畳とおばさんパンツ(PART 1)


件名:小百合さん、おはよう!
夕べからパソコンの調子が
いいですよう。
きゃはははは。。。

Date: 18/08/2010 9:58:04 AM
Pacific Daylight Saving Time
日本時間:8月19日(木曜日)午前1時58分
From: denman@coolmail.jp
To: sayuri@hotmail.com
CC: barclay1720@aol.com
まだ、これからシャットダウンすることがあるかもしれないけれど、夕べ10時頃パソコンが再起動してから、これまで一晩寝て起きても動いていますよう!

万歳!
パソコンのことで気を取られていて、町子さんのことを書いたかどうかあやふやになっていたけれど、書いていたんだよね。
そのメールを出だしに使って8月19日の記事を書いて夕べ予約投稿したのです。
題して「厳しさの中の名演」ですよ。
時間があったら読んでみてね。

■『厳しさの中の名演』
(2009年8月19日)
不思議なもので、高橋治の「絢爛たる影絵 - 小津安二郎」を読んだら、大坂志郎と原節子がお寺の縁側に出て、本の中に書いてあるとおりの演技をしたシーンが鮮明に思い出されたのですよう。
映画を見てから少なくとも15年は経っている!
映画のシーンだから、僕の人生とは直接に関係ないことだけれど、記憶に鮮明に焼きついている。
そういう事ってぇあるんだね。
もちろん、本を読まなかったら、多分、永久に記憶の片隅に追いやられていたかもしれない。
ただ、僕の記憶の中では、大坂志郎と原節子は畳の上であのシーンを演技したのではないのですよう。
お寺の縁側だった。
つまり、畳ではなくて板の縁側だったのですよう。
小津監督に徹底的に特訓を受けて、大坂志郎は汗をじっとりとたらし、その汗が畳に染み込んで畳の色が変わってしまった。
それで、本番の時に畳を一枚取り替えた、と書いてあるけれど、僕の記憶を探っても、どこにも畳は出てこない。
あの部分は小津監督の厳しい指導を表現するための高橋治の創作ではないのか?
板の間では、厳しさが表現できない。
畳の色が変わるほど大坂志郎が汗を出して演技をしたからこそ、読む人に小津監督の厳しさが伝わる。
そう、思ったのだよ。
いつか DVDを借りてきて畳だったか板の間だったか?じっくりと観てみるつもりです。

それにしても、10月だというのに、畳の色が変わるほど演技をすると言うのはすごいよね。
ところで、今朝のバンクーバーは、初秋という感じになりました。
午前8時半には空に雲が半分ほどかかって、お日様が顔を覗かせていたけれど、今は、すっかり雲に隠れて、お日様の顔が見えません。
爽やかで涼しい秋の気配を感じながら、こうしてメールを書いてます。
小百合さんも田舎の山の家で爽やかで涼しい秋の気配を感じていますか?
多分、日本の田舎では、まだまだ暑苦しい日々が続いているのだろうね。
とにかく、軽井沢タリアセン夫人になりきって、元気で楽しくルンルン気分で過ごしてね。
じゃあね。


デンマンさんは、思い違いをしているのではありませんか?

。。。ん? 思い違い。。。?
そうですわ。 大坂志郎さんが畳の上で演技していたのをデンマンさんはお寺の縁側だと思い込んでしまったのですわよう。
もちろん、思い違いということも考えられなくはない。。。でもねぇ、なぜか、あのシーンは鮮明に覚えているのですよう。 家族が集まってお寺の本堂でお坊さんが読経しているのを皆がしんみりと聞いているのだけれど、大坂志郎だけが居たたまれないように本堂から縁側に出てくるのですよう。。。縁側ですからね。 畳ではないのですよう。 板の縁側なのですよう。
でも、高橋さんは「東京物語」の助監督をしていて、その場面を見たはずですわ。 デンマンさんは思い違いをしているかもしれないけれど、高橋さんはプロですわ。 思い違いをしているとは考えられませんわ。
あのねぇ、人間は誰でも不完全ですよう。。。プロであろうが、アマチュアであろうが、思い違いをすることはあります。
それでも、助監督さんよりもデンマンさんの方が思い違いする可能性は高いと思いますわ。
いや、むしろプロの方が同じような作品を見ているから、混同する可能性が高いですよう。 しかも、高橋さんが大坂志郎さんの演技を見てから本に書いたのは20年経ってからの事なのですよう。他の作品で大坂志郎さんが畳の上で演技したのを「東京物語」だと思い込んでいたかもしれない。 しかも、縁側では本を書く上で大坂さんが汗みずくになって小津監督からしごかれた様子がうまく表現できないのですよう。畳の方が劇的に表現できる。
大坂(志郎)の歩く演技も同じだった。小津は駄目を出し続ける。十月も半ばを過ぎていたが、大坂は全身汗みずくだった。小津のワイシャツもしぼるほどの汗にぬれている。
「ほう、脂汗かいな。じゃ、汗ふいて、もう一度」
大坂にテストのやり直しを命じておいて、小津はそっぽを向いている。このシーンに出番がある原はセットの隅に座ったままである。
「大坂、大物になったな、原節子さんを待たしてるんだものな」
小津の厭味(いやみ)は回を増すごとにひどくなった。
「原さん、余り気の毒だから麻雀の牌でも持って来させましょうか」
大坂は遂に自分の手足も思うように動かない羽目に追い込まれた。
その頃になって、やっと小津が演出家らしいことをいった。_
「大坂、ついこの間も平山家のセットで君の芝居を注意しただろう」
「はい」
「いってみろ、なんていわれた」
「僕の芝居は全部説明で、人にわからせようわからせようとする」
「その通りだよ。わからせるのは俺の仕事で君の領分じゃない」
「はい」
「ちょっと考えてみろ、君のおふくろが死んだ、友達がお母さん亡くなったそうだねという。君はなんと答える。そうなんです、おふくろが可哀相でとおいおい泣いてみせるか」
「いいえ」
「いやあ、おふくろももう年でしたからと微笑するんじゃないか」
「そうです」
「笑っちゃったら悲しみが消えるか」
「消えません」
「悲しみをこらえて笑っているから、人はぐっと来るんじゃないのか」
「…はい」
「人間ってものはな、感情をモロに出すことは滅多にないんだ。逆に感情のバランスをとろうとする。この場面だって同じことだ。頼むから科白の先読みをしないでくれ。来て座る。出そうな涙をこらえている。だから悲しみが客に伝わる。お前さんに悲しみぶら下げたチンドン屋みたいな顔で来られたんじゃ全部ぶちこわしだ。ちょっと最後の科白喋ってみろ」
「いま死なれたらかなわんわ…。さればとて墓に蒲団は着せられずや…」
「それ、涙ながらにやってみろ、追っかけて来た原さんは一体なにすりゃ良いんだ」
「…わかりました」
大坂は心身共に疲れきったように座ったままで立てなかった。カメラの脇で小津と厚田の密談が始まった。
「どうだい」
「ええ、どうやら、ウトウトと、二、三時間ってとこですね」
「行ってみるか」
「もう二、三度」
うなづいて小津は立ち上がった。
「じゃ、テスト」
大坂は力なえた体を引きずるようにセットの奥へ向かった。見送りながら小津が私にいった。
「大坂は良い役者になるよ。でも、あいつは昨夜ぐっすり寝たんだよ。夜行でも死に目に間に合わなかった、通夜も眠れなかった顔になってねえだろう」
「はあ」
「厚田家はこわいよ。睡眠時間一時間の顔になるまで撮らねえっていうんだ」
このカットでは本番前に大坂の座る畳一枚をとり替えた。大坂の汗でぐっしょりぬれて畳の色が変わってしまったのだ。しかし、大坂の顔に漂った一種のやつれは、甘えさせてもらった三男の母への思いを実に雄弁に語っていた。
58-61ページ 「絢爛たる影絵 - 小津安二郎」
著者: 高橋治 2003年3月6日 第1刷発行
発行所: 株式会社講談社
『厳しさの中の名演 (2010年8月18日)』に掲載

つまり、高橋さんは縁側だと分かっていながら、劇的な表現をしたいために畳を持ち出してきたとデンマンさんはおっしゃるのですか?

作家なら劇的な表現を好むでしょうね。
でも、それではノンフィクションにならないと思いますわ。。。それに、映画を観れば、畳の上で演技したのか?本堂の縁側で演技したのか?すぐに分かってしまいますわ。
そうですよう。。。だから、僕は DVD を借りてきてもう一度観て確かめたいのですよう。
大坂さんが畳の上で演技していたと分かったら、こうまでクドクドと書いたデンマンさんは恥をかきますわよう。
だから、思い違いということもありますよう。 でもねぇ、思い違いをしたとしても、恥をかくとは僕は思わないのですよう。 それよりも、僕の記憶の中には本堂の縁側で演技していたという鮮明なイメージが焼きついている。それを確かめてみたいだけのことです。
。。。でも、なぜ、タイトルに畳の他におばさんパンツが出てくるのですか?
うへへへへ。。。小百合さんも、やっぱり可笑しいと思いますか?
だってぇ、これまでのお話とおばさんパンツは全く関係ありませんわ。
全く関係なかったら僕はおばさんパンツをタイトルの中に書き加えませんよう。
もしかして、『東京物語』の中で原節子さんがおばさんパンツになって出てくるのですか?
まさかア。。。! やだなあああァ~。。。原節子さんの熱烈なファンが聞いたらムカつきますよう!そのような事は言わないでくださいね。 もし、原節子さんがおばさんパンツになって出てきたとしたら、もっと世界的に有名になってますよう!うへへへへへ。。。
デンマンさん!。。。冗談はこのくらいで結構ですから、畳とおばさんパンツがどのように関係しているのか説明してくださいな。
あのねぇ~、パソコンが調子よく動いているので、久しぶりに Denman Blog の統計を覗いてみたのですよう。


8月17日の記録です。

検索キーワードの中に“おばさんパンツ”が延べ5つ出てくるので8月17日の統計を持ち出してきたのですか?
いや。。。そればかりではないのですよう。「リファラ」を見てください。
translate.google.co.kr
韓国のGOOGLEですわね。
そうです。韓国のGOOGLEで検索して、しかも、僕の記事を韓国語に訳して読んでくれたのですよう。
どの記事ですか?
「リファラ」のリンク先のページへ飛んで行ってソフトカメラで撮ってきたから見てください。


あらっ。。。レンゲさんとデンマンさんが韓国語でしゃべっていますわね。うふふふふふ。。。

そうなのですよう。。。まさか韓国語に訳されて“おばさんパンツ”の記事が読まれるとは思いませんでした。
■『おばさんパンツとブログ』
denman705.wordpress.com/renge/pantblog/
確かに Denman Blog では“おばさんパンツ”の記事がよく読まれているのですよう。


8月17日には、延べ 47ページ読まれたことになっている。 ホームページを除くと『おばさんパンツの軌跡』が最も多く読まれている。
■『おばさんパンツの軌跡』
■『床上手な女の7つの見分け方』

Denman Blog でダントツに読まれている『床上手な女の7つの見分け方』よりも、8月17日には『おばさんパンツの軌跡』が多く読まれたのですわね。
そうです。 実際、『おばさんパンツの軌跡』はよく読まれているのですよう。


ライブドアでも『おばさんパンツの軌跡』がよく読まれたのですか?

読まれたのですよう。この日の FEEDJIT のリストを見てください。
(すぐ下のページへ続く)