日曜日の23日朝、いつもお世話になっているペットクリニックへ久しぶりにうかがった。暮れのご挨拶もあったが、ルイのワクチン注射をお願いするためだった。去年はルイと出逢ったペットショップの系列のクリニックで投与してもらったので、シェラやむぎがお世話になったこの病院でのルイのワクチン接種ははじめてだった。
来年もひんぱんにキャンプへ出かけるはずなので7種をお願いした。体重は14kg、幸い増えてはいない。体温を計り、触診を経て、ワクチンの注射がアッという間に終わる。ルイが、「な、なんだ、なんだ?」と思う間もな素早さだった。
院長先生から、「2、3日静かにさせてください」といわれたにもかかわらず、公園に移動してからのルイは、いつも以上にぼくを引っ張りまわそうとする。公園にいたほかの犬と遊びたいからだ。それを制止するのにぼくはおおわらわで、しつけ教室の宿題をやっている余裕などまったくなかった。
その夜は、毎日家の中で繰り返している夜の大暴れをさせないように、夕食後、ぼくは早々に自分の部屋へ引きこもった。1時間ほどして居間へ戻ってみると、連休でやってきたせがれにルイが押さえつけられているところ(冒頭写真)だった。ぼくがいないので、これ幸いとぼくの代わりにせがれに「遊ぼうぜ!」攻撃をかけ、そのしつこさに怒られてしまったらしい。だが、ひるむどころか、「チクショ~、おぼえてろよ!」という顔をしている。このあたり、押さえつけているせがれよりもルイのほうがはるかに根性が据わっている。
案の定、解放されるやいなやまた暴れだし、性懲りもなくせがれの履いているスリッパを奪おうと突進してとうとう廊下へ閉め出されてしまった。ちょうど自分の部屋の前に坐って本の整理をしているぼくのところへやってきたルイは見るからに意気消沈しており、強引にぼくの膝の上に乗ってきて座り込んだ。
ほどなく、ぼくはベッドにもぐりこんだ。昼間、ルイに引きずりまわされた疲れが一気に出たらしい。途中で気がつくと、リビングからは家人とせがれの声が聞こえているのに、ルイはぼくの足に寄りかり、丸くなって寝ていた。
クリスマスイブにあたる翌日の天皇誕生日の祭日は、昼前からクルマで一緒に出かけた。院長先生の言いつけを守って散歩も控えめにした。それでも、ルイは、夕方、家に戻って自分のご飯を食べ終わると、前日のワクチンのせいか、それとも2日続けて昼間に暴れすぎたためか、床に転がって爆睡していた。
「いつも昼間は爆睡しているから、三連休の疲れが出たんじゃないのかしら」
女房の見立てはワクチンのせいではなく、三日間、昼寝していなかったからさすがに疲れて宵の口から寝ているのだろうというものだった。
三連休最後の夜、ルイが添い寝に選んだのは、ぼくではなくて家人のほうだった。しばらくすると家人の足元で寝るものの、寝入りばなは頬を寄せて寝るのである。シェラもむぎもそこまで甘えはしなかった。せいぜい真冬のよほど寒い夜や冬期キャンプのときだけ、むぎが家人の布団やシュラフにもぐりこんでいったくらいだった。
甘えん坊と化したルイの顔には、自分を押さえつけたせがれに「おぼえていろよ。必ず復讐してやるからな」というふてぶてしい顔の面影は微塵も残っていなかった。
*コメントをお寄せいただいたみなさまへ――
なかなかコメレスができないままでいます。申し訳ありません。近々、必ずご返事申し上げますのでしばしのご猶予をお願いいたします。