☆いまも痒みと戦っている
いま、ぼくの両足の、主に腿の部分には無惨な虫刺されの痕がある。左足は数ヶ所、右足の方は10ヶ所あまりだ。刺されたのは10日前でそろそろ枯れはじめているが、困ったことに痒みがいまなお残っている。9月の13日から15日にかけていったキャンプで正体不明の虫に刺されたか咬まれたしたためである。
ぼくが8月の真夏のキャンプを避けて7月と9月に出かけるのは、フィールドにはこうした吸血昆虫が跋扈するからである。そうはいっても、7月は夏の入口だし、9月はまだ吸血昆虫が元気に飛びまわっているので油断できない。これまでも長ズボンを穿いていたにも関わらず腿の付け根のあたりまでやられた経験はあったが、今回は傷跡の大きさと痒みの規模が違う。
9月のキャンプは、ルイにとっては4月のGWと7月の梅雨明けキャンプに続き3回目になる。場所は、GWのときと同じく長野県松本市の市街地を見下ろす山の上のキャンプ場だった。
4月のときも7月のときも、ルイはよそのサイトからの音に反応して吠えて騒ぐので往生したが、今回は平日でキャンプ場がガラ空きだったから少しは気が楽だった。それでも、設営のとき、そして、夜、テントの中でもときどき吠えるので、ぼくは何度も怒ったり、なだめたりしなくてはならなかった。
☆家に帰ってわかったルイの鳴き声の理由
キャンプの最中、ルイが何度か奇妙な声を上げて鳴いた。ついぞ聞いたことのない異様な声である。たとえていえば、「ひや~~~っ!」とか、「ひぃ~~~っ!」とかいう叫びでに近い。ぼくはてっきりルイが外の音におびえたと思い、そのつど、「ビビるな!」と叱咤した。だが、これがとんだ誤解だったのを家に戻って知った。
二泊三日の予定を終えて家に戻り、とりあえず、風呂場でルイの身体を拭き、お腹から足を洗っているとき、ルイの腹にいくつもの虫さされの痕を見つけた。ひどかったのは皮膚が露出している部分よりも、オチンチンのすぐ上の、毛に隠れていた部分だった。ちょうど500円玉がすっぽり入るほどの部分が赤くなっているではないか。何かに食われた痕と、たぶん、痒くて引っかいたのだろう幾筋もに赤くみみず腫れがある。
キャンプの最中にルイが何度か上げた奇妙な声の正体がようやくわかった。おびえたのではなく、痒くて痒くて我慢できずに発した声だったのだ。
ぼくは、「ごめん、ごめん」といいながらお腹のそこかしこに残る虫刺されの痕に薬のムヒを塗り込んでやった。
☆いたぶったアリの逆襲だったのか?
キャンプ中の昼間、ルイをサイトの駐車スペースにある車止めにリードを固定してよそへいかないようにしておいた。芝草もあって犬をつないでおくにはちょうどいいと思えたからだ。子犬のころから外へ出てつないでおくと地面で動く虫に興味を持つ子だった。今回も大小のアリがたくさんいたので退屈しなかったはずだ。近づいてくると上の写真のようにじっと見つめ、やがて前足でなぶり、あげく口にくわえたりしていた。
お腹も、きっとあのアリたちの逆襲を受けて咬まれたのだろうとぼくはタカをくくっていた。だが、どうやらそれが間違いらしいとまもなく気づくことになる。
ルイの始末を終えて着替えのためにズボンを脱いでぼくは唖然とした。ルイだけではなく、ぼくの足にも虫さされの痕がたくさんあったからだ。知らなかったうちはさほどではなかったのに、気がつくとたちまち足全体に激しい痒みが襲ってきた。
撤収を終えてクルマに乗る前、いつものとおり、持参した洗い立てのズボンとシャツに着替えていた。それなのに左右の足に無惨な虫刺されの痕が点在している。ようやく、ルイもぼくもアリに咬まれた程度のものではないと気づく。それに洗い立てのズボンのどこから吸血昆虫たちが侵入したのか不思議だった。
☆ルイと同じベッドで寝たのが悪かった
そういえば、キャンプ2日目の夜、ルイはぼくが寝ているコットと呼ばれるキャンプベッドに乗ってきて(写真=上)、ぼくの足の間で朝まで寝ていた。あのとき、ルイの身体にとりついていたなんらかの吸血昆虫がぼくに移動していたに違いない。そして、ズボンを穿き替える前にすでに被害に遭っていたのではないだろうか。気づいていなかっただけに痒みにも鈍感でいられたのだと思える。
キャンプから帰った翌日16日の朝、ルイを動物病院へ連れていった。先生の診たては、虫に刺されてもいるようだが、お腹全体と皮膚のほかの部分も飛びとびに赤くなっているので、なんらかのアレルギー症状だろうということで薬をもらった。虫のせいかもしれないし、草が原因のアレルギーかもしれないという。そして、このところ、そういうわんこたちがたくさんやってきているそうだ。
薬を飲ませると、ルイはヨレヨレになって寝てしまう。よほど強い薬なのだろう。ルイ以上の被害だったにもかかわらず、病院へいかなかったぼくのほうは、休み明けの18日、ますますひどくなる痒みに耐えられず会社の近くの薬局で抗炎症効果のあるゲル状の薬を買っていまも使い続けている。痒みが容易に引かない。この調子だと長期戦になりそうだ。幸い、ルイのほうはきれいに治ったのでひと安心している。
10月6日から8日の三連休のキャンプを今年はやめて11月23日から25日を予定したのは、今回の虫刺されに懲りたからではなく、さすがに毎月のキャンプは辛くなってきたからである。まったくもって年は取りたくないものだ。