☆手術はしたほうがいいのか?
先週の土曜日、シェラの足の腫物について病院で詳しい説明を受けた。専門的で半分くらいしか理解できなかった。
・腫物の中の体液を顕微鏡でのぞいたかぎり、現状ではそれほど心配しなくてもいい
・ただ、レントゲンを撮って肺に腫瘍がないかを確認したい
・血液検査もやっておく
そういうことで、レントゲンと血液検査を行った。
いつもは、緊張のあまり診察室でおとなしくしているシェラたちだが、この日は異変を察知したのか、シェラが診察室のドア(引き戸)を鼻先で開けて二匹そろって三回も待合室に逃げ出そうとした。明らかにムギも一緒にパニクっている。
シェラがレントゲン室へと連れて行かれるとムギの緊張が高まった。やがて、診察室の奥からシェラの悲しげな声が聞こえてくる。あとで教わったところによると、寝かされ、身体を固定されたときに上げた声だという。
シェラの声に、ムギが耳をピンと立て、短く吠えてシェラを助けに奥へ飛び込んでいこうとする。この二匹はすでに親子以上の絆で結ばれている。
それにしても、ムギのような弱虫わんこが見上げたものだと感心した。
<写真=行きつけの園芸店でもらったレリーフ。まるでシェラとムギのようだと家人が門扉に取り付けた>
およそ10数分後、結果が出た。レントゲンに異常は認められない。つまり肺はきれいだという。血液検査も大きな問題はない。手術にも支障はない。
肝心な種物だが、手術するか様子を見るかは飼い主次第だという。医師の立場からは、患部が足の裏だけに切除したほうがいい。これが、もし、背中などだったらしばらく様子を見る選択肢もあるという説明だった。
ぼくたちの心配は手術の方法だった。やはり全身麻酔でおこなうという。神経が集まっている場所なので慎重に施術しなくてはならないので、やや大がかりになるらしい。
出血も多くなるし、通常なら1週間程度で抜糸のところだが、2週間後。術後、ひと晩入院になるのは、直後は包帯の交換などをこまめにしなくてはならないからだとのこと。
☆老体への負担をどう考えるか
ぼくはすっかり手術をするつもりになっていたが、家人に迷いが生じた。
レントゲンと血液検査の結果を待つ間、待合室で後ろ足が麻痺して自力では歩けなくなったコーギーがきていた。椎間板ヘルニアの手術が原因だという。どこの病院でやったのかは聞きそびれた。
その子を見て、「もし、シェラが歩けなくなってしまったら……」という不安に家人がとらわれた。もっと恐れたのは全身麻酔だった。
元気とはいえ、シェラはすでに14歳、まもなく15歳になる。人間でいえば70代のなかばに相当する。全身麻酔のリスクは低くない。
翌日、家人はシェラの手術をしたくないとぼくに訴えた。
手術をした場合、切除した腫持は病理検査に出し、悪性か良性かを調べる手はずになっている。もしかしたら悪性かもしれないから手術をして切除しておいたほうがいいというのがぼくの結論だった。
ただ、もし悪性なら、切除してもほかに転移する可能性が捨てきれないのだが……。
「ねぇ、見て。小さくなっているから……」
家人の目に、腫物は少し小さくなって映ったらしい。ぼくの目に大きさはまったく変わっていないが黙っていた。
意見が割れたところで、しばらく様子を見ることにした。高齢のシェラの身体に負担をかけたくない。ただそれだけの理由である。
これが凶出るか吉と出るかは神のみぞ知るだけど、ぼくは楽観している。
なんでもないさ、だいじょうぶさ――。
先週の土曜日、シェラの足の腫物について病院で詳しい説明を受けた。専門的で半分くらいしか理解できなかった。
・腫物の中の体液を顕微鏡でのぞいたかぎり、現状ではそれほど心配しなくてもいい
・ただ、レントゲンを撮って肺に腫瘍がないかを確認したい
・血液検査もやっておく
そういうことで、レントゲンと血液検査を行った。
いつもは、緊張のあまり診察室でおとなしくしているシェラたちだが、この日は異変を察知したのか、シェラが診察室のドア(引き戸)を鼻先で開けて二匹そろって三回も待合室に逃げ出そうとした。明らかにムギも一緒にパニクっている。
シェラがレントゲン室へと連れて行かれるとムギの緊張が高まった。やがて、診察室の奥からシェラの悲しげな声が聞こえてくる。あとで教わったところによると、寝かされ、身体を固定されたときに上げた声だという。
シェラの声に、ムギが耳をピンと立て、短く吠えてシェラを助けに奥へ飛び込んでいこうとする。この二匹はすでに親子以上の絆で結ばれている。
それにしても、ムギのような弱虫わんこが見上げたものだと感心した。
<写真=行きつけの園芸店でもらったレリーフ。まるでシェラとムギのようだと家人が門扉に取り付けた>
およそ10数分後、結果が出た。レントゲンに異常は認められない。つまり肺はきれいだという。血液検査も大きな問題はない。手術にも支障はない。
肝心な種物だが、手術するか様子を見るかは飼い主次第だという。医師の立場からは、患部が足の裏だけに切除したほうがいい。これが、もし、背中などだったらしばらく様子を見る選択肢もあるという説明だった。
ぼくたちの心配は手術の方法だった。やはり全身麻酔でおこなうという。神経が集まっている場所なので慎重に施術しなくてはならないので、やや大がかりになるらしい。
出血も多くなるし、通常なら1週間程度で抜糸のところだが、2週間後。術後、ひと晩入院になるのは、直後は包帯の交換などをこまめにしなくてはならないからだとのこと。
☆老体への負担をどう考えるか
ぼくはすっかり手術をするつもりになっていたが、家人に迷いが生じた。
レントゲンと血液検査の結果を待つ間、待合室で後ろ足が麻痺して自力では歩けなくなったコーギーがきていた。椎間板ヘルニアの手術が原因だという。どこの病院でやったのかは聞きそびれた。
その子を見て、「もし、シェラが歩けなくなってしまったら……」という不安に家人がとらわれた。もっと恐れたのは全身麻酔だった。
元気とはいえ、シェラはすでに14歳、まもなく15歳になる。人間でいえば70代のなかばに相当する。全身麻酔のリスクは低くない。
翌日、家人はシェラの手術をしたくないとぼくに訴えた。
手術をした場合、切除した腫持は病理検査に出し、悪性か良性かを調べる手はずになっている。もしかしたら悪性かもしれないから手術をして切除しておいたほうがいいというのがぼくの結論だった。
ただ、もし悪性なら、切除してもほかに転移する可能性が捨てきれないのだが……。
「ねぇ、見て。小さくなっているから……」
家人の目に、腫物は少し小さくなって映ったらしい。ぼくの目に大きさはまったく変わっていないが黙っていた。
意見が割れたところで、しばらく様子を見ることにした。高齢のシェラの身体に負担をかけたくない。ただそれだけの理由である。
これが凶出るか吉と出るかは神のみぞ知るだけど、ぼくは楽観している。
なんでもないさ、だいじょうぶさ――。