元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

労基法適用除外は(1)同居の親族のみの使用(2)家事使用人、労契法除外は(1)のみはなぜか?

2016-09-03 16:29:16 | 社会保険労務士
  刑罰・行政取締の性格を持つ労働基準法と民事規定の労働契約法との「目的」の違い!!
 
 労働基準法は、(1)「同居の親族のみを使用」する事業と(2)「家事使用人」については適用しないとしているのに対し、労働契約法は、(1)「同居の親族を使用する」場合だけを、除外するとしている。除外しているのが、労基法は2つ((1)と(2))なのに対し、労働契約法は最初のひとつ(1)だけである。この違いはどうしてであろうか。
 
 これは、それぞれの法律の目的の違いにある。労働基準法は、民事関係の規定もあるが、刑罰と行政取締法であるという側面を持つのに対して、労働契約法はその名のとおり、民事関係のみの法律であるということである。

 労働基準法が刑罰や行政取締法の性格を持ち、束縛する面をもつことからすると、親族関係(1)や家庭の中(2)には、入り込まない方がいいという考えがあったと考えられる。言葉を換えて言うと、親族関係や個人の家庭内への介入は控えた方がいいということであろう。

 一方、労働契約法はどうだろうか。労働契約法は、刑罰や行政取締りの効果はないし、あくまでも民事的な関係を律する法律である。しかしそこにおいても、「同居の親族のみを使用」する特殊な関係のところに、一般の民事的な法律は入りこまない方がいいとの判断であろう。例えば、親子でやっている「親子関係」の事業に、いくら契約法とはいえ、適用は控えるべきであるとの判断である。

 しかし、家事使用人については、使用者との関係は他人であると考えられるところで、民事紛争が起こることは当然考えられるので、この関係において労働契約法の適用ありとしたものであろう。

 
 参考 荒木尚志・菅野和夫・山川隆一著 「詳説労働契約法」第2版 弘文堂
コメント
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