赤まんまとも言う。
「ままごと」には、必須アイテムである。
またイヌタデの花とも称するけれど、料理の脇に構える蓼は、違った種である。
ぼくの学んでいる句会で、リハビリに励む女性が赤まんまを詠った。
身体が意のままにならぬ日々の苦闘が偲ばれる。
幼かった日々が、より新鮮に蘇るのであろうか。
そうだとすると、赤まんまの咲く意味は深い。
詩人・村野四郎もまた、赤まんまを歌った。
赤まんまに託した詩情は、膨らんでくるけれど悲痛である。
あるものへの怒りである。
「赤ままの引き寄す力時空超ゆ」
歌
中野重治
おまえは歌うな
おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな
風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うな
すべてのひよわなもの
すべてのうそうそとしたもの
すべての物憂げなものを撥(はじ)き去れ
すべての風情を擯斥(ひんせき)せよ
もっぱら正直のところを
腹の足しになるところを
胸元を突き上げて来るぎりぎりのところを歌え
たたかれることによって弾(は)ねかえる歌を
恥辱の底から勇気をくみ来る歌を
それらの歌々を
咽喉をふくらまして厳しい韻律に歌い上げよ
それらの歌々を
行く行く人々の胸郭にたたきこめ
中野重治の「歌」という詩を全文紹介した。
ぼくの好きな詩の一つである。
赤まんまの葉が紅葉している。
これが集まれば、草紅葉だ。
そうだ、今年は日光戦場ヶ原の草紅葉を見に出かけよう。
「ままごと」には、必須アイテムである。
またイヌタデの花とも称するけれど、料理の脇に構える蓼は、違った種である。
ぼくの学んでいる句会で、リハビリに励む女性が赤まんまを詠った。
身体が意のままにならぬ日々の苦闘が偲ばれる。
幼かった日々が、より新鮮に蘇るのであろうか。
そうだとすると、赤まんまの咲く意味は深い。
詩人・村野四郎もまた、赤まんまを歌った。
赤まんまに託した詩情は、膨らんでくるけれど悲痛である。
あるものへの怒りである。
「赤ままの引き寄す力時空超ゆ」
歌
中野重治
おまえは歌うな
おまえは赤ままの花やとんぼの羽根を歌うな
風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うな
すべてのひよわなもの
すべてのうそうそとしたもの
すべての物憂げなものを撥(はじ)き去れ
すべての風情を擯斥(ひんせき)せよ
もっぱら正直のところを
腹の足しになるところを
胸元を突き上げて来るぎりぎりのところを歌え
たたかれることによって弾(は)ねかえる歌を
恥辱の底から勇気をくみ来る歌を
それらの歌々を
咽喉をふくらまして厳しい韻律に歌い上げよ
それらの歌々を
行く行く人々の胸郭にたたきこめ
中野重治の「歌」という詩を全文紹介した。
ぼくの好きな詩の一つである。
赤まんまの葉が紅葉している。
これが集まれば、草紅葉だ。
そうだ、今年は日光戦場ヶ原の草紅葉を見に出かけよう。