不思議な体験をしたあたりは
「鹿背山(かせやま)」といわれています。
このあと奈良にいたる直前の隧道付近に次ぐ
難所であったそうです。
確かに深い山の中、
果てしない竹林が次々と車窓を流れていく景色は、
絶景というよりは幽玄な景色だったかもしれません。
そう、まさしくそこはパワースポット。
脈々と語り継がれる大仏鉄道の
不思議なパワーがdoironの
心の琴線を震わせたに違いありません。
竹林を抜けると、山里に出ます。
ところどころの木々に囲まれた畑で
人が畑仕事にもくもくと精を出しています。
こんな景色はもしかしたら、
大仏鉄道が走っていた明治の頃と
あまり変わってないかもしれませんね。
おっと、ここには枕木がずらっと並んでいます。
さすがに鉄道遺構めぐりコースだけのことはあります。
これがその先ある
「鹿背山橋台」
写真を撮ったら、まるで
絵に描いたようなワンショットになりました。
やがて、園芸屋さんの栽培所のようなところを抜けて行き、
ふと後ろを振り返ると・・・
あれ?
なんやあ。この道は今朝加茂の駅に向かう時に
車で通った道ではありませんか。
その時は道標も全然目に入りませんでした。
ほんとに車だと景色が全然変わるものですね。
山間部を抜けると、
大規模な住宅開発の地域に出ました。
こういう開発が、過去の遺構をつぶしがちなんですが、
かろうじて開発地をかすめるように
大仏鉄道の旧軌道敷きが続いています。
いや、もしかしてこういう遺構の保存活動によって
開発エリアが制限されたのかもしれません。
広い道に出て、進んでいくと
軽貨物の中から声をかけられました。
「歩いてはるんですかあ」
「はい。大仏鉄道の遺構巡りをしてます」
「そしたらこの地図をあげる」
と言ってくれたのがこれ。
その人は村Kさんという方で、
大仏鉄道が好きでいつもここに来ては
道行く人に地図を渡して案内をしているそうです。
「わしは大仏鉄道が好きで、好きでなあ。」
と嬉しそうに話してくれました。
なんでも彼はかつてテレビで
10カット40秒の大仏鉄道の映像を
見たことがあるそうなんです。
それでテレビ局や映像会社に問い合わせているのですが、
映像は今だに見つからず、
見られた方を探されているそうです。
見られたのが朝日放送だったと
記憶されているそうなので、
探偵ナイトスクープにお手紙したらどうなんでしょうかね。
見つかるといいですね~。
もらった地図に沿って
ゴルフ場の正面入り口に向かっていきます。
するとそこの入り口にレンガ造りの
こんなゲートがありました。
軌道敷きの延長線上なので
もしかしたら遺構?
そうじゃなくても多分に意識を
しているように思われるのですが、
その人の地図にも記載されてませんでしたので、
全く関係ないのかもしれません。
そのゴルフ場の先で道は左に折れていきます。
その下の田園が見渡せる
少し広くなったところでお昼にすることにしました。
今日のお昼はこれ。
食べすぎかなあ。
座って食べていると、
2組の歩行者が傍らを通り過ぎて行きました。
もしかしたら熊野古道よりも
歩行者密度は濃いかもしれません。
食後のコーヒーを飲んで、
さあ歩行再開です。
そこからすぐのところで、
遺構のトンネルをくぐります。
「梶ヶ谷隧道」です。
下部が御影石、上部がレンガ造りのアーチで構成されています。
大仏鉄道はこの上を走っていました。
そしてそこは今も道になっています。
先ほどの写真に写っていました。
(赤い矢印の先の道)
そのトンネルは人間も通り抜けられるのですが、
よく見るとところどころにひび割れがあったり、
レンガが朽ちていたりと
かなり傷んでいるようです。
その内に通行止めになるかもしれません。
今のうちに通っておきましょう。
トンネルを抜けたところにある
新しい道路の近代的な石積みと
ずいぶん対照的です。
さあ、このあとは大仏鉄道の
象徴的な遺構である「赤橋」に向かいましょう。
続く