上野の東京芸大で開催中の『夏目漱石の美術世界展』に、先週末に行ってきました。
漱石にまつわる美術作品に焦点をあてた、珍しい企画展です。
ホームページの方でも少し紹介していますが、私はロンドンでもわざわざ漱石の小説に登場する美術作品を訪ねたほどなので、今回の企画展はとても嬉しかったです。
それぞれの絵が漱石のどの作品に登場したものなのか、その引用文とともに紹介されていたのも、有り難かったです。もっとも、その短い引用部分からは具体的にどのような場面だったかは思い出せないものも多く、この企画展の記憶が薄まらないうちに、漱石の小説をまたひととおり読み返そうと思いました。
さて、今回展示されている作品ですが、まずはターナー、ミレイ、ロセッティ、ウォーターハウスといった西洋画。どれもロンドンのナショナルギャラリーやテートギャラリーでおなじみの画家たちですね^^
次に、酒井抱一、伊藤若冲、長沢蘆雪、黒田清輝といった日本人画家の作品。
漱石の友人でもあった、中村不折や橋口五葉による漱石作品の装丁や挿絵(貴重な下絵も!)。
さらには漱石自身の筆による作品(笑)と、漱石ファンには見所満載です♪
漱石の小説に出てくるけれど実在しない絵も再現されていて、これもとても楽しかったです。
『虞美人草』の屏風(美しかった!家に欲しい!)や、『三四郎』の美禰子が団扇を持って立っている絵など。
美禰子は私のイメージではもう少し西洋風な容貌(漱石のような)なのですが、絵画全体の雰囲気は想像どおりで、素敵でした。
そうそう。親友の正岡子規の作品として、以前江戸東京博物館の漱石展でも展示されていた東菊の掛け軸(子規からの最後の手紙が一緒に貼られた掛け軸)が、今回も展示されていました。また実物が見られるとは思っていなかったので、嬉しかったです。
しかしこの掛け軸は、やはり何度見ても切なくて泣きそうになる。。。
7月7日まで、上野の東京芸大美術館にて。
ちなみに、ここのミュージアムカフェはホテルオークラが運営しているのですが、海老グラタンがサラダ付きで千円程度で食べられ、味もなかなか美味しくてよかったです^^
ダンテ・ゲイブリル・ロセッティ 『レディ・リリス』 1867年 水彩
ロセッティには『レディ・リリス』という絵は油彩と水彩でいくつかバージョンが存在していて、モデルもFanny Cornforth(今回展示されていた絵↑)とAlexa Wildingの二人がいます。顔の表情や椅子の色などが微妙に違っていて、私はこちらのCornforthの方が微笑んでいるように見えて好き。
ジョン・エヴァレット・ミレイ 『ロンドン塔幽閉の王子』 1878年
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 『シャロットの女』 1894年
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 『人魚』 1900年