![]() | 時が滲む朝 楊 逸 文藝春秋 このアイテムの詳細を見る |
天気 冬っぽーい
楊逸 著 : 時が滲む朝
を、読みました。
1988年中国の地方都市。熱い向学心に燃える二人の青年は
お互いを支えあい、よきライバルとして勉学に励み見事、
秦都にある秦漢大学の入学を果たします。
歴代、高名な文人を輩出してきた大学に入学できた二人は
さらに勉学に励み、国の為に働く事を夢に見ていました。
しかし、そんな二人の周囲では、民主化への波が起こり始め
天安門広場でのデモ活動にまで、発展してゆきます。
熱い心をもった二人は、中国の明るい未来を信じ
ひたすら、民主化の運動にのめりこんでゆきますが、
そんなとき、天安門事件がおこり、学生による民主化の活動は
鎮静化されてしまいます。
行き場をなくした、彼らの情熱は酒場での暴力事件に発展し、
あっけなく、大学も退学になってしまうのでした。
心のきれいな純粋な青年の、誠に気の毒で報われない運命。
どんなに正しいことを言っていても、行いを行っても、
世の中にはそんな事、全く通用しないことってたくさんあって、
相手が国家なんて、大きなものだったらなおさら。
一人の人生を賭けても、変わらないことってあるでしょう。
でも、どんな時でも朝は来る。
強烈な光線を放つ太陽が、闇を照らして世界を目覚めさせてくれる。
そんな朝を、何度も何度も繰り返していって
いつか、中国という大国も、良い方向に変わってゆくのかもしれません。
いろんな人の人生を、いかようにも変化させてゆく、一つの国の在り方。
平和な日本に生まれて、幸せなのか?もしかしたら不幸なのかも・・・。
そんなこと考えさせられた、芥川賞受賞作でした。