元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

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ビジネス実務法務検定試験概要(ビジ法)とその「会社分割による労働契約の承継」について(その6)

2013-12-09 09:05:33 | 社会保険労務士
[第34回ビジネス実務法務検定試験(ビジ法)「解答速報」のコメント(解説付き)(1)]<2級>へ


会社分割の試験問題を解いてみました!!

 試験が終わりました。時間配分に気をつけましたが、自分に問題の理解に要する時間が遅かったのか、やっと問題を解き終えたときには、制限時間終了のありさまでした。でしたので、合格には、まったく自信がありません。完全に雰囲気に飲まれてしまい、言い訳になりますが、実力の半分も出ませんでした。社労士関係の問題から推測するに、問題自体の難易からいうと、そう難しくはないのですが、科目数が多いのと、やはり時間との勝負の点から、難しく感じました。(受験校TACの試験解答速報と照合したところ 96点でした。)

 今回は、会社分割についての労働関係承継について述べてみます。会社分割は、一つの会社を2つ以上の会社に分けることであり、不採算部門の切り離し、会社再建、新規事業への進出等に際し取られる手法です。この場合、切り離した部門は、既存の会社に承継される場合(「吸収分割」という。)と、新設した会社に承継させる(「新設分割」という。)方法があります。
 労働関係の権利義務も、この承継される部門の中に含まれ、そっくり承継される部門として承継されるものとして解すことができます。しかし、これでは、労働者側にも承継される不利益と承継されない不利益が生じ、公平に欠けるところがあります。そこで、会社分割に伴う労働関係のルールを明確化して、労働者間のトラブルを防止し、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(一般に「労働契約承継法」といいます。)が出来ています。

 承継される部門に主として従事していた労働者は、分割契約書等にその労働者との労働契約が承継される旨の記載がある場合、分割の効力が生じた時点で労働契約は、当然に移行先の会社に承継されます。この場合の労働者については、有無を言わせず、そのまま転籍になります。しかし同じ承継される部門にいた者であっても、承継される旨の記載がない場合には、その通知を受けた労働者が意義を申し出たときに、初めて、移行先の会社に労働契約が承継されることになります。

 承継される部門に従として働いていた労働者を含めて、承継される部門以外の労働者については、分割契約書等にその労働者との労働契約について、移行先に承継される旨の記載がある場合には、転籍できることになりますが、労働者が意義を述べれば、その労働契約は移行先の会社には承継されずに、そのまま元の会社にいることができます。これに対し、承継される部門等以外で働いていたのですから、その承継される旨の記載がない場合は、移行先には転籍することはできません。
 
 それでは、この労働関係の承継についての問題をあげます。
 次の文章が正しいか、誤りかという問題です


 X社の甲部門を吸収分割の方法によってX社からY社へ移転することになった。Aは、Y社の従業員で甲部門に所属する者であり、Bは、X社の従業員であり、乙部門に所属する者である。

 Q1 この吸収分割に伴い、Aについては、労働関係をX社からY社に承継させることができるが、Bについては許されない。
 Q2 X社は、Aの所属する労働組合の間で労働協約を締結している場合であっても、A本人に対して労働契約承継法に基づき一定の事項を通知すれば足り、当該労働組合に対しては通知を行う必要はない。
 Q3 Aは、自らの労働契約がX社からY社への承継の対象になっていない場合には、そのことについて意義を述べることができる。

 A1 × 他の部門に属していたものであっても、労働契約の承継の対象になりえます。
 A2 × 労働組合に対しては、労働協約が承継されるかどうかを通知する必要があります。
 A3 ○ Aは、承継される部門に働いていた者ですので、その労働契約が承継されないことについて、異議を申し出ることができます。

 *当問題は、早稲田経営出版 ごうかく検定試験・攻略問題 のオリジナル問題です。

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