東京日和 素敵な暮らし for all women インテリアのレシピ

インテリアをとおして・・仕事、プライベート、子育て。色々なシーンでその場所をより楽しく過ごすエッセンスや情報を綴ります。

桜道

2014-02-18 | ストーリー
神田川沿いの遊歩道を歩いていた。

もう、既に日はとっぷりと暮れてしまっていた。

進行方向に大きなオレンジの月が出ていた。

今日の月は雲もなく、月の模様もはっきり見えた。

私は月の方向を目指した。ヒールの靴音がコツコツとリズムを刻んでいた。

ウォークマンの音楽と同じテンポ。タッタッタッタタ・・・心はいつも音楽を刻んでいる。

彼の心の中はきっと私より、ずっとずっと音楽でいっぱいなんだろうなあ。ふっとそう思った。

川はゆっくりカーブしていて、川の両岸の桜の木の枝は川に向かって流れるようにその先を伸ばしている。

桜の花の季節には、見事な花のアーチを川に掛けている。

花びらが花吹雪になると、川に花びらが浮かびいっそう綺麗な風景となる。

川には、カルガモもやってきて、親子で整列して泳いでいる。

そう。なんてのどかな光景。しかし、私な何故か桜の花を見ても浮き浮きしたりしない。

3月から4月にかけては別れの季節だったり、新しく始まる何かに対する、どうも落ち着かない心だったり。

桜の花をみると、何故か、ざわついた。そしてちょっぴり悲しい気分になってしまう。

記憶のリピート。しなくていいのに。昔、新しい会社でお花見があった。女優系のかっこい先輩。

男性上司が、「彼女がビール片手に、みんなで桜の道を歩いているだけでもかっこいいんだよなあ。」

そうなんだ、ビール持ってかっこいいなんて大人ね。あれから何年たった?さすがに自分そうなったかしら?

なんとなく、そんなどうでもよいような事を考えていた。

桜は綺麗だ。今は、その移り変わりの季節の中にいた人から、幾らでも桜を満喫出来る人になった。

楽しい事はたくさんあったはず。やっぱり、記憶のリピートの上に新しい記憶を塗り重ねて

桜の記憶を変えたほうがいい。多分ね。


アーチになった川沿いに歩いていくと、月の道しるべが消えた。向かう方向が変わったんだ。

そう。道は一本なんだけどね。消えた月にほんの少し淋しくなった。そんなもの。すぐに気を取り直した。

歩くのは好きだ。何かに向かて歩くことが。どんな道を行っても、道は目的地に向かう。

すべての道はローマに続く。ほんとにそう思う。歩いていれば、いつか着く。

ならば、やはり音楽を心に刻んで、軽快に行こう!!そう思うよ。彼に心の中で呟いた。

たぶん、明日も晴れ!!





しばらく。おやすみします(*^_^*)/ またね!!!