“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

人間は自分自身を家畜化することで文明を生んだ。

2017年11月04日 15時34分39秒 | 子どもの心の問題
 NHK-BSプレミアムの番組を見ていて出てきた文言。
 非常に奥が深い表現です。

■ プレミアムカフェ いのちドラマチックスペシャル オオカミはこうしてイヌになった
NHK-BSプレミアム:2016年6月2日:初回放送:2011年) 
出演:福岡伸一ほか
<詳細>
 はるか昔、オオカミを“イヌ”として飼うようになってからイヌの歴史が始まった。福岡伸一さんがひもとく進化の歴史。


 人間が動物を家畜化する過程は、その動物の幼児期にヒト社会に馴染ませることがポイント。
 幼児期は学習能力に長けており、成長が止まるとその能力が落ちるのです。
 動物全般に共通する現象として、物事を恐れず、探究心に富んでいるのは「子ども」の特質。
 これを利用して子ども時代を長くすることによりヒト社会に順応させたのが家畜化。

 家畜化、ペット化した動物には子どもの特質が形質変化として出てきます。
 番組中のキツネでは、「スター白斑」「巻き尾」「垂れ耳」「丸い形の頭蓋骨」など。
 実はこれは、現在ペットや家畜化されている動物にも観察することができるのです。

 「薄い警戒心」という性質も子どもの特質です。
 アメリカの学者、クライブ・ウィンの研究によると、オオカミが警戒心を示すのは生後5週以降であることが判明しました。

 人間をヒト社会に適応させることが文化・文明の始まりと考えると、人間は学習能力に長けた幼児期が長くなったためにそれをなしえたとも捉えることができます。
 つまり、動物をヒト社会に馴染ませるという点で、家畜化と文明化は共通しているという意味で、題名の表現にたどり着くわけです。

・家畜・ペットの歴史
(15000年前)イヌ
(11000年前)ヤギ、ヒツジ
(10000年前)ブタ、ウシ、ネコ
(8000年前)ニワトリ
(5000年前)ウマ

<参考>
Lyudmila Trut et al. Animal evolution during domestication:the domesticated fox as a model.Bioessays. 2009 Mar; 31(3): 349–360.
 家畜化における動物の進化は「エピジェネティックな変化」である。これは、遺伝子が変わるのではなく、遺伝子の働き方が変わることにより行動や形質が変わるという考え方。
 遺伝子のみではなく、遺伝子を働かせる仕組み(タイミングや順番)も遺伝する。

・マックス・プランク進化人類学研究所の報告書:Somel et al. Transcriptional neoteny in the human brain. Proc Natl Acad Sci USA 2009; 106: 14:5743-5748.
 遺伝子が働くタイミングの違いにより人間は賢くなれたのではないか。人の脳では神経細胞の発達に関わる遺伝子が他の霊長類に比べてかなり遅れて活性化することをつきとめた。
 

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