愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

午前1時の散歩道

2011-02-02 22:34:32 | 日記
 

 昨夜はささやかな飲み会があって、帰宅は午前零時をまわっていた。二匹のわんこたちの熱烈な出迎えを受けたのはいつものとおりだった。
 スーツを脱いでクローゼットに掛け、さりとてわざわざ普段着を着るのも時間的に無駄だった。すでに酔いも醒めていたので、家人がいれてくれたお茶を二口、三口飲んでバスルームへ入った。すぐに追い焚きをしながら冷えた身体を湯船に浸しはじめると、シェラ(16歳♀雑種)の吠える声が聞こえてきた。
 悪い予感......だから、無視した。

 ぼくが風呂場にいた10分余りの間、シェラの吠える頻度が次第に増していく。
 悪い予感は確信に変わった。シェラが排便をもよおしたのだ。年に何回か経験するわが家の深夜劇場である。
 深更、熟睡中に叩き起こされこともあった。真冬とはいえ、眠っている最中ではなく、まだ入浴中でよかったというものだ。
 
 夜中に大騒ぎをするよりは、むしろ家の中ですませてくれたほうがいい。後始末の労力のほうがどれだけいいか……とも思うのだが、やっぱり外でやってくれたほうがいいのは当然だ。
 いまさらながら、家の中でもトイレができるようにしつけておけばよかったと悔やんでいる。高齢とともに歩行もおぼつかなくなり、トイレが頻繁になったらどうしよう?
 実際、近所にそんな老犬がいる。しかも、シェラと同じ今年16歳になる子だ。差し迫った不安の種である。

 まだ温まり切っていない濡れた身体をタオルで手早く拭い、浴室を出ると、驚いたことにシェラが大声で吠えながら狭い廊下をいったりきたり疾走している。16歳にしては元気なものである。
 だが、またしても、足でも痛めたら一大事だ。
「いこう。散歩にいくよ。ちょっと待て!」
 ぼくもシェラに唱和して大声でわめきながら、まだいくらか濡れたままの身体に服をまとう。ムギ(11歳♀Wコーギー)などすでに玄関の扉の前に座ってスタンバっているではないか。シェラはぼくが散歩用のいでたちになったので吠えるのはやめて廊下の途中でぼくの動きを凝視している。

 急ぎ午前1時の散歩に出たものの、いざ、歩き出すとシェラは落ち着き払ってさっぱり排出する様子がない。先刻の大騒ぎはなんだったのだ!?
 ほどなく、やっとオシッコをした。これで「さあ、帰ろう」とのポーズをしないところをみると、やっぱりまだ本番の排出が残っているらしい。
 
 「オレに風邪をひかせないでくれよ!」
 心の中で願いながら、深夜の道をぼくたちは淡々と辿っていった。
 
 こうして並んで歩けるだけでも幸せだ。ちょっと時間外れだけど、気がすむまで歩こうな。