愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

一緒にくつろげるところへ行こう

2009-10-26 22:28:01 | 日記
☆真夏も真冬も全開の窓
 土曜日に思い立って富士五湖方面へドライブに出かけた。
 紅葉にはまだ早いし、台風20号の影響で午後から天気が崩れるのは承知の上だった。条件がよくないだけに渋滞もないだろうし、ゆったりとドライブが楽しめるだろうとの計算もあった。
 
 わが家から御殿場までは東名道を使えば1時間弱。東富士五湖道路の山中湖ICや富士吉田ICまでだって知れているから、一緒に出かけるわんこたちへの負担も軽い。
 
 わが家のクルマの後部座席がわんこたちの指定席になっている。
 走っている最中、シェラは決して寝ない。座ったままずっと外の移りゆく風景を眺めている。この態度は14年間変わらない。3か月足らずで捨てられた幼児体験からくるものかなと思ったりしたが本当のところはわからない。なぜ、そんな突拍子もない発想になったかには理由があるが、長くなるのであらためて記しておこうと思う。
 一方、コーギーのムギのほうはたいていシェラのお尻を枕にして寝ている。
 
 シェラは、外の風景さえ見えていればいいわけではない。外のにおいからも情報を把握しようとする。だから、真冬でも窓を開けて走ってやることになる。 
 高速道路はさすがに窓を閉めて走るけど、一般道は雨や雪以外、よほどのことがないかぎり四季を通じて全開である。
 さすがに真夏は悲鳴を上げて窓を閉め、エアコンで車内を冷やすこともあるが、ときおり窓を開けて外の情報を提供してやらないと不安がる。
 
 これからの季節は、夏に比べれば楽なものである。ぼくも家人も真冬は冬山登山並みの装備で乗っている。ヒーターなんかほとんど入れたことがない。
 
☆大好きな山中湖へ
 土曜日もそうやって富士吉田ICから青木ヶ原を経由して本栖湖の入口まで行き、この日は通行止めで強制的にユーターンさせられて同じルートを戻って山中湖へ向かった。
 途中、久しぶりに忍野へ寄って温かい蕎麦で腹ごしらえ。これがなかなか美味いのだ。500円というリーズナブルな値段もうれしい。ただ、まわりからやたらに中国語が聞こえてくるのには驚いた。
 
 山中湖へ着いて、いつものように湖畔の南側にある旭日丘湖畔緑地公園の遊歩道を歩きはじめたとたん雨がぱらつきだした。早々に切り上げ、山中湖にあるわんこと一緒にくつろげるお店のひとつ「ペーパームーン」へ。
 ここはカフェと雑貨ショップからなる洒落たお店。わんこ連れはテラス席までだけど、ぼくらの防寒装備は万全だから問題ない。
 
 いちばんうれしいのが、“大人にとって「心地よい時間と空間」をご提供する為、10歳以下のお子様のご入店をお断りさせて頂いております。”というコンセプト。なかなか勇気のあるポリシーである。
 ぼくは諸手を挙げて支持したい。そんなお店があったっていいじゃないかと――。 
 
 コーヒーとケーキが掛け値なしで美味しい。むろん、アウトドア効果もある。
 このお店にかぎらず、ケーキや食事が店内ではせっかくの美味しさが半減することに気づいたのも、わんこたちのおかげである。

☆春を待つ真冬にも…
 ぼくたちは真冬でも富士五湖や八ヶ岳南麓へと出かけていく。これから季節の悩みは、わんこたちとくつろげるお店の多くが休業に入ってしまうことである。
 開けていたとしても、テラス席がなくなる。寒風に吹かれながら外で食事をしたりお茶をするような酔狂な客などめったにいないからだろう。
  
 さすがに冬の凍てつくような寒さにふるえながらの食事やコーヒーは美味しさどころか辛いだけだから、わんこといっしょに暖かい店内に入れてもらえる数少ないお店をめぐることになる。
 そうやって身を縮めながら外で過ごせる快適な春の訪れを待つ。
 
 さて、今年の冬はひときわ寒そうだから、さらにしっかりした防寒服を買わないと――。それもまた嫌いではない。



ぼくたちの新しい関係

2009-10-21 22:38:58 | 日記


☆10歳にしてようやく……
 このところ、ムギはぼくとボール遊びをするのが楽しくてしかたがないらしい。
 ぼくが蹴ってやると、まるでサッカーのゴールキーパーのように飛びつく。逸らしても、それを追いかけていくだけである。くわえて持ってくることはできない。いかにも不器用なムギらしい。
 10歳にしてやっと見つけた飼い主との遊びなのである。
 
 これまでのムギには、飼い主と遊ぼうなどという発想はまったく欠落していた。母親代わりのシェラしか目に入らず、飼い主のわれわれなんかただ食べ物を与えるだけの、せいぜい散歩につれていってくれる程度の存在でしかなかった。
 情感の交流など「ない」とは断言しないもののきわめて稀薄だった

 散歩や外出のときに出逢ったよその犬と一緒に遊ぶすべも知らず、いつもシェラにへばりついてきた。生来はフレンドリーな性格だから、一応、よその犬のそばへ寄っていくが、ただ、ひたすらおっかなびっくりの様子だった。
 
 相手の犬が、犬同士としてはごく当たり前に「ねえ、遊ぼうよ」と飛びついてきたりしたらそれだけで驚き、いかにもハラハラしながらなりゆきを見守っているシェラのほうへ逃げ帰ってしまう。
 もし、シェラの目が届いていないときは、即座にお腹を見せて降参のポーズをとる。相手が、まだ犬としてのそんな約束事を知らないような子犬であっとしても……。
 おとなしく、臆病な性格のうえにひたすら不器用にうまれついたのだろう。 
  
 シェラもまた臆病な犬だった。だが、もし、ムギに危険が近づいたら間髪入れずにムギを守るために飛び込んでいく。真の母親でないのに、母性が自己犠牲を容易にしているのが明らかだった。
  
 ドライブのときは、いつもクルマのリアシートに二匹を乗せる。決まって、シェラの身体の下にもぐりこみ、シェラの胸の下から顔を出していた。シェラもまた、嫌がらず、そんな窮屈な体勢を受け容れている。
 家にいるときは、シェラの顔に擦り寄って、耳を舐めてもらっていた。
 まさに母犬とその子供そのものだった。
 
☆やっと親離れ
 そんなシェラに守られて、ムギは世馴れることができないまま年齢を重ね、精神的に成長が遅れた。10歳を迎えるまで、ずっと子犬に間違えられてきたほど幼い顔をしていた。
 
 このところ、シェラの衰えがなにかと顕在化している。同時に、母犬の役割からも下りた。いまだわが家という群れの中での地位はムギよりも上位を保っているらしいが、だんだん危うくなっているみたいだ。
 
 ムギのほうにシェラの上位に立とうという意図は汲み取れないが、老いた母への依存心はどんどん薄れつつある。頼れないと自覚したらしい。
 
 ムギはようやくにして、衰えていく母親から飼い主であるわれわれに目を向けはじめた。われわれとしても、もういいかげんシェラをムギから解放してやりたいと思う。
 
 いまようやくにしてムギとぼくたちの距離が近づいた。
 ムギとの第二章の、遅ればせながらのはじまりである。
 

懲りないおバカ

2009-10-17 21:59:10 | 日記
 やっと歩行も正常に戻ったシェラだったが、今日、夕方の散歩で同じ足を痛めてしまった。
 
 夕飯の買物もかねて横浜市の外れにあるきれいな公園に出かけた。クルマを隣接するスーパーの駐車場へ停め、公園へ向かうと雨が降り出してきた。家人が傘を取りにクルマへ戻った。
 ぼくとシェラ、ムギはそのまま公園へと向かう。こういうとき、シェラとムギは気もそぞろだ。気持ちの半分はいるべき家人がいつ合流してくれるかを待っている。
 
 姿を消したのがぼくでも同じである。遊びもせずに消えた方角へ目をやってじっと待つ。
 そして、われわれの消えたどちらかの姿を見つけると、ますますじっと見つめ、そばまでくると喜んではしゃぎだす。
 
 今日もそうだった。駐車場から300メートルほど離れた場所まで移動していたので、家人と合流したときの喜び方が激しかった。
 
 たまたま伸縮できるリードを伸ばしたままでいたぼくの油断でもあったのだが、家人が数メートルの距離にくると走り寄った。しまったと気づき、あわてて巻き取ろうとしたが手遅れだった。すでにムギをしたがえてあらぬ方向へと走り出していた。
 
 急激に止めればその衝撃でまた足を痛める確率が上がる――そんな一瞬のぼくの迷いはなんの意味もなかった。
 すでに走るのをやめていた。足を上げ、じっとしている(写真)
 前回は、さすがにそんな姿のシェラの写真を撮るような気持ちの余裕などなかったが、二度めの今日は、ちゃんと写真を撮った。
  
 そして、やっぱりたいしたことはなかった。公園を出るころには普通に歩いていた。
 懲りないヤツだ。まったくおバカである。


旅先でシェラが……(2)

2009-10-16 21:36:47 | 日記
☆かねてからの心の準備
 信州の森から早めに戻ってきたものの、やはり午後9時過ぎないと「夜間動物病院」は午後9時にならないとオープンしない。じりじりしながら待つことになった。

 わが家のリビングから廊下はフローリングで滑りやすい。こんなこともあろうかと、用意してあった布製の細長いカーペットを敷き詰めた。
 だが、飼い主のそんな心配りなど知る由もないシェラは、家にもどった安心感からだろう、廊下のはずれで無防備な姿で爆睡していた。旅の疲れもあるだろうが、なんといっても三本の足で移動していたのだから疲れもなおさらかなと思う。
 気になるのは痛めていないほうの足にかかる負担である。
 
 なんとか身体を支えてやりたい。実は、「モンベル」というアウトドアギアのメーカーから「ドッグキャリーハーネス」(写真上)という商品が出ている。
 本来は、わんこ連れのトレッキングなどで、わんこでは行かれないような地形にぶつかったときのためのギアである。たとえば、大岩を乗り越えてのトレールなどでは、このハーネスを使ってわんこを持ち上げる。
 あるいは、負傷して歩けなくなったらこのハーネスで肩から吊って運ぶ。むろん、日常の介護にも使える。 
 
 いつか必要になるときがくるかもしれないと記憶の片隅に置いて心の準備だけはしていた。もし、キャンプから帰ってきたばかりでなければ、ぼくは近所のモンベルショップへ買いに走っていただろう。
 
 だが、夕食後、ぼくはいつのまにかソファーで横になって熟睡してしまった。
 電話をかけている家人の声で目が覚めた。時刻はすでに9時、電話の先が夜間動物病院なのはすぐにわかった。
 受け答えの調子から、しばらく様子を見る方向へといきつつあることも容易に察知できた。
 
☆回復力に唖然
 とても丁寧な説明だったという。 
 触って痛がらず、腫れてもいないのなら明日まで様子をみたほうがいい――それが病院からの提案だったという。

 「今夜、急激に悪化するようなら、朝の5時まで開いているのでいつでも連れてきてください」
 なんとも良心的で頼もしい答えである。
 痛めてからすでにひと晩を越しているから、今夜、急激に悪化していくとも思えない。わんこたちのことになるとやたら取り乱しがちになる家人が納得する説得をしてくれたのだからたいしたものだ。
 
 このあと、ぼくたちはわんこの素晴らしい回復力をまのあたりにすることになる。
 翌日の朝こそ、まだ三本の足で動いていたが、夕方にはなんとか痛めた足も使いはじめた。そして、急激に回復していった。
 
 今朝も完治とまでは行かないものの、95パーセントの回復といっていい。歩き方が少しおかしいとわかるのは飼い主だけだろう。
 いつもどおり近所ひと回りして帰ってきた今朝など、朝日を見てあくびをしていた(写真下)
 
 若いわんこならまだしも、まもなく15歳を迎えようというのにである。
 なんという身体能力だろう。その強靭さにあらためて驚いている。あわててハーネスを買いに行かなくてよかったと胸をなでおろしながら……。
 


旅先でシェラが……(1)

2009-10-13 22:08:16 | 日記
☆寒い高原へ
 いつかこんなこともあるだろうとなかば覚悟はしていたものの、まさか旅先でそれが起ころうとは……。いや、いや、前回も同じようにキャンプの最中だった。
 
 先月も訪れた信州の白樺の森へキャンプに出かけた。天候不順の年だけに紅葉に期待はしていなかったが、想像以上の惨憺たるものだった。
 シラカバは黄金に色づく前に散ってしまっている。朱に染まる葉たちもまた濁り、鮮やかな紅葉はどこにもなかった。
 
 寒さは想定どおりだった。先月の経験から真冬の装備で出かけて大正解。初日10日の夜は午後10時前で外気温がすでに摂氏零度だった。
 夜、テントの中でシュラフにくるまって寝ているいるぼくたちに、ムギははりついていたが、寒さ大好きのシェラは自分の毛布の上で熟睡していた。
 
 昼間も元気そのものだった。さんざん通いなれたキャンプ場である。お気に入りの場所へくるとムギを相手に走り出す。そして、くんずほぐれつして遊ぶ。
 年齢が年齢だけに、いつもヒヤヒヤして見守り、適当なところでやめさせているけど、今回はちょっと油断した。
 
 芝に隠れて丸太が転がっていた。走っていたシェラがそこへぶつけて右前足を痛めてしまった。
 それでも痛みを隠すかのように歩きはじめた(写真下)が、歩くたびにどんどん足をかばうようになった。シラカバの林の中の道を50メートルほど行ってぼくはシェラを止め、家人にリードを託して駐車場までクルマをとりに急いだ。

☆走るのが大好きだから
 キャンプのみならず、ふだんの休日も、芝生がきれいなお気に入りの広場へ連れて行くと、シェラはうれしそうに走り出す。リードをロングにしてやり、好きなように走らせてやる。
 シェラが走るとムギも追いかける。シェラがムギに、「つかまえてごらん」といわんばかりに左右にステップを刻む。かなり複雑に……。そのたびに足を痛めないかとヒヤヒヤしながらぼくは眺めていた。
 とにかく走るのが好きなワンコである。だから、たとえ痛めても……と覚悟しつつ見守ってきた。
 
 シェラにその意志があるかぎり、走る喜びを取り上げることなんかできっこない。
 だけど、シェラは10歳になる前に、一度、後足を痛めている。家の近所の公園にある傾斜地の広場だった。もう二度とまともには歩けないと診断されたが、まもなく完治した。
 それから2、3年し、清里に近い牧場のキャンプ場で走っていてやはり前足を痛めた。このときは地元の動物病院で痛み止めの注射を打ってもらい、翌日にはちゃんと歩けるようになった。
 
 「そんなことはしょっちゅうだよ。そのたびに医者になんか行かなくたってだいじょうぶさ」
 活動的ななワンコの飼い主から冷笑されたものだった。

 しかし、シェラはすでに14歳、もし、また足を痛めるようなことがあったら、ちゃんと治らないかもしれない――そんな危惧をいつも持ちつづけていた。 
 しかも三回目がまさかキャンプの最中だとは……。

☆食欲が旺盛なら
 クルマでサイトへ戻り、テントに入れてから痛めたほうの足をそっと触ってみた。骨にそって撫でてもみた。関節を動かしてみる。痛がる様子がないどころか反応そのものがない。折れてはいないようだ。
 もし、折れているようなら添木をほどこしテーピングで固定しようと思ったがその必要はなさそうである。
 
 明日は東京へ帰る。このまま様子をみることにした。
 翌日の体育の日、行きつけのクリニックは午前中で診療を終える。いくら急いで帰っても午前中は無理だ。家人と相談の結果、夜間専門の動物病院へ行こうということになった。
 
 いつものようにテントの中へ入れてやれば、おとなしくしている。それでも食欲は旺盛で、こちらが食事をはじめると、おいしそうなにおいにつられて3本の足でテントの外に出てきた。

 「これならだいじょうぶだろう」
 不安を抱きつつも、ぼくは少し安心した。