What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

赤木かん子 こころの傷を読み解くための800冊の本

2006年10月04日 13時21分02秒 | 
 この本は「本の探偵」赤木さんと、学校図書館の司書さんや養護教諭さん、本のコーディネーターさんたちのチームによって編集されたものです。
AC(アダルト・チルドレン)への理解を深めて貰う為に、小説や漫画や児童書、ミステリや専門書などの幅広いジャンルから本を紹介しています。

 「アイディンティ、依存、共依存、虐待、癒し」どれかの言葉に、自分が当てはまると思う人も、身近にそんな人が居るという人も、ではどうやって、その症状を理解し、近づいて、解決への手がかりを見つければ良いんだろう?と思われる時、それは案外身近な作品の中に、書かれていたりします。「物語・個性」などと思って見ていたのが、「実例・症状」として見る事によって、すとんと納得した作品が何作もありました。


 沢山紹介されているジャンルの中で、漫画の作家さんを挙げてみると(古くからの少女漫画好きな方なら、直ぐわかる方ばかりですが・笑)

山岸涼子 萩尾望都 大島弓子 吉野朔美 吉田秋生

あぁ!と判って頂けるでしょうか。

未読の方は、とにかくどの作品でも良いから、手に取って読んで頂くのが一番だと思いますが、どの作家さんも、みな「ジェンダーや虐待や依存」をこれでもか、まだ描くかと、実に様々な物語で描き続けている方です。

 まじめな話、小学校低学年の頃、初めて山岸さんの漫画を読んだ時は、とにかく怖かった・・・この本の中でも書かれてますが、初期の山岸さんの主人公の最後は、狂うか死ぬかしか無かったんですよ。それがだんだん、向き合って戦って、逃げ出したり、癒されたりする終わり方になって来て、読む側も辛い怖い最後を覚悟しなくても良くなって来ました。でも、最近連載されているバレエ漫画「舞姫テレプシコーラ」も、まだまだ怖くて安心出来ない展開なのですが(笑)

 萩尾さんは「残酷な神が支配する」が最近では突出してますね。諸悪の根源の父親の精神的、肉体的虐待ぶりが、半端なく描かれるのですが、この父親は死んだ後も主人公を支配して苦しめるんですよ。連載中、ほんとにどうなるんだろうと、しばし読めなくなった事もありました。

もし、最近の作家さんなら、高河ゆん、高屋奈月、津田雅美、西炯子の作品でしょうね。


 

 私が既読の小説やミステリーなどでも、見方を変えるとあの主人公の行動には、こんな意味があったのか、あのお話にはこんな哀しい心理が隠されていたのか、と感慨深い作品解説が添えられています。沢山の未読の作品も紹介されていて、せっせとメモして図書館で借りるリストを作っております(笑)

 ともあれ、心理学専門の本を手に取るのに抵抗のある方も、活字好きな方も、自分の弱さや歪みを自覚している方も、恋人や家族に対して何か悩みがある方も、ぜひこの手引き書を読んでみて下さい。きっと読んでみたい、もっと知りたいと思う一冊が見つかるはずです。

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