風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

谷川俊太郎 『わたし』

2019-12-29 13:45:29 | 
『わたし』

わたしがはじまったのは
いつ?
ハハがみごもったとき?
 
それからずっとつづいているわたしは
だれ?
それともなに?
 
わたしはだいたい まいあさわたし
でもときどきだれでもなくなる
なにでもなくなる
 
わたしがおしまいになるのは
いつ?

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谷川俊太郎 『あったことのないきみ』

2019-12-29 13:33:32 | 



『あったことのないきみ』

どこかがいこくのいなかまち
りょうがわに にたようないえがつづいているみち
そこにおとこのこがひとりたってる
それはあったことのないきみ

いえにはハハとチチがいるけれど
いまはそのみちのうえでひとりぼっち
わきにいっさつのほんをかかえて
あったことのないきみは まるでぼくのようだ

きみはどこへもいきたくないとおもっている
いつまでもここにいたいとおもっている
しぬまでいまのじぶんでいたいとおもっている
あしもとでこいぬがしっぽをふってる

いつかよんだ ものがたりのなかのきみ
きみはもうおとなになっておじいさんになって
もしかするともうしんでいる それなのに
いつまでもいつまでもきみは ぼくのようだ

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