天高く馬肥ゆる秋(PART 1)


Subj:小百合さん、おはよう!
秋晴れのバンクーバーは
爽やかで清々(すがすが)しい
ですよう!
きゃはははは。。。
Date: 24/08/2010 11:57:46 AM
Pacific Daylight Saving Time
日本時間:8月25日(水)午前3時57分
From: denman@coolmail.jp
To: sayuri@hotmail.com
CC: barclay1720@aol.com

雲一つない、どこまでも青い空が広がっていますよう。
“天高く馬肥ゆる秋”
昔の人は上のように言ったけれど、
どうして天が高くなると馬が肥えるのか?
馬を使って畑仕事をしたことのない僕には分からないけれど、
そう言えば、僕のお袋の実家が南河原村にあったのですよう。
今では行田市に合併されて無くなってしまった村だけれど、
僕がまだ小さな小さな頃
幼稚園に上がる前ですよう。
おそらく4つか5つだったのでしょうね。
その農家には馬小屋があって
その中で飼われていました。
お袋の話だと、その馬を借りていたそうです。
小さな子供の目には、とてつもなく大きな馬の姿は、まるで恐竜が目の前に現れたような驚きでした。
とても怖いと思った記憶がありますよ。

それでも興味があるから僕は馬をしみじみと眺めている。
馬だってぇ、小さな子供が興味深そうに眺めているから、僕の様子をじっと見詰めていましたよう。
その大きな目が、とっても優しそうに感じたものです。
今から思えば、その馬は牝馬で母性本能の優しさが目に表れていたのではないだろうか?
その馬が生んだ子馬を見るような優しいまなざしで僕を見つめていたような、そんな感じをその優しい大きな目から感じたものでした。
母親の実家で馬を一番可愛がっていたのは祖父だったそうです。
お袋はどうだったの?と尋ねたら、
長女だったお袋は小学校にあがる頃から、農作業や家事の手伝いをさせられて、
馬の面倒を見るのは、ただただつらいことだったらしくて、
馬が居るから自分の仕事が増えると思って、可愛いどころではなかったそうですよう。

やがて耕耘機(こううんき)が使われるようになって、
馬は、元の飼い主に返したそうです。
それから何年経った時の話なのか?
僕は忘れてしまったけれど、
ある日、祖父が自転車に乗って農道を走っていたら、
馬がいなないたと言うのですよう。
おやっと思って馬をよく見ると、祖父が可愛がっていた馬だったそうです。
懐かしくなって、馬に近寄って鼻をなでてやりながら、その時の飼い主に、その馬を使っていた頃のことを話してやったそうです。
馬も可愛がってくれた人のことを覚えているのですよね。
その馬は、元々優しい馬だったと僕には思えるのですよう。
今でも、その馬の優しくて大きな目が僕の記憶の片隅に残っているのです。

バンクーバーの雲一つ無い空を見ていたら、なぜか急に、その馬の優しい目が思い出されてきました。
不思議なことです。
小百合さんも、子供の頃の懐かしい思い出を懐かしみながら軽井沢タリアセン夫人になりきって元気に楽しくルンルン気分で過ごしてね。
ん。。。? 何か面白い話が読みたいの?
じゃあねぇ、次の記事を読んでみてね。

■『愚かな愚か者』
(2010年8月24日)
笑って元気を出してね。
じゃあ、またねぇ。

“天高く馬肥ゆる秋”

デンマンさん。。。秋になると上の言葉をよく耳にしますけれど、「食欲の秋」になるので馬も太るという意味なのですか?

グルメの小百合さんは、やっぱり「食欲の秋」を思い浮かべるのですか?
それが一番自然な解釈だと思って、私はこれまで辞書で調べた事など無いのですけれど、マジでどういう意味なのですか?
実は、僕も「食欲の秋」と関係している語句だと思っていたのですよう。実際、GOO の国語辞書で調べると次のように書いてあるのですよう。

でも、本当は「食欲の秋」と関係ないのですか?

現在では昔の意味が忘れられて、GOOの国語辞書に書いてあるように、空は澄み渡って晴れ、馬が食欲を増し、肥えてたくましくなる秋を言うようになったのですよう。
昔の意味は違ったのですか?
昔と言っても 2000年も前の中国の話なのですよう。中国の北方に匈奴(きょうど)と呼ばれた騎馬民族が居たのです。小百合さんも歴史の時間に勉強したでしょう?
ええ。。。聞いたことがありますわ。中国の北方ってぇ万里の長城の向こう側ですか?
そうです。 この騎馬民族が実りの秋になると南下して、せっかく漢民族が育てた農産物を奪いにやって来るのですよう。
その奪った農作物を食べて馬も肥える、と言う訳ですか?
その通りですよう。漢民族にとっては、たまったものじゃない。それで、「今年も秋になったから警戒しよう」と言うのが、元々の意味だったらしい。
。。。で、その諺が日本にもたらされると、いつの頃からか最初の意味が忘れられて「食欲の秋」になったのですか?

まあ。。。そう言う事らしいですよう。
。。。で、デンマンさんは“食欲”ではなく、“優しい馬の目”を思い出したのですか?
そうなのですよう。。。実は、最初に僕のオツムに思い浮かんだのは次の写真なのですよう。

(『ゴダイヴァ夫人のチョコ』より)

あらっ。。。私の顔写真を切り抜いてコラージュしたものですわね。うふふふふふ。。。

馬の表情を良く見てくださいよう。。。何と言うか。。。とってもおとなしくて優しそうでしょう?!。。。素直で何でも言うことを聞くような従順な馬だと一目見た時に僕は思いましたよう。。。こんな優しそうな馬を僕は見たことが無い。
そうでしょうか?
小百合さんには、そう見えないのですか?
ごく普通の馬の表情に見えますわ。
あのねぇ、実際にゴダイヴァ夫人が乗った馬も、上の写真の馬のようにおとなしくて優しい白馬だったと僕は思うのですよう。
デンマンさんは、なぜそのように思えるのですか?
それはゴダイヴァ夫人の伝説や史実を読むと、そう思えるのですよう。
(すぐ下のページへ続く)