☆ベッドへきても遊びたがる
このところ、ルイがぼくのベッドへ乗ってきて寝ることを憶えてしまった。最初は、ぼくが寝てからそっと上がってきて寄り添って寝ていたのだが、昨夜などは、ぼくが寝ようとするのを見ていたのだろう、いつのまにかさっさとベッドに上がって待っていた。
ベッドで寝るのに慣れていないので、まだ、どうしていいのかわからないようだ。最初はぼくの腕に貼り付いていたがすぐに足元へ移動した。少しでも足を動かすと、「動くな!」とばかり軽く噛みついてくる。まだ、遊んでいるつもりなのだろうか。背中を向け、足もルイから離したらたちまち深い眠りについた。
次に目が覚めたのは家人の声のせいだった。時計を見ると明け方である。ルイが唸っていて、家人はそれをやめろといっていた。窓も開けてあったし、きっと、外からきこえてくる異音にルイが反応しているだけなのであろう。
ぼくにはルイの唸り声よりも、「ルイちゃん、やめて」という家人の声のほうがよほどやかましい。ルイの声も家人の声も知らないそぶりでぼくはまた眠りに戻った。
☆シェラやむぎも冬だけのベッド
シェラもむぎも気が向くと、上の写真のようにぼくや家人のベッドの上で寝ていた。だからといって一緒に寝るわけではない。冬だけは、寒がりのむぎが家人の布団に潜り込んでいったりしていたが、真冬以外、ぼくたちが寝ているベッドの上で一緒に寝ることはなく、どこか涼しい場所を探してそちらへいっていた。
犬たちをベッドに乗せるのは不衛生だし、毛が抜けるので避けるべきだというのは承知しているが、シェラにもむぎにも容認してきた。彼らが近くで寝ているだけで幸せを実感していた。いま、ルイがいてくれるだけで満ち足りた気持ちになれる。
シェラもむぎも、ぼくが手の伸ばして身体に触るのをあまり喜ばなかった。むしろ、嫌がっていた。触るとさっさとどこかへいってしまった。そりゃそうだ、ゆっくり眠れないからだ。
いずれ、ルイもそうなるのだろうが、いまはぼくにぴったり密着して寝てくれるが、暑さが夜も続くようになったらたちまちどこかへ逃げていくだろう。
☆役に立つわんこだと思ったけど
家人によると、昼間のルイは実におとなしい子だという。たいてい寝ているし、起きてもいたずらや悪さをするでもなく、静かにしているそうだ。それが、ぼくが帰ってくるとたちまち一変する。おもちゃをくわえて走っているうちは実害はないのだが、次に何をくわえてくるかわからないから油断できない。昨夜など、キッチンへ入り込んでタマネギをくわえてきた。家人の油断である。ぼくの鞄から書類を引き出し、ベリベリに引きちぎっていたのも何度かある。むろん、ぼくの油断である。
最近の手ひどい被害は、ぼくが気に入っていたボタンダウンの綿シャツの背中を見事に破いていたことだ。それと気づかずに家で着ていた。
ルイが背もたれの布地をベリベリに破いてしまったのでソファーを捨てて以来、わが家にはソファーがなくなり、ぼくは眠くなると床で横になって寝ている。先の週末に家人とソファーを求めて町田から横浜界隈の家具店をのぞいてまわった。ルイがいたずらしないようにと、レザーのソファーを探しているが、レザー製のソファーを破かれたら……と思うといまひとつ決断できないでいる。
いまや破壊獣と化したルイである。何を破壊してくるかわかったものじゃない。
最近、ぼくがいつも鞄に入れている小さな薬箱がある。中には目薬、胃腸薬、軟膏などが入っている。それがある日、忽然と消えた。ルイがときどき鞄の中から引きずり出していたので犯人はルイじゃないかと疑ったが、それにしては破壊された残痕すらなかった。
それが、一昨日の朝、突然、どこから咥えてきたのである。見つけたのは家人だった。彼女はてっきりルイがぼくのカバンから引きずり出したと思っていたようだ。どこか物陰から見つけてきたのだろう。
ルイにおやつを見せて薬箱を交換しようとしている家人を見ながら、「へえ~、ルイでも役に立つことがあるんだ」とぼくが感心していると、ルイはたちまち箱の中身をばらまき、ぼくの顔をちらりと見て、箱だけ咥えて走り去った。やっぱり悪いヤツである。