年上の女の情念

熟女の情念

六条の御息所は
光源氏の初めての恋人。
年上の教養ある女性です。
気位の高い彼女は
源氏の心が自分から
離れそうになると、
自分の方から身を引きます。
でも、心の中では
光源氏への思いを断ちがたく、
生霊(いきすだま)となり、
源氏の正妻「葵の上」を
とり殺してしまいます。
六条の御息所は
それ程の激しい愛情で
光源氏を愛していたのでしょう。
六条の御息所とは
桐壺の帝の弟君の后。
この弟は東宮と呼ばれていました。
つまり、天皇の位を継ぐ後継者、
皇太子だったわけです。
そう言う訳で御息所は
皇太子妃でした。
仲睦まじい夫婦でしたが、
東宮は亡くなられた。
一人の娘と
20歳の御息所を残して。
六条の広い邸に住む彼女は
教養深く美しく貴族のあこがれでした。
その彼女を光源氏が射止めたわけです。
“乳母”の面影を慕うように
光源氏は御息所の元に通う。
彼女も“乳母”のように
源氏をいつくしみながらも
熟女として
源氏との愛に溺れてゆく。
しかし、やがて光源氏は、
葵の上を正妻として迎える。
それで御息所への足が遠のいてゆく。
熟女の思慮と分別に
目覚めて彼女は身を引くのです。
しかし、萌え盛った
女の情念は止み難く
彼女は屈辱に耐え切れない。
遺児の娘が
斎宮に選ばれたのを機に
彼女も一緒に伊勢へ
下ろうと決意します。
ところで、加茂の御祭りの時
お供に選ばれた光源氏を
一目見ようと、
洛中の女御達が
競い合っている中に、
御息所も目立たぬように
網代車(あじろぐるま)で
来ていました。

そこへ正妻である葵の上の車が
意図的に割り込んできて
彼女の網代車は
ぼろぼろに壊されてしまいます。
誇り高い御息所は
この辱めに耐えられませんでした。
その後、葵の上は
物の怪に憑かれた中で
出産しますが狂死します。
人は、御息所の情念が
生霊(いきすだま)となり、
源氏の正妻「葵の上」を
とり殺したと囁き合います。
光源氏と
六条の御息所の間に萌え盛った
情念の激しさが見えるようです。
by デンマン
デンマンさん。。。、また、六条の御息所(みやすどころ)ですか?
いけませんか?
デンマンさんが、この記事を格調高くさせようとする気持ちは分かりますわ。でも、なんとなくわざとらしいですわぁ~。
ん?。。。わざとらしい?。。。レンゲさんは、どういう訳でわざとらしいと言うのですか?
無理やり、あたしと六条の御息所を結び付けようとしていますわ。
無理やりィ~。。。?
そうですわ。。。なにも源氏物語を持ち出さなくてもいいじゃありませんか?
でもねぇ~、せっかく、おととい光源氏と六条の御息所を紹介してレンゲさんと清水君の関係を説明したんですよ。僕は決して無理やり結び付けようとしたわけではありませんよ。
でも、源氏物語は平安時代のお話ですわ。とにかく、時代が違いすぎますわぁ~。
レンゲさん、あなたのような聡明な。。。教養のある女性が、源氏物語が古臭いと言うのですかぁ~?
デンマンさんは、こういう時だけあたしが聡明だとか。。。教養があるとかおっしゃいますけれど。。。あたしがその気になって、デンマンさんのおっしゃる事を認めれば、やがて話が下ネタになって、あたしはエロい女にされてしまうのですわあああ~。
ちょっと。。。レンゲさん。。。あなたはエロい女にこだわりすぎていませんか?
こだわっていませんわぁ~。。。あたしがこだわっているとおっしゃるなら、デンマンさんこそ源氏物語にこだわりすぎですわぁ~。
あのねぇ~、レンゲさん。。。、僕が六条の御息所をまた持ち出したのには、ちゃんとした理由があるのですよ。僕は無関係なモノを、やたらに記事の中に引用しませんよ。
分かりましたわ。。。それで、一体どのような理由があるとおっしゃるのですかぁ~?
だから、ちゃんとタイトルに書いたでしょう?
タイトルに。。。? あのォ~“年上の女の情念”。。。ですかぁ~?
そうですよ。
それが一体あたしと、どのように関わっているとおっしゃるのですか?
やだなあああ。。。レンゲさん。。。分かっているくせにィ~、知らないそぶりを見せてぇ~。。。白々しいですよ。。。六条の御息所は光源氏にとって年上の女性ですよ。レンゲさんも清水君にとって年上の女性ですよね。
その事は分かっていますわ。
分かっているのだったら、僕にわざわざ言わせないで下さいよ。僕の記事が長くなるだけですよ。
あたしが知りたいのは、“情念”がどのように関わっているのか?と言う事ですわぁ~。
そういう事を言って、また僕に情念とは何かを言わせるのですね?また僕の記事が長くなるだけですよ。でも、仕方がありませんよ。レンゲさんが、そう言うのだから。。。
情念

(社会とか個人に対する)消しがたい愛情などの感情。
三省堂 新明解国語辞典より
深く心に刻みこまれ、理性では抑えることのできない悲・喜・愛・憎・欲などの強い感情。
三省堂 「大辞林 第二版」より
これだけはっきりと書き出せば、聡明なレンゲさんならば、僕が言おうとしていることが分かるはずですよね?
そのように回りくどい言い方は止めてくださいな。はっきりとおっしゃってください。
やだなあああ。。。レンゲさんは、まだ、とぼけるのですかぁ~?
とぼけていませんわ。あたしが素直だという事、デンマンさんは良くご存知のはずでしょう?
レンゲさんは確かに素直ですよ。でも、それ以上に知的なところもある。僕が上に書いた六条の御息所のエピソードを読み、“情念”とは何か?。。。それが分かれば、僕が言おうとしていることは明らかですよ。
明らかでないから、あたしはこうしてお聞きしているのですわ。
やだなあああ。。。レンゲさんは、まだ、とぼけるのですか?
デンマンさん!。。。いい加減にしてくださいな。記事が長くなるだけですわ。はっきりとおっしゃってくださいな。
あのねぇ~、“年上の女の情念”とは、まさにレンゲさんの情念の事を僕は取り上げたつもりなんですよ。
つまり、あたしの情念と六条の御息所の情念が同じだとおっしゃるのですか?
そのような事は、これまでレンゲさんの記事を読んできた人ならば、すぐに分かりますよ。
それは、デンマンさんが、そう思っているだけのことですわ。
レンゲさんは、清水君に寄せる思いが、六条の御息所の情念と変わらないものだと言う事が分からないのですか?
あたしは確かに洋ちゃんと縁(よ)りを戻したいと言う強い気持ちは持っていましたわ。でも、六条の御息所のように生霊(いきすだま)となり、源氏の正妻「葵の上」をとり殺してしまうほどのメチャ激しい情念など持ち合わせておりませんわ。あたしは洋ちゃんと一緒に暮らしていた久美子さんを取り殺したわけではありませんわ。
確かに久美子さんを呪い殺したわけではありませんよ。でもね、六条の御息所も源氏の正妻「葵の上」に怨念を感じて怨霊となって取り殺したわけではない。

怨念(おんねん)
深く心に刻み込まれたうらみ。
怨霊(おんりょう)
うらみをいだいて、たたりをなす霊。
三省堂 「大辞林 第二版」より
でも、デンマンさんは、はっきりと次のように書いていますわ。
心の中では
光源氏への思いを断ちがたく、
生霊(いきすだま)となり、
源氏の正妻「葵の上」を
とり殺してしまいます。
六条の御息所は
それ程の激しい愛情で
光源氏を愛していたのでしょう。
つまり、六条の御息所は「葵の上」に対して怨念を持っていたのですわ。葵の上の車が意図的に割り込んできて彼女の網代車はぼろぼろに壊されてしまいました。葵の上に光源氏も奪われ、これ程の屈辱を受けた六条の御息所は怨霊になって葵の上を呪い殺してしまったのですわ。
うん、うん、うん。。。確かに、そのようにも解釈できますよ。それが源氏物語の“物語”と言われている所以(ゆえん)ですよ。いかようにも解釈の仕方があります。でもね、僕は最後の方で次のように書いています。
葵の上は
物の怪に憑かれた中で
出産しますが狂死します。
人は、御息所の情念が
生霊(いきすだま)となり、
源氏の正妻「葵の上」を
とり殺したと囁き合います。
普通、レンゲさんのように“怨霊”という場合、その人は恨みを呑んで死んでしまった人の事を言うのですよ。でも、物語の中では葵の上が亡くなった時、六条の御息所は生きていたんですよ。
でも、六条の御息所は生霊(いきすだま)となって葵の上をとり殺したわけでしょう?
物語の中では、そのように語られていますよ。その方が面白いから。。。でもね、六条の御息所は決して葵の上を殺したかったわけではない。
どうしてそのような事がデンマンさんに言えるのですか?
たまたま、葵の上は物の怪に憑かれた中で出産して死んだ。だから、事情を知っている人たちは御息所の情念が生霊(いきすだま)となり、源氏の正妻「葵の上」をとり殺したと囁(ささや)き合ったわけですよ。この方が物語として面白いから紫式部さんもそのように書いたわけですよ。
でも、六条の御息所は実際に葵の上を亡き者にしたいと思ったかもしれませんわ。
いや、そのような事はありません。
なぜ、そうではないとデンマンさんはおっしゃるのですか?
六条の御息所には、次のようなエピソードがあるんですよ。