松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

聖地・松山櫨 その3

2007-02-27 21:54:52 | 復活奮闘日記
坂を登って松山櫨の持ち主であり、
櫨農家だった橋本家に立ち寄ることになりました。
玄関に出迎えたのは奥さんの方でした。
「(ご主人は)元気しよんなさるですか?」
中川社長が聞くと、
「ううん。もう年やけん。」と、
奥さんは少し悲しそうな笑顔で答えました。

「私が嫁にここ(橋本家)に来たとき、
大きなカゴがいくつもあって、
何やろか~って思っとった。
ほら、櫨の実の収穫の時に、
カゴを背負って木に登ると。
そりゃもう、トラックに何台分も。
たっくさんの櫨の実を採りよったとよ。」と
懐かしげに当時の様子を話してくれました。

奥さんによると、昔は他の場所にも
多くの松山櫨を植えていたそうですが、
その全てが宅地開発やレジャー施設のために
切り取られてしまったそうです。
また後継者がおらず、高齢となり
病気にかかったご主人は、
唯一残った櫨の木に登って採取することも
到底かないません。

私は振り向いて櫨の木を見上げました。
日が傾き、松山櫨に巻き付いたツタの葉に
その影を落としています。

もう何年も前から、櫨の実はちぎられていなかったのです。

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