漱石とグールド(PART 1 OF 4)
件名:小百合さん、
初秋のバンクーバーから、
おはよう!
きゃはははは。。。
Date: 20/08/2010 2:24:40 PM
Pacific Daylight Saving Time
日本時間:8月21日(土曜日)午前6時24分
From: denman@coolmail.jp
To: sayuri@hotmail.com
CC: barclay1720@aol.com
バンクーバーはすっかり秋めいてきましたよう。
午後1時で気温18度。
空には一つ二つ、ポッカリと雲が浮いているだけで、
快晴に近いですよ。
もう夏のギラギラとした日差しは感じられません。
秋晴れといった感じですよう。
でも、まだ紅葉は始まっていません!
きゃはははは。。。
しかし、30分も車で走れば、8月の下旬から色づく葉っぱを見ることができますよ。
実は、今、『漱石とグールド』を読んでいるのですよ。
日本人でグレン・グールドの名を知っていたら、クラシックにかなりハマッている人だと思う。
小百合さんとは、これまでにクラシックの話をしたことがないから、おそらくグレン・グールドのことは知らないと思う。
僕はカナダの生活が長いから、もちろんグールドの名前を知っている。
カナダ人ならば、たいていの人が知っている有名な作曲家でユニークなピアノ演奏家です。
その本の副題は『8人の「草枕」協奏曲』。
名の通り8人の人がグールドと夏目漱石について書いている。
どうして夏目漱石がグレン・グールドとかかわりがあるの?
僕も、タイトルを見て、不思議に思ったからバンクーバー市立図書館から借りてきた。
夏目漱石とグレン・グールドは、生きていた時代が全く違っている!
二人の間に共通点があるとは思えなかった!
でも、あるんだよ!きゃはははは。。。
しかし、その事が言いたくて『漱石とグールド』を持ち出してきたわけじゃない。
8人の一人にサダコ・グエンという女性がいる。
多分、カナダ人と結婚した日本人でしょう。
執筆者紹介欄には、1953年生まれのカナダ在住の翻訳家と書いてある。
この人が書いた小文を読んだのですよう。
長いけれど、引用します。
小百合さんも何度もカナダにやって来たから、懐かしく読めるかもしれない。
私の知人が、ブリティッシュ・コロンビア州都のヴィクトリアで、グールドについて講演をした際、その地で教師をする女性が近づいてきて、こういった。
自分の父はイエローナイフで毛皮を取るわな猟師をしているが、グールドと手紙のやり取りがあり、その結果グールドと1982年の冬、父のところまで出かけ、厳冬の北を見るつもりだった。
しかしグールドはその年の10月に亡くなったので、それは実行されなかった。
これがもし実行されたらどうなっただろうか。
「北との対面」はグールドの長い霊的彷徨の節目となったであろうか。好奇心をそそられる話である。
私の住むヴァンクーヴァーは、カナダでもっとも温暖な地域であるが、しかし北国であることに変わりはない。
ヘンリー・ジェームズは英語の最も美しい言葉は Summer Afternoon だと言ったが、北国に住む者は大いに共感を覚える。
北国の夏は美しい。
それは白地にくっきりと浮かび上がった朱色のようだ。
北国の夏は、長く、厳しい冬を背景にしてのみ存在する。
たまたま暑く、長い夏に恵まれたとしても、北国の人間は早く秋になってほしいとは思わない。
数週間 十分太陽を浴びたあとでさえ、いつ雨が降り出し、一挙に秋が来、そして冬になってしまうかを心配するのだ。
何しろ8月の始めには紅葉が始まる土地なのである。
夏は常に冬を背景とするというのは、単なるレトリックではない。
グールドにとって北の存在とは、信仰の厚い人が常に神の存在を感じるようなものではなかったか。
北の風景、特に厳冬の風景の美しさは人をして襟を正させるような何かがある。
普段霊的な存在などを意識しない者も心を打たれ、超自然的な存在を思わずにはいられない。
氷河、雪を被った山々、凍りついた湖。
あるいは、ふとコートの袖口を見て、目に入った雪の結晶でもよい。
それがカナダの北の、人間を寄せつけないような地の極寒の風景であったら、どんな人間でもひたすら圧倒されるであろう。
何千年もの間、人間の醜い争いの元となった宗教などとは無縁の絶対を感じるであろう。
それはグールドのような天才もがひれ伏して、何の不思議もない何ものかである。
62-64ページ 『漱石とグールド』
横田庄一郎編 1999年9月5日第一刷発行
発行所: 株式会社朔北社(さくほくしゃ)
う~ん。。。
カナダの夏は、本当に素晴らしい!
でも、バンクーバーの夏は終わって、もう初秋の気配ですよ。
僕が2年ほど過ごしたイエローナイフが出てきたので急に懐かしくなりました。
確かに、カナダには8月の始めに紅葉が始まる土地があるのです。
イエローナイフは、そういう所です。
小百合さんは栃木の山奥の“山の家”ですか?
それとも伊豆ですか?
カナダを懐かしく思い出しながら、むさ苦しい日本の夏を軽井沢タリアセン夫人になりきって乗り越えてね。
きゃはははは。。。
では元気で楽しくルンルンルン。。。
時間があったら次の記事を読んでみてね。
■『厳しさの中の愛の絆』
(2010年8月20日)
バ~♪~イ
じゃあね。
小百合さんもサダコ・グエンさんの文章を読むと、カナダが。。。とりわけ、“湖畔の家”を借りていたバーナビーの「鹿の湖(Deer Lake)」が懐かしくなるでしょう?
そうですわね。。。今の私は介護に追われて、なかなか自分の時間が持てないのですわ。
仕方ないと言えば仕方ないですよね。介護をほったらかしてカナダにやって来るわけにもゆきませんからね。
そうですわ。それでなくても、私はわがままで自分勝手な女だと言われているのですから。。。
マジで。。。?
自分では決してわがままではないと思っていても、主人の親戚の人たちからは散々に言われましたわ。
(13年間)バーナビーで夏休みを過ごすことは
毎年私の支えの時間でした。
夫は「中性脂肪」だと言いましたが、
私にだって、やってやれない事はないはずです。
夏の期間、夫と離れて
バーナビーの“山の家”で過ごしながら、
家事をやり、子育てをして
自分にだって“女らしいことができる事”を
行動して自分で確かめたかったのです。
『La Campanella』より
(2009年11月27日)
確かに、日本の親戚づきあいは難しいからね。。。閉鎖的な所があるから、小百合さんのような解放的な生き方は良くは言われないのですよう。
デンマンさんは私のことをわがままだと思いますか?
日本では僕もわがままな男だと言われますからね。小百合さんが誤解されるのも無理はないですよう。町子さんまでがビックリしていましたよう。
デンマンさん。。。
小百合さんは赤ちゃんをオンブして
ロッキー山脈を見て来やはったのよう。
ビックリしたわあァ~。。。
確かに若い時には無鉄砲な所がありましたわ。
いや。。。決して無鉄砲ではありませんよう。
デンマンさんは私の20代の頃を知らないからですわァ。これでも、若い時から比べればだいぶ丸みが出てきたのですわ。
ほおォ~。。。そうなのですか? 無鉄砲時代の小百合さんに会ってみたかったですよう。うしししし。。。
ところで、デンマンさんはイエローナイフに居たことがあったのですよね。
そうですよう。
カナダの北の、人間を寄せつけないような地の極寒の風景であったら、どんな人間でもひたすら圧倒されるであろう。
何千年もの間、人間の醜い争いの元となった宗教などとは無縁の絶対を感じるであろう。
それはグールドのような天才もがひれ伏して、何の不思議もない何ものかである。
サダコ・グエンさんは、このように書いていますけれど、デンマンさんも極北の地で自然に圧倒されたものですか?
不思議な経験をしましたよう。。。すでに記事で書いたことだけれど、初めて読む人も居るだろうから、ここに書き出しますよう。
(すぐ下のページへ続く)