巡礼街道は、住宅街の間や
山の石段などをくねくねと通っています。
もしかしたら道を間違えたかもしれませんが、
まあ距離を稼ぐということで
そのへんは広い心で歩きましょう。
親父も歳の割に脚は達者だったとはいえ、
こんな傾斜の道を歩いたかははなはだ疑問です。
多分山方面には回らずに、
平地部分をショートカットして歩いたと思われますが、
今それを聞いても記憶の彼方に霞んでいるだろうから、
きっと正確にはこたえられないでしょう。
doironは山方面の住宅街を
登ったり下ったりのトレッキングをしました。
街道の途中には石の道標が立っています。
どれも「すぐ中山」と刻まれています。
道標の「すぐ」はあまりあてになりませんから、
現代のこんな案内や
本の地図をしっかり見ながら進みます。
やがて道は、中国自動車道を越えていきます。
あのよく渋滞することで有名な
宝塚トンネルのすぐそばに架かる橋が「売布橋」です。
おおっ、ようやく「売布」の字が出てきました。
こんな石段を登って高いところに出ると、
こじゃれた家の間から宝塚の街が見下ろせます。
この辺のお宅はなかなか良い所でした。
ただし、どの家も中に入っていくのに
階段が必ずといっていいほどあるので、
被介護人がいる家庭には不向きですね。
これらの家は山際に立っているので、
区画も地形に合わせて四角ではなく
道は複雑に入り組んでいます。
こんな分岐もたくさんあって、
道がややこしくなっていますが、ご安心を。
よく見ると電柱に小さくこんな手作りの
案内シールが貼られています。
一度見ると忘れられないシールなので、
後半は矢印だけになりましたがよくわかりました。
さり気なく道案内をしている様子は、
まるで獅子舞の前触れの紙垂のようですね~。
迷ったらその辺を探すと、
どこかに貼ってあります。
山の住宅地からかなり下に降りてきてから、
大きな池の横にある「売布神社」に到着しました。
カニカニツアーの時に書きましたが、
「売布神社」は全国に6社あります。
宝塚以外に三田に1社、丹後に3社、松江に1社です。
そのうち周辺の地名や残っていることや
伝説などから売布発祥の神社だろうと言われているのが、
丹後の木津温泉にある「売布神社」です。
その丹後の神社の祭神は
お酒の神様ともいわれる「豊宇賀能命」でしたが
ここはどうでしょうか。
境内の案内板に書かれてあった由来を読みますと、
祭神は下照姫神とその夫の天稚彦神であり、
この地に稲を植え、朝を紡いで
布を織ることを人々に教え、
暮らしを豊かにしたと書かれてありました。
丹後の神社と同じ祭神であることを
期待していたのですが違いました。
ただ主祭神が女性であることや
お酒と布の違いはあるけれど、
人々の暮らしを豊かにしたという点は
同じだったことから、
信仰の形態は微妙に変遷しているようです。
時代や地域とともに変わってきたんでしょうねえ。
この神社は街中にあるにもかかわらず、
なぜかとても静かで
いわゆるパワースポット的なところでありました。
この境内でかつて親父は友達と何を話し、
何を考えていたんでしょうかねえ。
あまり昔のことは話したがらない親父ですが、
若い時にこのあたりで働いていたことがあることは
ちらっと聞いたことがあります。
そんな当時のことに
思いをはせていたりしたのでしょうか。
売布神社を出て、
こんな立派な巡礼街道の案内板を見ながら
次に向かったのが、中山寺でした。
続く。