いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

前の記事に追加ですけど

2010年08月20日 17時20分43秒 | 経済関連
そういえば、松尾匡先生(※21日訂正、本当に申し訳ございません。松尾先生のご尊名を誤って「学」と書いてしまいました。お詫びして訂正いたします)が書かれたと評判らしい『不況は人災です!』という著書があるそうですね(ネット上で名前を拝見するくらいしか知らない学者さんですが)。今度購入してみようと思っているんですよ。


ぼくの意見は、これまでにも書いてきました。

最低賃金に関する議論~4


信じてくれるかどうかは別として、味方が増えてくれることは喜ばしい限りです。
説得って、やっぱり説明を何度も何度も繰り返して、そうしているうちに、誰かが目に留めてくれるようになって、ということしかないんだろうと思うんですよ。


実際、共産党だって、同じ方向を見ることができないわけじゃない(笑)。

はてなブックマーク - 賃金の下落がデフレの原因/富士通総研HPで指摘/同一労働 同一賃金 日本では守られず


どうです?
だからこそ、党派に拘るのは、あんまり意味がないと思うんですよ。

もっと事実を大事にしましょう。
国会質疑だって、ほら、共産党の経済論客のエースとかいう(言うかどうかは知らないけど)大門議員だったか、党派は別として、とても共産党員とは思えないような(悪い意味ではなく、褒め言葉です)経済学の知識を重視しているわけでしょう?
経済学の理屈というものは、党派を超えて、事実という部分にこそ意味があるはずでしょう?

だからこそ、左派の方々にはこのデフレ脱却ということの意味を一番考えて、重視してほしいんですよ。国民生活を破壊するのは、借金だということも分かりますよね?
しかも、キャッシュリッチな大企業や金持ちほど、デフレは圧倒的に有利なんですから。共産党としては、常々敵と見做してきた相手なんですから。それを利する政策に加担するとは、どういうことですか、って話になりますよね?
だからこそ、デフレと戦うには共産党の力だって必要なんですよ。

(参考までに、中国共産党が外資系企業の労働者の賃上げ闘争やストを容認したのは、そうしたデフレ傾向ないしディスインフレがあったが故である、というのが私の診立てです)


そうであるが故に、左派は一致団結して国民を救うべく、デフレと戦う決意を示してほしいんですよ。その方法は、きちんと経済学の知見や事実を重視していきましょう、ダメージやリスクの少ない治療方法や術式を真剣に考えますよ、ということで乗り越えられるはずなのです。


脱出困難であるからこそ、併用療法というのが必要になってくると思うんですよ。

何かの方法一つだけでは、恐らくダメ。

日本経済復興の処方箋~その4

最低賃金だけを上げても効果が不十分か、その政策そのものの副作用というのが出る可能性があるから、別な何かで打ち消すようなことを考えておくべき。それには、貨幣供給を増量するというのが役立つはずですから。



党派に拘らない方がよい~「リフレ派」というラベル

2010年08月20日 16時51分07秒 | 経済関連
コレね>はてなブックマーク - リフレがトッププライオリティなんて人は存在し得ない: EU労働法政策雑記帳


政策実現に向けて考えるべきことは、賛同者を増やすことであろう。拒否する人たちには説得をするべきだし、懐疑的な人々にはもっと有効な説得を試みるべきである。

回避すべきは、「仲間割れ」とか「内ゲバ」である。味方を減らしてどうする、ということ。
何をしたいのかといえば、政策を実現することである。敵陣営の連中を薙倒して、優越感に浸りたいということではない。殲滅戦に勝利することが目的ではない。敵を倒すのが最大の目的ではなく、敵であろうと誰であろうと、「こちらのお願い」を聞き届けてくれて、それを実行してもらうことなのだから。

反対論者たちに戦いを挑むのは当然。
ただ、それは相手を貶めることではない。言ってみれば、折伏させるようなものである(ちょっと違うかもしれないけど)。できる限り、当人に目覚めてもらい、転向を促すようなことが必要なのである。そうじゃなければ、味方は増やせないんじゃないのかな、ということだ。
特に、専門家には手厳しく専門的な部分で挑まねばならない。一般人への影響力が大きいからである。


「誰が言ったか」ということ以上に、中身についてを論ずるべきであると思う。
○○さんを支持します、というような人物支持だけの表明であると、受け入れられない、ということになりがちかもしれないので、人物支持ではなく事実や政策を支持するということにした方がよいのではないか。

例えば、

・失業は悪いこと Y/N
・デフレは良いこと Y/N

みたいに。


経済政策に関する議論についての疑問は、以前から何度も書いてきた。

検証作業というか・・・


日本の経済学分野では、例えば東大教授クラスでさえ「言えないこと」まで大胆に言おうとするんですね。「分かっていないこと」というのを意識することもなく、自覚さえなく、何でもかんでも言うわけです。議論の仕方が根底から間違っているとか、経済学分野では「なってない」ということなのではないですか、ということを、これまで幾度となく申し上げてきたわけです。

こんなのとか>誤解を与えてしまったかもしれません


それと、日銀が言ってないことを「言った」として扱い、叩くというのは、一応反則技なので、そういうのは避けた方がよい。所謂「シャドーボクシング」とかになってしまうかもしれないから。

例>「良いデフレ論」はどこから来たか


もっと議論を細かく区切っていく方がいいんじゃないですか?
分かってないことが多すぎるのに、どういうわけだか一気に結論に飛びつこうとするんですよね。分かること、というのを徐々に増やして、一歩ずつでも地歩を固めて進むようにしたらいいと思うのです。


以前にも紹介したが>改訂版が出ていたのね~ESRIのペーパー


ESRIのディスカッション・ペーパー(飛田、et al.)によれば、次のように記述されている。

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II. 貨幣供給量減少の効果

貨幣供給量(M2+CD)の水準を当初1 年間かけて漸減的に標準ケース比1%低下させ、その後そのレベルを持続させると、貨幣市場の均衡を達成させるため金利の上昇を引き起こす(長期金利は1 年目0.31%上昇する)。その金利上昇による代替効果により設備投資が抑制され(▲0.98%~▲2.20%)、また、円高が生じ輸出も抑制される(▲0.15%~▲0.74%)。

民間消費に対する影響には、代替効果の他に財産所得による所得効果や他の需要項目を通じた所得効果がある。本モデルでは財産所得を通じたプラス効果が代替効果のマイナスの影響より大きいことにより、消費は1 年目と2 年目に若干増加している(表3-7 参照)。
この結果、貨幣供給量の1%削減による実質GDP の抑制効果は、▲0.18%~▲0.28%となっている。
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こういう研究成果があって、「貨幣供給量の削減は実質GDP抑制効果がある」という見解が出されているとしても、それを真っ向から否定したりする学者気取りの連中や経済学の教官なんかが大勢いるわけです。別に、リフレ派がどうの、とかいう問題なんかじゃなく、もっと具体的なテーマなのです。このような研究結果があっても、それを打ち消す意見や研究だってあっても不思議ではありませよ、勿論。
ただ、そういう否定をするには、自らが研究結果を公表して否定する根拠を提示するか、既に研究済みのものなのであれば、そういうペーパーなりを提示して根拠を明示するべきなのですよ。それとも、ペーパー中の問題部分について、具体的指摘を行うことができるはずです。

ところが、経済政策に関する殆どの議論というのは、そうした共通の土台というものが通用していない。出発点からして、失われているようにしか見えないのである。
党派以前に、ある事実を支持するかどうか、ということに基づくべきである。