『わたし』
わたしがはじまったのは
いつ?
ハハがみごもったとき?
それからずっとつづいているわたしは
だれ?
それともなに?
わたしはだいたい まいあさわたし
でもときどきだれでもなくなる
なにでもなくなる
わたしがおしまいになるのは
いつ?
『あったことのないきみ』
どこかがいこくのいなかまち
りょうがわに にたようないえがつづいているみち
そこにおとこのこがひとりたってる
それはあったことのないきみ
いえにはハハとチチがいるけれど
いまはそのみちのうえでひとりぼっち
わきにいっさつのほんをかかえて
あったことのないきみは まるでぼくのようだ
きみはどこへもいきたくないとおもっている
いつまでもここにいたいとおもっている
しぬまでいまのじぶんでいたいとおもっている
あしもとでこいぬがしっぽをふってる
いつかよんだ ものがたりのなかのきみ
きみはもうおとなになっておじいさんになって
もしかするともうしんでいる それなのに
いつまでもいつまでもきみは ぼくのようだ