時もの父の庭前の姿、何時ものカップルには、子供が生まれた、横向いてご挨拶、父の挨拶、かくて、娘は去らずにいまだこの屋敷に、父は、実家のあなたの父もまた、一人ではと、心配に成らないかと、だが、実家の父の言葉、嫁としての仕事を果たしなさいと、この嫁の言葉を、同時に、なんと、父もまた、語るのだ、同世代の老人の同じ思いなのだろうか、一人部屋を掃除する嫁、そこに、あの夫に縛られた時のビニールひもが部屋の隅に、このひもに過去を想って兄を想って纏わり付き悶える嫁、兄を忘れられないか、拾った時の立ち姿のまま、胸をはだけ、胸を紐で擦り、横に成り、股間にまでもこすりつけ戯れる、庭に見える、灯籠、隣の部屋の父、やはり、庭には灯籠が見える、これは父の妻なのではないか、父は、隣の部屋の悶える嫁を見ている、壁越しに、嫁は嫁で、父の妻の前で、嫁として、兄を待つ、もだえながら、かくて、家を守るようでいて、この二人もまた、求め合っていないか、二人が同時に語る、実家の父の言葉の説得とは裏腹に、実は、このひももまた、嫁が、己で下の部屋に、かくしおいたものではないか、隣の部屋の父が、居るのを承知で、誘っていないか、この東京は、なんとも危ういバランスの家族の中に、母さん、いい嫁だと父の言葉、このラストの言葉の、欲望、あまりに危うい、切ない、二人、いや、家族、皆が、ともに、危うさの中に、危うい快楽の中に、ハラハラ危ない家族達、ハラハラ危ないわたし、たち、、
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