☆今朝の雪に亡きふたりの子を想う
東京は未明から雪になった。朝の外界は白の世界である。ルイにとっては初めての雪だ。公園の真っ白な広場を駆けまわっていたシェラとむぎの姿が目に浮かぶ。そんな思い出がつまった公園を、今朝はルイと訪ねた。シェラを最後に連れていった公園であり、それ以来だからルイにとっては二度目になる。
はじめての雪に興味しんしんのルイ
2センチばかり積もった雪の上には野鳥の足跡があるくらいのきれいなままだった。はじめての雪に喜んで走りまわるルイの姿をぼくは笑顔でながめていた。それに気づいたルイが、「遊ぼうよ」といわんばかりにぼくに跳びいてくる。
持参のポケットカメラをムービーに切り替えようとしていたが、あまりしつこく跳びついてくるのであきらめて一緒に遊ぶことにした。追いかけてやったり、逃げてみたりと、ルイの相手をするのもなかなか大変である。すっかり汗をかいてしまった。
そのノリが残ってしまったのか、家に帰ってもやんちゃぶりを発揮して、とうとう家人の堪忍袋の緒が切れ、哀れケージに閉じ込められてしまった。そういうわけで今朝はルイの見送りなしで家を出た。
このところ、家を出るときは玄関までルイがついてきて、一緒にいきたいとアピールする。それを押さえ、家人に渡してから外へ出る。
☆シェラ、心配しなくていいからね
毎晩、帰ってくると玄関ポーチの門扉の開け閉めでぼくの帰宅を知ったルイが玄関まで出迎えにくる。何度も跳びついて喜びを示してくれるのがうれしい。むぎが逝ってしまってなにが寂しかったかというと、だれも出迎えにきてくれなかったことだった。シェラはすでに耳が遠くなっていたので、ぼくの姿が見えないと反応できない。
ルイがやってきてからも、ケージの外へ出すとシェラに「遊ぼう!」攻撃をかけるので、目が届いていないかぎりはケージから出せず、ぼくが帰り、着替えてからようやく出してやっていた。だからやっぱり玄関への出迎えはなかった。
シェラがいなくなってルイはかなり自由を得た。そして、ぼくはルイの見送りと出迎えをしてもらえるようになった。シェラがいない寂しさの代償として、せめてこのくらい享受できても許されるだろう。
雪に喜んでゴロンするシェラに跳びつくむぎ
もし、いま、ルイがいなかったら、シェラが消えたあとの寂しさがどれほどかと思うだけで背筋が凍る。今朝のように雪を見ながらシェラやむぎをなつかしみ、休日の行く先々でシェラとむぎのビジョンを感じてしまう始末である。
元気でやんちゃなルイに手こずればてこずるほど、ぽっかり開いたシェラとむぎのいない心の空白がぼやけてくれる。
そのたびにぼくはそっと口ずさむ。
「シェラ、ルイのおかげでなんとか耐えているから心配しないでいいよ」と――。
ふと、ぼくを見上げたシェラの笑顔がまぶたに浮かんで消える。
東京は未明から雪になった。朝の外界は白の世界である。ルイにとっては初めての雪だ。公園の真っ白な広場を駆けまわっていたシェラとむぎの姿が目に浮かぶ。そんな思い出がつまった公園を、今朝はルイと訪ねた。シェラを最後に連れていった公園であり、それ以来だからルイにとっては二度目になる。
はじめての雪に興味しんしんのルイ
2センチばかり積もった雪の上には野鳥の足跡があるくらいのきれいなままだった。はじめての雪に喜んで走りまわるルイの姿をぼくは笑顔でながめていた。それに気づいたルイが、「遊ぼうよ」といわんばかりにぼくに跳びいてくる。
持参のポケットカメラをムービーに切り替えようとしていたが、あまりしつこく跳びついてくるのであきらめて一緒に遊ぶことにした。追いかけてやったり、逃げてみたりと、ルイの相手をするのもなかなか大変である。すっかり汗をかいてしまった。
そのノリが残ってしまったのか、家に帰ってもやんちゃぶりを発揮して、とうとう家人の堪忍袋の緒が切れ、哀れケージに閉じ込められてしまった。そういうわけで今朝はルイの見送りなしで家を出た。
このところ、家を出るときは玄関までルイがついてきて、一緒にいきたいとアピールする。それを押さえ、家人に渡してから外へ出る。
☆シェラ、心配しなくていいからね
毎晩、帰ってくると玄関ポーチの門扉の開け閉めでぼくの帰宅を知ったルイが玄関まで出迎えにくる。何度も跳びついて喜びを示してくれるのがうれしい。むぎが逝ってしまってなにが寂しかったかというと、だれも出迎えにきてくれなかったことだった。シェラはすでに耳が遠くなっていたので、ぼくの姿が見えないと反応できない。
ルイがやってきてからも、ケージの外へ出すとシェラに「遊ぼう!」攻撃をかけるので、目が届いていないかぎりはケージから出せず、ぼくが帰り、着替えてからようやく出してやっていた。だからやっぱり玄関への出迎えはなかった。
シェラがいなくなってルイはかなり自由を得た。そして、ぼくはルイの見送りと出迎えをしてもらえるようになった。シェラがいない寂しさの代償として、せめてこのくらい享受できても許されるだろう。
雪に喜んでゴロンするシェラに跳びつくむぎ
もし、いま、ルイがいなかったら、シェラが消えたあとの寂しさがどれほどかと思うだけで背筋が凍る。今朝のように雪を見ながらシェラやむぎをなつかしみ、休日の行く先々でシェラとむぎのビジョンを感じてしまう始末である。
元気でやんちゃなルイに手こずればてこずるほど、ぽっかり開いたシェラとむぎのいない心の空白がぼやけてくれる。
そのたびにぼくはそっと口ずさむ。
「シェラ、ルイのおかげでなんとか耐えているから心配しないでいいよ」と――。
ふと、ぼくを見上げたシェラの笑顔がまぶたに浮かんで消える。