GW10連休中に録りためたTV番組を消化しています。
以前から気になっていた番組を見てみました。
ETV特集「キミのこと聞かせてよ~木原雅子さんの出張授業~」(2017年7月8日放送)
<番組内容>
京都大学の医学博士・木原雅子さんは、いじめや学級崩壊など課題を抱える学校で数々の出張授業を行ってきた。その手法はとてもユニーク。エイズの予防研究で培った“実践的な性教育”で、子どもたちに不安定な思春期の心と向き合ってもらい、そこから解決の糸口を探っていく。社会の変化と共に複雑になる子どもたちの問題と、大人はどう向き合っていけばよいか。ある中学校を舞台に、思春期の子どもたちと向き合った半年の記録。
同業者でありながら、木原さんの名前を知りませんでした。
もともとはHIV感染症の研究者で、日本の若者の性行動の実態を知り、これは何とかしなくてはいけないと性教育・講演をはじめたものの手応えがなく、試行錯誤しながらたどり着いたのがTVで放送された「学校へ入り込んで行う活動」なのでした。
それも、「教える」という上から目線ではなく、今、クラスで起こっている何が問題なのかを生徒の話に耳を傾けることにより分析し、それに対応するというものです。
放送された内容は、いわゆる“学級崩壊”クラスの立て直し依頼。
木原さんは生徒たちの話に耳を傾け、“生徒 vs 先生”の構図は見せかけで、その本質は“生徒間の友達関係の問題”であることに気づきました。
「何か目立ったことを言うと、いじめられる」というコミュニケーションをとることが怖くなっている状態だったのです。
生徒間がギクシャクしてストレスがたまっており、それを先生という共通の仮想的を設定することにより、かろうじて解消していたのでした。
この構図って、ありがちですね。
北朝鮮・韓国・中国が国民の不満を日本という仮想敵国を設定することにより解消しようとするのと同じです。
先生だけが原因ではないので、先生方がいくら頑張っても解決しません。
木原さんが次にとった方策は、仲良しグループを解体して自分の意見を発表し合う授業でした。
すると、「あれ、あの人はこんな風に思っているんだ」という新たな発見の連続。
自分の意見を言い、他人の意見も聞き、それを認め合う授業です。
すると、ピリピリしていたクラスの雰囲気が変わりました。
この状況、以前にも見たことがあることに気づきました。
菊池省三先生の授業です(プロフェッショナル仕事の流儀「未来をつかむ、勝負の教室」2012年放送)(菊池先生の「ことばシャワー」の奇跡 生きる力がつく授業)。
人の揚げ足をとって相手を責めるのではなく、褒め言葉のシャワーでクラスの雰囲気を激変させたのは衝撃的でした。
次に木原さんは、先生と生徒の対話を持つ機会を設定しました。
休み時間に行う簡単なミニテスト。
それをきっかけに先生と生徒の会話が生まれます。
もともと先生方は仕事量が多くて、一人一人の生徒と向き合う時間がなかったのです。
この手法は、先生にも生徒にもよい効果を生み、双方の距離が近くなり、学力が向上しました。
そして、最後の授業では、「1年後の自分はどうなっているかを想像して、現在の自分にエールを送る文章を書いてみよう」がテーマ。
自分の将来を想像し、現在の自分を見つめ直すこと。
これは効きますね。
以前、女子校の保健室の先生に聞いた話を思い出しました。
いろいろ問題行動を起こす子どもも高校2年生になると落ち着くことが多いとのこと。
それは「自分の将来を考えるから」と言ってました。
将来を見据えて腹をくくり、今のまま自分ではダメだと自覚するのかもしれません。
木原さんは「自分が子どもたちを変えた」とは言いません。
「自分を表現できるきっかけを作った、子どもたちが持っている引き出しを開けるサポートをした」と表現します。
これぞ、大人の役割なのでしょう。
この番組を見ている途中、過去のことが何度も頭に浮かびました。
たぶん、子どもが生き生きするためのポイントは、昔も今もそう変わらないのでしょう。
大切なことは「話を聞いてもらう、存在を受け入れ認めてもらう」ことだと感じています。
これって、現代社会に欠落していることですね。
子どもの存在を受け止める大人たちがすでに、彼・彼女ら自身がそのような経験をしてこなかった。
日本社会も男性(夫)を家庭から引きはがして働きづめにすることで戦後復興を果たしてきた事実。
先日、NHK-Eテレの「子育てすくすく」という番組で、母が子育てに孤独を感じるときという特集をしていました。
内容は「夫が話を聞いてくれない、すれ違う」という訴え。
その夫は働きづめで家に帰っても疲れ切って使い物にならない。
妻が話を聞いて欲しいという気持ちもわかるけど、夫の気持ちは語られていないことに妻たちは気づかない。
現代日本の病理ですね。
働き方改革で、夫を家庭に連れ戻すことができるかどうかが、これからの日本の将来を占う鍵だと思います。
以前から気になっていた番組を見てみました。
ETV特集「キミのこと聞かせてよ~木原雅子さんの出張授業~」(2017年7月8日放送)
<番組内容>
京都大学の医学博士・木原雅子さんは、いじめや学級崩壊など課題を抱える学校で数々の出張授業を行ってきた。その手法はとてもユニーク。エイズの予防研究で培った“実践的な性教育”で、子どもたちに不安定な思春期の心と向き合ってもらい、そこから解決の糸口を探っていく。社会の変化と共に複雑になる子どもたちの問題と、大人はどう向き合っていけばよいか。ある中学校を舞台に、思春期の子どもたちと向き合った半年の記録。
同業者でありながら、木原さんの名前を知りませんでした。
もともとはHIV感染症の研究者で、日本の若者の性行動の実態を知り、これは何とかしなくてはいけないと性教育・講演をはじめたものの手応えがなく、試行錯誤しながらたどり着いたのがTVで放送された「学校へ入り込んで行う活動」なのでした。
それも、「教える」という上から目線ではなく、今、クラスで起こっている何が問題なのかを生徒の話に耳を傾けることにより分析し、それに対応するというものです。
放送された内容は、いわゆる“学級崩壊”クラスの立て直し依頼。
木原さんは生徒たちの話に耳を傾け、“生徒 vs 先生”の構図は見せかけで、その本質は“生徒間の友達関係の問題”であることに気づきました。
「何か目立ったことを言うと、いじめられる」というコミュニケーションをとることが怖くなっている状態だったのです。
生徒間がギクシャクしてストレスがたまっており、それを先生という共通の仮想的を設定することにより、かろうじて解消していたのでした。
この構図って、ありがちですね。
北朝鮮・韓国・中国が国民の不満を日本という仮想敵国を設定することにより解消しようとするのと同じです。
先生だけが原因ではないので、先生方がいくら頑張っても解決しません。
木原さんが次にとった方策は、仲良しグループを解体して自分の意見を発表し合う授業でした。
すると、「あれ、あの人はこんな風に思っているんだ」という新たな発見の連続。
自分の意見を言い、他人の意見も聞き、それを認め合う授業です。
すると、ピリピリしていたクラスの雰囲気が変わりました。
この状況、以前にも見たことがあることに気づきました。
菊池省三先生の授業です(プロフェッショナル仕事の流儀「未来をつかむ、勝負の教室」2012年放送)(菊池先生の「ことばシャワー」の奇跡 生きる力がつく授業)。
人の揚げ足をとって相手を責めるのではなく、褒め言葉のシャワーでクラスの雰囲気を激変させたのは衝撃的でした。
次に木原さんは、先生と生徒の対話を持つ機会を設定しました。
休み時間に行う簡単なミニテスト。
それをきっかけに先生と生徒の会話が生まれます。
もともと先生方は仕事量が多くて、一人一人の生徒と向き合う時間がなかったのです。
この手法は、先生にも生徒にもよい効果を生み、双方の距離が近くなり、学力が向上しました。
そして、最後の授業では、「1年後の自分はどうなっているかを想像して、現在の自分にエールを送る文章を書いてみよう」がテーマ。
自分の将来を想像し、現在の自分を見つめ直すこと。
これは効きますね。
以前、女子校の保健室の先生に聞いた話を思い出しました。
いろいろ問題行動を起こす子どもも高校2年生になると落ち着くことが多いとのこと。
それは「自分の将来を考えるから」と言ってました。
将来を見据えて腹をくくり、今のまま自分ではダメだと自覚するのかもしれません。
木原さんは「自分が子どもたちを変えた」とは言いません。
「自分を表現できるきっかけを作った、子どもたちが持っている引き出しを開けるサポートをした」と表現します。
これぞ、大人の役割なのでしょう。
この番組を見ている途中、過去のことが何度も頭に浮かびました。
たぶん、子どもが生き生きするためのポイントは、昔も今もそう変わらないのでしょう。
大切なことは「話を聞いてもらう、存在を受け入れ認めてもらう」ことだと感じています。
これって、現代社会に欠落していることですね。
子どもの存在を受け止める大人たちがすでに、彼・彼女ら自身がそのような経験をしてこなかった。
日本社会も男性(夫)を家庭から引きはがして働きづめにすることで戦後復興を果たしてきた事実。
先日、NHK-Eテレの「子育てすくすく」という番組で、母が子育てに孤独を感じるときという特集をしていました。
内容は「夫が話を聞いてくれない、すれ違う」という訴え。
その夫は働きづめで家に帰っても疲れ切って使い物にならない。
妻が話を聞いて欲しいという気持ちもわかるけど、夫の気持ちは語られていないことに妻たちは気づかない。
現代日本の病理ですね。
働き方改革で、夫を家庭に連れ戻すことができるかどうかが、これからの日本の将来を占う鍵だと思います。