風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『白鳥の湖』 英国ロイヤルバレエ団 @東京文化会館(7月12日)

2013-07-12 23:51:42 | バレエ




本日は仕事を早退し、英国ロイヤルバレエ団の『白鳥の湖』を観てまいりました。
お目当てはコジョカル&コボーだったのですが、直前でキャスト変更があり、オデット&オディールがサラ・ラム、ジークフリートがスティーヴン・マックレーでした。

さて、感想ですが。
なんというのか、、、不思議なほどオデットと王子の間に愛が見えない『白鳥の湖』であった。。
何よりラムが始終驚くほどクールで、特に2幕のオデットはジークフリートに対する恋愛の情が伝わってこず。。。見目は儚くて、いい感じなのだが。。。
マックレーも、無邪気なぼんぼんっぷりがカッコ可愛いのだけれど、初めて恋をした高揚感が希薄で、オデットに向ける表情も固いのが気になってしまった(でも二人の踊りの息はぴったりだった笑)。

と、前半で下がりまくった私のテンションでしたが、休憩後の3幕で浮上
舞台セット&音楽の派手さや、ラムがオデットよりもオディールの方が似合っていたせいもありますが、何よりこの幕では主役二人の技巧がソロで如何なく発揮されるからです。
ラムも素晴らしかったですが、マックレー!あんな超高速クルクルクルクル回転・シェネ、初めて見た!すごい!
表現力でも感動させてくれれば言うことなしでしたが、テクニックだけで感動してしまうレベルの超絶技巧とキレの良さを惜しみなく見せてくれたので、やっぱり今夜観に来てよかったと思いました。

つづく4幕は、2幕よりは二人の間に愛を感じました。跪いて許しを請う王子の頬にオデットがそっと両手をあて、その手に顔を埋める王子。ここはたっぷりと魅せてくれました。シルエットも美しかった。
とはいえ2幕の恋愛の情があまりに薄い二人が記憶に残ってしまっているので、最期の場面でも胸が締め付けられるということはなく。。。
それよりも、二人が湖に身を投げた後、チャイコフスキーの主旋律がどんどん盛り上がっていって、ロットバルトが白鳥達に取り囲まれていく様子に大層ゾクゾクいたしました。怖くて綺麗だった~。

今夜は、オケもちょっと気になりました。派手なパートはガンガン派手で良かったのですが、静かなパートの演奏が妙に淡々と流れてしまって、しっとりとした情緒に欠けているように感じました。そこにクールなオデットが踊るものだから、それはもうアッサリサッパリな雰囲気一直線で。。。
にもかかわらず、条件反射のように鳥肌が立ってしまうチャイコフスキーの旋律。天才ですね。

時代を中世ではなく、チャイコフスキーの生きた19世紀に設定したダウエル版の舞台装置と衣装は、なかなか良かったと思います。賛否両論あるようですが、私はこれはこれで嫌いじゃありません。王子の軍服もキリッとしていてカッコいいし、白鳥達のロマンティック・チュチュも、さらさらと揺れるスカート部分が白鳥の羽根のように見えて素敵でした。
ディズニーランドのような、あるいは童話の世界のような夢のあるセットも、わくわくしました。なのに決して安っぽくないところはさすがロイヤル。ラストの二人が乗っている羽根の船は、youtubeで観たときは思わず噴き出してしまったのですが、実際に見たらとても繊細な作りでキラキラと品よく輝いていて、素敵でした。この場面の二人が一番ラブラブに見えた、笑。

他のダンサーについて、手短に。
三幕のナポリの踊り(ラウラ・モレーラ&リカルド・セルヴェラ)、速いこと速いこと!なのにキレもあってすごい!見応えありました!楽しかった!
ジークフリートの母役のジェネシア・ロサート、ロットバルト役のギャリー・エイヴィス、家庭教師役のフィリップ・モズリー、ベンノ役のベネット・ガートサイド。みなさん、役にぴったりで、品があり、素晴らしかったです。

全体の印象としてロイヤルの演出って、良くも悪くも、とっても“わかりやすい”ですね。
こういうところ、Kバレエと似ている気がします。熊哲がロイヤル出身のせいでしょうか。
秋のKバレエの『白鳥』も楽しみ^^

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする