☆夏バテ、夏太りの日々
日々の暑さに、ルイよりもぼくのほうがバテ気味である。出勤時のウォーキングもほとんどやっておらず、このところ、ベルトがきつくなってしまった。夏痩せならぬ夏太りに悩む日々である。
8月の第二週と第三週は、ミーティングなど仕事の予定がほとんどなかった。だが、その分、日ごろからの疲れがドッと出た。家に帰り、食事を終えるとまもなく寝てしまう毎日だった。何かをする意欲が湧かず、このブログの更新もままならないまま過ていった。
例年をしのぐこの暑さに、ついついシェラやむぎのことを考えてしまう。むぎは暑さにやられて命を落とした。暑さに弱かったシェラは、幸いにして寒い季節に黄泉へと旅立つことができた。ここへきて、散歩から帰ったあと、暑さにあえぐルイの様子にぼくも家人もナーバスになってしまうのは、一年前のあの日、むぎがあっけなく絶命したときの姿が瞼に焼き付いているからだ。
ルイはそんなむぎよりも確実に暑さに弱い。たぶん、シェラと同じくらいだろう。朝の散歩の途中でヘバりはしないが、帰ってくると玄関でへたり込み呼吸を荒げている。そんな姿のルイを見ると、つい、あの日のむぎを思い出して緊張する。いまはまだ若いから往年のシェラのように散歩中に座り込んだりしないが、散歩のときはできるだけ日向は避けて歩いているし、距離も短くしている。
☆ルイちゃん、痩せたんじゃない?
頭痛のタネは、この夏場になってから食欲が落ちたことだ。一日二度の食事のいずれかをきれいに完食することもあるが、まったく食べないときもある。ひどい日は二度ともほとんど食べない。たいてい、全部食べきらないで残している。
家人がルイの目の前にエサを出すと身を翻して逃げることさえあるくらいだ。家人がドライフードに、牛肉を混ぜたりとプラスアルファーで様々な工夫をしているけど、喜んで食べてくれるとはかぎらない。
シェラやむぎは、散歩から戻るとキッチンの前に並んで座り、家人を見上げてご飯をもらうのを待っていた。だが、ルイはあまりにも違う。「お願いだから食べて!」と手で食べさせようとする家人に、「無理強いするなよ。腹が減れば食べるから」とぼくに対して、「そんなこといったって、食べなければ体力が落ちちゃうでしょう」と家人も引かない。
仲のいいご近所さんから、「ルイちゃん、痩せたんじゃないの?」といわれて家人はますます気にしてしまった。「痩せたわけじゃない。成長して胴長になったのと、顔が長くなっただけだ」とぼくは楽観している。肋骨を触っても痩せた実感がないからだ。
シェラだって、パピィのときは丸顔だったのに、半年過ぎあたりからスルスルと顔が長くなっていった。いまのルイもそれと同じだとぼくが説明しても彼女は信じようとしない。。
何よりも、毎晩、ぼくが帰るまでは、どこか身体の具合がわるいんじゃないのかと心配になるほどルイはおとなしく寝ているそうだ。だが、ぼくの顔を見たとたんにたちまち悪ガキわんこに変身し、ぼくがおちおち夕飯も食べられないほど暴れまくるのだから体調不良であるはずがない。「きっと、あなたが帰ってくると暴れるから痩せたんだわ。あんまり、暴れさせないでよ」と、今度はぼくのほうへお鉢がまわってきた。
☆お医者さんからの衝撃の言葉
食事が終わり、家人の制止もきかずにぼくがソファーで爆睡してしまっても、ルイはしばしおもちゃをくわえてきて「遊ぼう! 遊ぼう!」と攻撃してくる。暴れさせているのはぼくではない。ルイが勝手に暴れているだけである。そんな元気なルイはいまだけだとわかっているだけに、ぼくは怒らないことにした。
堪忍袋の緒が切れた家人が、「いいかげんにしなさい!」と怒る声が遠い意識の果てで聞ききつつ、ぼくはしばしの眠りにつく。
先の日曜日、フィラリアの薬やノミ、ダニ用のフロントラインをもらいにクリニックへ出かけた。思いあまって家人が院長先生に相談した。
「食べてくれないんです。痩せたし……」という家人の話をルイの身体を撫でながらニコニコして聞いてくれた先生の「大丈夫ですよ。むしろ、ポッチャリしてますから。体重も13.58キロありますしね。ここでとめましょうね。14キロを越えないようにしてください」という判断に、家人はひと言もなかった。
あんがい、ルイはこれ以上太らないように自分で管理し、ダイエットに励んでいるのかもしれない。餌を出されて逃げるのは、まさかとは思うが、これ以上、身体が重くならないための自己管理ではないだろうか? そうだとしたら見上げたものだ。
夏バテしながらも夏太りのスパイラルまっしぐらのぼくは、つつしんでルイを見習わないと……。