櫨の実が不足しているそうです。
委員会の活動を始めた当初、つまり三年前になりますが、荒木製蝋の社長は「今は需要が少なくなっているが、供給も少ないのでバランスは悪くない。櫨の実はほんの少し足りない程度。」といったコメントでした。
しかし一年ごとに「櫨の実が少し足りなくなってきた」という言葉にちょっとずつ危機感が表れてきて、今年はさらに「櫨の実が非常に足りなくなっている」と、かなり逼迫したものになりました。
先月の初め、関西方面の和ろうそく職人の所に訪問して話を伺ってきたばかりの私としては、実の不足というのはかなりリアルな問題として受け止めています。
和ろうそく職人の意見は共通しています。
「原料である櫨の実をきちんと供給してくれるかどうか非常に気になるが、どうしようもない。」
製品をきちんと供給できないというのは商売上大変な問題です。現に櫨の実不足というのは過去にもありました。
平成3年に大噴火した島原・普賢岳事件です。
あの火砕流と堆積した火山灰による土石流は島原の水無川と千本木地区に大きな被害をもたらしました。
千本木地区はほとんどが櫨の林。櫨蝋の中でも主力品種である「昭和福櫨」の原木のあった場所も千本木地区で、火砕流によって原木も消失してしまいました。
あの時、報道関係者16名を含む死者行方不明者43名負傷者9名の中で、土石流が押しつぶした林が一体なんだったかなんて、一般人は誰も気に留めなかったのかもしれませんが、ともかく櫨の業界にとっては大打撃でした。
櫨の実は高騰し、一気に実の供給不足がおこりました。
で、それが何を引き起こしたか?
代替物です。人は欠けているものに対し、いつまでも悲しんでばかりはいられません。代替物でスキマを埋めようとします。海外に植物蝋を求めたり、カイガラムシの一種・イボタロウムシまで手をつけたりする同業者もいたりして、どうにかその時期をしのごうとしました。
ところが一時的に高騰した櫨の実の金額は、安い代替物に流れを変えるきっかけともなり、その後次第に金額が落ち着いてきても櫨蝋の需要は増えなくなります。
もともと衰退化していた櫨蝋業はますます悪循環化。現在ではマトモに工場を稼働させているのは、みやま市の荒木製蝋だけになってしまっています。
その荒木社長が今、「櫨の実が非常に足りなくて困っている」と言っています。
私にできること。櫨蝋で何か商品開発したり、販売したりして櫨の復興に力を尽くすこと。
でも櫨の実が足りなかったら?
今まで誰かが櫨の実を収穫してくれるだろうと、なんとなく根拠もなしに深く考えたこともありませんでした。
でも櫨の実が足りなくなったら?
所詮、他人事と知らんふりしていいんだろうか?櫨の応援隊なのに?
この逼迫した状態、来年になったら解消するとも思えません。一つの伝統産業の終焉を、のんびり待ってもいられないでしょう。本当に櫨の商品開発・販売だけやってていいんだろうか。
櫨の実不足を前に、私は活動の見直しを求められているような気がしました。
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委員会の活動を始めた当初、つまり三年前になりますが、荒木製蝋の社長は「今は需要が少なくなっているが、供給も少ないのでバランスは悪くない。櫨の実はほんの少し足りない程度。」といったコメントでした。
しかし一年ごとに「櫨の実が少し足りなくなってきた」という言葉にちょっとずつ危機感が表れてきて、今年はさらに「櫨の実が非常に足りなくなっている」と、かなり逼迫したものになりました。
先月の初め、関西方面の和ろうそく職人の所に訪問して話を伺ってきたばかりの私としては、実の不足というのはかなりリアルな問題として受け止めています。
和ろうそく職人の意見は共通しています。
「原料である櫨の実をきちんと供給してくれるかどうか非常に気になるが、どうしようもない。」
製品をきちんと供給できないというのは商売上大変な問題です。現に櫨の実不足というのは過去にもありました。
平成3年に大噴火した島原・普賢岳事件です。
あの火砕流と堆積した火山灰による土石流は島原の水無川と千本木地区に大きな被害をもたらしました。
千本木地区はほとんどが櫨の林。櫨蝋の中でも主力品種である「昭和福櫨」の原木のあった場所も千本木地区で、火砕流によって原木も消失してしまいました。
あの時、報道関係者16名を含む死者行方不明者43名負傷者9名の中で、土石流が押しつぶした林が一体なんだったかなんて、一般人は誰も気に留めなかったのかもしれませんが、ともかく櫨の業界にとっては大打撃でした。
櫨の実は高騰し、一気に実の供給不足がおこりました。
で、それが何を引き起こしたか?
代替物です。人は欠けているものに対し、いつまでも悲しんでばかりはいられません。代替物でスキマを埋めようとします。海外に植物蝋を求めたり、カイガラムシの一種・イボタロウムシまで手をつけたりする同業者もいたりして、どうにかその時期をしのごうとしました。
ところが一時的に高騰した櫨の実の金額は、安い代替物に流れを変えるきっかけともなり、その後次第に金額が落ち着いてきても櫨蝋の需要は増えなくなります。
もともと衰退化していた櫨蝋業はますます悪循環化。現在ではマトモに工場を稼働させているのは、みやま市の荒木製蝋だけになってしまっています。
その荒木社長が今、「櫨の実が非常に足りなくて困っている」と言っています。
私にできること。櫨蝋で何か商品開発したり、販売したりして櫨の復興に力を尽くすこと。
でも櫨の実が足りなかったら?
今まで誰かが櫨の実を収穫してくれるだろうと、なんとなく根拠もなしに深く考えたこともありませんでした。
でも櫨の実が足りなくなったら?
所詮、他人事と知らんふりしていいんだろうか?櫨の応援隊なのに?
この逼迫した状態、来年になったら解消するとも思えません。一つの伝統産業の終焉を、のんびり待ってもいられないでしょう。本当に櫨の商品開発・販売だけやってていいんだろうか。
櫨の実不足を前に、私は活動の見直しを求められているような気がしました。
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