秀太郎さんのブログに、(歌舞伎素人の私にとっては)とても興味深いお話が載っていたので、転載させていただきますネ↓
2013-05-13
…十日目の舞台も無事に勤めることが出来、いつもの興行なら間もなく中日なのですが、今月は27日興行、初日が三日なので中日は16日と言うことになります。お陰様でお客様の入りは衰えることなく、初日から大入り続きで、華やかて活気に満ちた公演が続いています!「栄御前も吉田屋のおきさ」共に好きな役ですが、気持ち良いのは栄御前です。女形はどんな役でも「お辞儀」をすることが多いのですが、栄御前は一切お辞儀することなく、ずっと背筋を伸ばしていられますし、台詞の声のトーンもとても楽で、のびのび演じることが出来ます。花道の引っ込みなどはとても気持ち良いです。正直言って「おきさ」はのびのびと演じているようでいて、結構気を遣います。封印切や河庄とは同じ色町の女将ながら、吉田屋の方が店の格が上なので、「おえん」や「お庄」と同じに見えてはならず、自然の風格が必要ですが、どうしても「早口」になったり要らぬ動きが多かったり、なかなか「吉田屋の女将」にはなれません。70歳を越してまだまだ青いです。後17日の間に、何とか自分なりに納得出来る「おきさ」を演じたいと思っています。
栄御前やおきさを、そういうお気持ちで演じられていたんですね。
興味深いです。
役者さんのこういう裏話をリアルタイムで読むことができるなんて、いい時代ですね!
2013-05-17
無事に中日の舞台を終え、明日から後半にかかります。お陰様で一座一同元気に舞台を勤めています。私は第二部しかでてないので他の部のことは分かりませんが、2部では山城屋の兄さんがとてもお元気に先代萩の政岡を勤めていらっしゃいます。高砂屋さんの八汐、時蔵さんの冲の井、扇雀さんの松島と揃い、鶴千代・千松もとてもしっかり可愛いです。ことに時蔵さんなど今月はこの冲の井一役で物足りないでしょうが、とてもきっちりと気を入れて演じ、特に八汐を見据えての引っ込みは、当たり前とはいえやはり素敵です!冲の井、松島が下手に引っ込むのは山城屋さんの先代萩に限り、他の役者さんの政岡の場合は冲の井は鶴千代を守って上手奥に引っ込むので、今回のような冲の井の引っ込みは珍しいのです。それにしても私の演じている栄御前は「アホやな~」と思いますが、そのアホさが何か可愛い気がして(?)憎めないのです。演じ方としては千松が苦しんでいるときに扇で顔を隠して政岡を観察するくだりを少し工夫しています。
沖の井&松島の下手への引込みが山城屋の先代萩だけだったとは、知りませんでした。
この二人が下手へ引っ込んで八汐が上手へ引っ込むのは、人間関係が視覚的にわかりやすく、とても好きな演出だったので、今回観られてよかったです。でも、鶴千代を守って引っ込む時蔵さんもいつか観てみたいな~。
ああ、また時蔵さんの沖の井が観たくなってしまった。ほんとにほんとに、カッコよかったんですもん。いや、3回も観たんですけどね。でも、もっと観たい!
八汐が千松をめった刺しにしているときに栄御前が扇で顔を隠すのは、政岡を観察していたんですねー。私、残虐すぎる殺し方にさすがに見るに見かねて目を覆っているのかと思っていました^^; 随分優しいんだな、と変には思っていたのですが。このブログを読んでから千穐楽に行けばよかった。。。
2013-05-24
いつもの公演より2日間長い興行なのにチッとも長く感じず「あ~後五日間になってしまった…」と言う感じです。「栄御前」も「おきさ」も回を重ねる毎に楽しい役です。芝居にはお客様にはお分かりにならないようなところでも、役者が「腹」で楽しむようなところ(自己陶酔?)、例えば栄御前が御殿から下手にかかる際、チラッと千松を見やるのですが、これは「千松」でなく「鶴千代」の亡骸を見る気持ち…、それも観客に見せるためではなく、自分が気持ち良く花道を引っ込むためで、演出上はどうでも良いのですが…、それぞれの役者はそれぞれの演技をして、そこに歌舞伎の楽しさがあると思います。もちろん台本に書かれている訳でもなく、他の役者さんの芝居をみて「はは~ん!」と思い「この仕草、頂き!!」と思うこともあります。芝居は毎日が新鮮です!皆さんも一度と言わず何度でも御覧ください!
ここは、ちゃんと伝わってきました~。
(結果として)自分達の計画が成功したと栄御前が思い込んでいることが、この視線だけでもよくわかる。
私はまだ殆どの演目が初めて観るものばかりで、何を観ても楽しくて仕方がないのですが。
二度目を観るようになると、こういう演技や演出の違いを楽しめるようになって、どんどん嵌っていくのでしょうね。
ミュージカルやバレエがそうだから、よくわかります。
これだから舞台って面白い!