ひとり日和 青山 七恵 河出書房新社 このアイテムの詳細を見る |
天気 気温が急上昇18度
青山七恵 著 : ひとり日和
を、読みました。
気ままなフリーターの20歳の知寿は、母の一年の中国留学の為
遠い親せきのおばあさん、吟子さんの家にお世話になることになりました。
吟子さんの家は、小さな平屋で生垣の向こうは駅のホームです。
知寿が与えられた部屋の桟には、ぐるりと猫の写真が飾ってあり
家には2匹の猫がいます。
立ち入りすぎない、一定の距離感を保った二人の暮らしは、
まるで干渉しあわない、猫のようです。
吟子さんの恋人、知寿の失恋。二人の共同生活の一年を
知寿の目線から描いた、07’芥川賞受賞作。
素晴らしい作品でした!!
じつは私、老婆にあこがれているんです。
もう、美醜なんかとは、かなり遠いところで生きている感じの。
人生を、もうすっかりわかってしまって、泣きもわめきもせずに
にっこり笑ったり、とぼけたりしながら、
少しずつ終わりに向かっているような。
だから、全然邪魔にならないんだけど、きちんと存在感があって、
かわいらしい感じの。そんな達観した老婆になれるように
今一生懸命に、生きている感じなんです。
そんな理想の老婆像がここに描かれていました。
ひっそりと終わりに向かっている吟子さんから
若い知寿は、いろんなことを感じとって、旅立ってゆきます。
若い知寿だけではなく、きっと誰しも弱々しい老人になるまで
挑戦や、奮闘は続いてゆくのでしょう。
それらは、一つの旅立ちなのかもしれないな。と、思いました。